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『イカゲーム』で話題のイ・ジョンジェ、こだわりの役作りを語る「インパクトを残したい」【『ただ悪より救いたまえ』インタビュー】
イ・ジョンジェシナリオを初めて見た時に感じたのは、とにかくレイは独特なキャラクターだということでした。なのでできる限り、今まで見せたことのない僕の姿、そして見せたことのない演技をしたいと思ったんです。そうすることで僕自身の興味も深まるし、観客の皆さんも興味を持って見てくださるんじゃないかと思って…。
登場シーンから、レイはミステリアスでインパクトがありますよね。そういうミステリアスな部分をしっかりと設定して、キープしていくことが大切だと考えました。それがレイのキャラクターを表現する上でも有効になってくるはずだと。
レイはどんなキャラクターなのだろうか、何を考えているのだろうか、過去はどんな人だったんだろうか…ということを、レイの姿を見ただけで想像できる余地を残すことが、レイを演じる上での大切なポイントになりました。
イ・ジョンジェまず最初に、レイのルックスとコンセプトを決める会議があったんです。先ほども言った通り、僕が思うレイは独特なキャラクター。それをレイの外見から見せるべきだと思いました。レイの出演分量はそれほど多くないのですが、一人ひとり相手を殺す度にインパクトを残したいと思いました。
最初の会議で監督をはじめスタッフの皆さんが考えていたレイというのは、上下黒の衣装…今のレイとは違って、あまり目立たない印象だったんです。「いかにも殺し屋」という感じなので、これまでとは違うキャラクターやほかの映画との差別化は計れないと思い、僕が提案したのが、映画の中に出てくるようレイの姿でした。
それを説明したところ、「レイはそんなキャラクターだとは思わなかった」と皆さん最初は戸惑っていたんです。でも2回、3回、4回と会議を重ねる中で、監督や多くの方たちが僕の説得にうなずいてくれました。それで出来上がったのが今のレイの姿です。
イ・ジョンジェ「ブラザー」から追いつ追われつの間柄となることで、お互いが『新しき世界』とはまた違った姿を見せることができるので、楽しみでした。
ファン・ジョンミンさんとは、『新しき世界』ですでに息が合っていましたが、今作では、さらに息がぴったりだったというか。それが大きな力となって、映画の中で爆発したんじゃないかな?
ファン・ジョンミンさんとは7年ぶりの共演でしたが、実はこの7年間、普段からよく会っていたんです。
イ・ジョンジェまずなんといっても、責任感の強さですね。仕事に対する責任感、そして人と人の関係における責任感がとても強くて、義理堅い人だと思います。だから同僚としては、本当に温かい心を感じさせてもらっています。こういう人間味を持っている人って、なかなかいないですよね。とにかく「すてきな作品を撮りたい」、「最後まで責任をもって映画を撮ろう」という気持ちが強い方。そして、「観客に面白い映画を観せるんだ」という責任感を持って仕事をしている方です。
責任感があるということは、リーダーシップがあるということでもあると思うのですが、常にどうしたらいいのか悩み、そして周りに気遣いをして、率先していろいろなことを考えてくれる方です。
同僚としても人間としても、本当にさまざまなことを学べるアニキであり、先輩ですね。
イ・ジョンジェさすが日本、食べ物が美味しかったです(笑)。先にファン・ジョンミンさんが日本で撮影を行っていて、僕が合流してからは滞在中ずっと一緒で、食事も一緒にしていました。お寿司も食べて、焼肉も食べて。あとはファン・ジョンミンさんが先に見つけたしゃぶしゃぶのお店に連れて行ってくれました。
僕の撮影シーンは長くなかったので、滞在日数が少なかったんです。昼間に撮影をして、夜にいろいろなものを食べ歩くという感じでした。コロナ拡大直前に撮影をすることができました。コロナが終息したら、早くまた美味しいものを食べに日本に行きたいです。
イ・ジョンジェこのテーマ自体は、誰でも共感できるテーマだと思いました。親は自分の子供のために命を惜しまない存在だと思うので。
イ・ジョンジェはい、もちろんです(笑)。『イカゲーム』の前に撮影した作品が、『ただ悪より救いたまえ』だったんです。この作品のレイはとても独特でスタイリッシュなキャラクターに仕上がったので、次の作品では「レイとは真逆の役をやりたい」と考えていたところに、ファン・ドンヒョク監督から『イカゲーム』にお誘いいただいて、すごくうれしかったんです。『イカゲーム』では、周りに居そうな人物を設定しながら演じました。
イ・ジョンジェ韓国でも「この作品大好き」と言っていただきますが、アメリカに行ったときも本当に多くの方が「『イカゲーム』を見た」と感想を話してくれて、とても熱烈な反応を見せてくださいました。個人的に本当にありがたく思っています。
韓国のコンテンツが世界の観客の皆さんと出会う準備ができたのだと思いますし、これからますます作品作りを頑張らなければいけないと思いました。
イ・ジョンジェディカプリオさんは「作品、見ました。本当に面白かったです」と言ってくださいました。驚くべきことに、僕たちが作品の中で伝えようとしていたテーマやメッセージを正確に理解して、深く受け止めてくださっていたんです。世界的に有名な俳優さんですけれども、『イカゲーム』で私たちが伝えようとしていたメッセージを1つも逃さずに、しっかりと理解してくださっているのがわかりました。そして、「本当に良い作品を撮りましたね。このシーンが良かったです」と、いろいろなお話をしてくれて。彼にお会いできて本当に楽しかったですし、うれしかったです。
イ・ジョンジェ日本で『ただ悪より救いたまえ』が劇場公開されるのをうれしく思っています。『イカゲーム』にもたくさんの愛情をお願いします。そして映画『ハント』にも期待してくださいね。
日本の皆さんと、できるだけ早く直接お会いできることを楽しみにしています。ありがとうございました。
(取材・文:坂本ゆかり)