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「“ここ一番”でしか使わない重みのある言葉」 テレ朝、サッカー代表戦“名コピー”誕生秘話

『絶対に負けられない戦いが、そこにはある』という言葉と共に、サラ・ブライトマンの『A Question Of Honour』が流れると、「サッカー日本代表戦が始まる!」とワクワクする人は多いだろう。同キャッチフレーズ、同曲は、テレビ朝日のサッカー中継で用いられているもの。今やサッカー日本代表戦の代名詞的存在になったこれらは、果たして、どのように生まれたのか。地上波でサッカー中継を放送する意義と共に、同局サッカー中継担当・高橋育麻プロデューサー(以下高橋P)と、実況担当の吉野真治アナウンサー(以下吉野アナ)に話を聞いた。

テレ朝サッカー中継の転換期は2001年 日韓W杯を見据えた機運の高まり

 テレビ朝日と言えば、民放のなかでも最も熱いサッカー中継を送る局というイメージが強い。その歴史は2001年まで遡る。

「ありがたいことに『サッカー中継といえばテレビ朝日だよね』というイメージが浸透したのは、2001年にアジアサッカー連盟(AFC)主催大会の地上波独占放送権を獲得し、そこから全社を挙げて応援を始めてからだと思います。それまでもJリーグのオールスター中継やインカレ(=インターカレッジ=全日本大学サッカー選手権大会)の決勝を毎年中継していましたが、気運の高まりは、それがきっかけだったと思います」(高橋P)

 日本のサッカー人気に火がついた大きな転機は1993年のJリーグ発足。その後、98年に初の『FIFAワールドカップ』出場(フランス大会)を果たし、2002年の『FIFAワールドカップ』日韓大会へとつながっていく。この10年で、日本人のサッカーへの関心が高まったことは言うまでもないが、こうした世論の“風”も、テレビ朝日の社を挙げてのサッカー熱の高まりを後押しした。

「ドーハの悲劇(1994年『FIFAワールドカップ』アメリカ大会・アジア地区最終予選最終節で引き分け、予選敗退が決まった試合)もジョホールバルの歓喜(1998年『FIFAワールドカップ』フランス大会・アジア地区最終予選で本戦初出場を決めた試合)も、今もワードが色あせません。これは最終予選に劇的な試合が多く、その裏にあるさまざまなドラマも含め、積み上げてきた歴史を皆さんが見てきたからこその興奮があるんだと思います」(高橋P)

皆で想いを共有するために生み出された名コピー

 今やテレビ朝日のサッカー中継の代名詞とも言える『絶対に負けられない戦いが、そこにはある』と、テーマソングであるサラ・ブライトマンの『A Question Of Honour』。これらはどのようにして使われるようになったのだろうか?

「テーマソングは、当時の音楽演出を担当していただいていた方に相談し、選曲していただきました。ポイントは試合前の静けさからの高揚感。これが選手の入場からピッチに入ってプレイする、まさにその姿を連想させるということで使い始めたそうです。この曲がAFCでの戦いにマッチしていると思っています」(高橋P)

 2002年『FIFAワールドカップ』日韓大会から使用されたテーマソングに対し、『絶対に負けられない〜』の出自を探ると、04年、AFC主催の試合で使われたことが最初だという。

「今でこそ日本は、アジアランキング上位をキープしていますが、当時は今よりもっと厳しい戦いを強いられていました。当時、日本が自力でW杯出場を決められたのは、1998年フランスW杯だけでしたし、オリンピックの出場も1968年メキシコシティ五輪以来、1996年アトランタ五輪まで遠ざかっていました。世界の舞台に立つために、日本の前に立ちはだかるアジアのライバルたちには負けられない…、そんな思いから生まれたキャッチコピーだったと聞いています」(高橋P)

「(AFC主催試合は)想定外とかアクシデントがかなり起こりうる世界。ですので、気持ちを奮い立たせる意味でも、『絶対に負けられない戦いが、そこにはある』と、皆で想いを共有するために生み出された言葉だと思います」(吉野アナ)

 テレビ朝日が放送するAFC主催の試合でのサッカー日本代表戦を表す、強烈なキャッチコピー。中継の冒頭で川平慈英が独特のイントネーションで使用したことも話題となり、あっという間に世間に浸透。だが、中継で実況を担当する吉野アナは、「大事にしているからこそ、使いどころが試される言葉」と話す。

「この言葉が使われ始めた当初は、世間に馴染ませ、浸透させるために実況でも多く使用していた時期もあります。ですが昨今は、必ずしも勝ち点の関係で『絶対に負けられない』という言葉が当てはまらないような試合もある。実況としては、ここ一番という場面でしか言わないようにしています」(吉野アナ)

 初登場から15年以上が経過し、実況では安易に使わないように大切にされているこのフレーズ。それだけに、ここぞの場面での使用はまさに“キラーフレーズ”になったという。

「前回のロシアW杯最終予選、ホームのイラク戦。負けると1勝2敗になり、崖っぷちの状況でした。結局、山口蛍選手の劇的なゴールで勝ちましたが、その試合であえて言ったのは覚えています。結局、前回の最終予選では、その1回だけだったと思います。この言葉については、それほど重みがあると感じています」(吉野アナ)

初めて見る人にも分かりやすく、“ちゃんと伝える”が地上波放送の意義

 2001年以来、20年以上にわたってサッカー日本代表戦を放送してきたテレビ朝日。昨秋からも『2022 FIFA ワールドカップ カタール アジア地区最終予選』ホームの全試合を生中継している。一方で、動画配信コンテンツなどが登場し、その役割を担おうとしているのも事実。地上波で代表戦を放送することについての意義を、2人は言葉を選びながら語る。

「私としては地上波での中継を当たり前とは思わずに、初めてサッカーを見る方にも、丁寧に、分かりやすく伝えることを心掛けています」(吉野アナ)

「選手たちが日の丸を背負って本気で命がけで戦う姿を“ちゃんと”伝えることが大事。海外の過酷な環境、天候、機材不足、さまざまなトラブルなど、アクシデントがあっても、視聴者にしっかり届けられるよう、我々も選手と同じように戦う気持ちで中継に臨んでいます」(高橋P)

「コロナ前は、中継が始まる前に、川平慈英さん、松木安太郎さんをはじめ、固い握手を皆で交わし、実況スタッフも円陣を組んで試合に臨んでいる」(高橋P)という、テレビ朝日のサッカー中継スタッフ。その情熱はそこだけに留まらない。テレビ朝日社員食堂では、代表戦が近づいてくると、「相手に勝つ=相手を食う」という意味で対戦国の料理メニューが出たり、『絶対にカツ丼』などが登場するという。

 また、ワールドカップ本戦の放映権を民放で抽選する際には、スタッフらが滝行を行ったり、神社を巡って獲得を祈願するなど、その想いはマグマのように奥底で燃えたぎっている。静かな口調からも、随所から感じられるサッカー中継に懸ける想い…。そのマグマを感じながら、1月27日、2月1日に行われるカタールW杯に向けた重要なホームゲームで、我々も日本代表と共に、熱く、闘っていきたい。

取材・文/衣輪晋一

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