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子どもが虫眼鏡で見た疑問にAIが回答 アナログとデジタルを融合した知育サービス『おとるーぺ』の可能性
【動画】子どもの興味関心を育むAIデバイス『魔法の虫めがね』
身近にあるすべての絵本や図鑑の疑問に『魔法の虫めがね』がそくざに回答
「私のほかにも弊社のエンジニアには子を持つ親が多く、仕事をしている時間に子どもの興味や関心を伸ばすサポートがしてあげられない悩みを共有していました。弊社の強みである印刷技術とテクノロジーを組み合わせて、子どもたちに何かをしたい、何かを残したい。そんな思いから開発されたのが、スマートAIデバイス『魔法の虫めがね』です」(阿部さん)
このサービスでは、主に絵本や図鑑に『魔法の虫めがね』をかざして使うことを想定している。「朗読モード」では絵本の読み聞かせのほかに、文章に合わせた最適なBGMを再生する機能も。また、かざした写真や絵の名称を教えてくれる「発見モード」や、認識したモノの豆知識を教えてくれる「説明モード」と、子どもの興味関心や学びを促進する機能が盛り込まれている。『魔法の虫めがね』さえあれば、身近にある絵本や図鑑がすべて教材になるのがこのサービスの特徴だ。
万が一、暴力描写などに『魔法の虫めがね』をかざしたら?
「子どもが今どんなことに興味関心を持っているのかを、つぶさに理解することができます。たとえば『先月まで電車ばかり見ていたのに、最近は動物に興味があるみたいだ』ということがわかったら、動物園に連れて行ってあげるのもいいですよね。親子の時間が減少するなか、『おとるーぺ』によって会話のきっかけが生まれたり、コミュニケーションの質が高まることを期待しています」(阿部さん)
「『おとるーぺ』のAIは3〜6歳の子どもが興味を持ったことを学習し、成長していくモデルとして設計しています。私たちもこの年代の子どもが何に興味を持っているか100%把握しているわけではないので、まずは一般的な図鑑に掲載されている動物や植物の絵や写真を認識できる状態でリリースします。さらに子どもたちの興味関心をAIが学習していくことで、認識できるモノの種類が増え、認識精度も向上していきます」(阿部さん)
では万が一、暴力描写など子どもに見せたくない情報に『魔法の虫めがね』をかざしたら、どのようになるのだろうか?
「まず現段階では世間一般で考えられるNGワードの排除といった対策を考えています。また、プライバシーの配慮から実在の人物の写真は認識できないように制限をかけているのですが、著名人や歴史上の人物については議論が必要かもしれません。『おとるーぺ』のAIに学習させる・させないモノの判定については、社会課題を見据えつつ、柔軟に対策をしていきたいと思います」(阿部さん)
本格的な一般向け提供に先駆けたクラファン実施のワケ
「このクラウドファンディングは、製品を開発するための支援金を募るものではありません。弊社は、主に顧客企業に向けてビジネスを展開してきており、一般ユーザー向けのサービスを提供する経験が浅いことから、テストマーケティングの意味合いで行っています」(DNP・西川渉さん)
クラウドファンディングでは『魔法の虫めがね』の提供に加えて、『おとるーぺ』のプレミアム機能(縦書き文章対応の朗読モード、ライフログ閲覧機能、興味関心分析機能など)が3ヵ月利用できる。目標金額はすでに達成しているが、クラウドファンディングは3月15日まで実施される。
あらゆる情報がデジタル化され、活字離れが止まない。しかし実証実験で多くの子どもたちと触れ合ってきた阿部さんが次のように語る。
「『魔法の虫めがね』を使って見せたところ、子どもたちが『この本も読めるの?』『じゃあこの本は?』と次々と図鑑や絵本に興味を持ってくれました。私たちが目指すのは、テクノロジーを活用することで、子どもの主体的な学びをサポートし、子どもたちが自分の可能性を最大化できる世界です。このサービスとデバイスが本に触れるきっかけになったらうれしいですね」(阿部さん)
今後は書店の店頭で絵本や図鑑と並べて販売することも検討しているという。『魔法の虫めがね』は、活字とデジタルの幸せな関係を築いてくれるデバイスになるかもしれない。
(文/児玉澄子)
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