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「タバコを止めて猫を救う」動けない命つないだ“小さい決心”、「『ありがとう』って号泣しました」

  • 保護された動けなかった猫(写真:ねこけんブログより)

    保護された動けなかった猫(写真:ねこけんブログより)

 猫の保護や譲渡会を中心に、さまざまな活動をしているNPO法人『ねこけん』。ここには連日、猫について多数の相談事やSOSのメールが舞い込んでくる。今回は、『ねこけん』のボランティアメンバー一同が感動の涙を流したという、あるメールについて代表理事の溝上奈緒子氏に聞いた。

職場に現れた動けない猫、障害が残るも「連れてきて良かった」

  • 職場に現れた、動けない猫(写真:ねこけんブログより)

    職場に現れた、動けない猫(写真:ねこけんブログより)

 ある相談者・Kさんから、一通のメールが届いた。「数日前から、動かない子猫が職場の敷地内にいる」と聞いたKさんは、すぐに駆け付けたそうだ。その子猫は必死に逃げようとするが、どうやら動かせるのは両腕だけ。どこかにケガや障害があるようだったという。

 相談を受けた『ねこけん』だったが、現場はかなりの遠方。「私たちもできる限り救助に向かいたかったんですが、早急に動けないこともあります。シェルターに空きがないこともありますし、どうしてもマンパワーが足りない場合があるんです」と溝上氏。そこで、『ねこけん』からKさんに向けて、さまざまなアドバイスを送くることにした。Kさんはそれを受け、なんとか子猫の保護に成功。捕獲するまでに、実に3時間もかかったそうだ。

 Kさんはすでに片腕のない猫を飼っており、その子が突然出産した子猫2匹も譲渡ができなかったため、家族に迎えていたという。これ以上、猫を飼うのは難しいと思いながら、先々の不安よりも目の前の動けない子猫をなんとかして助けてあげたい…そんな気持ちが強かった。

 こうして保護した子猫を動物病院へ連れて行くと、白血病、エイズは陰性で血液や内臓にも問題はない。ただ、やはり骨盤骨折をしていた。おそらく数ヵ月で歩行はできるようになるが、膀胱麻痺が残ったり、うんちが腸内に詰まる恐れもあるという。そんな状態にもかかわらず、Kさんは「結果にショックはありますが、連れてきてよかったです」と、『ねこけん』にメールを送ってきた。保護後に不安もあったはずなのに、「連れてきてよかった」。その言葉を聞いたことに、『ねこけん』のメンバーも胸をなでおろし、涙を流したそうだ。

たとえ医療費がかかっても…、触らせてくれた猫に「『ありがとう』って号泣しました」

 結局、子猫は入院して緊急手術を行ったが、やはり神経が傷ついていたため膀胱麻痺は避けられなかった。右後ろ脚の麻痺も、回復にどのくらいかかるかは経過をみなければわからないとのこと。それでもKさんは、「医療費は結構かかりますが、今回タバコも止めることにしました。そんな小さい決心で猫さんを救うことができます。かえって自分も健康になります(笑)」と語る。入院中は毎日お見舞いに行き、先生から圧迫排尿や圧迫排便のやり方を教わったそうだ。

 子猫は、最初こそシャーシャーと毛を逆立てていたが、痛みと恐怖から解放され、しばらくすると落ち着きを取り戻したようだ。寂しいのか、小さな声で鳴く猫にKさんが思い切って手を伸ばすと、触らせてくれる。その様子を伝えるメールには、「『ありがとう』って号泣しました」と書いてあったという。

傷ついた動物を見つけたらどうする?「大切なのは救ってあげたいという気持ち」

  • 治療を受け、落ち着いた様子(写真:ねこけんブログより)

    治療を受け、落ち着いた様子(写真:ねこけんブログより)

 今回、「なんとかして助けてあげたい」と猫に深い愛情を持つKさんだったからこそ、心温まる結末を迎えることができた。だが実際は、目の前に動けない猫を見つけたとき、どう対処をすればいいか悩む人も多いだろう。まず頭に思い浮かぶことは、「助けてあげたいけれど、病院の費用は自分が出さなければいけないのか?」「治療費はいくらかかるのか?」。そして、治療した後は「自分が引き取らねばならないのか?」。動物病院にしても、動物を飼ったことのない者にとっては未知の領域ともいえる。

 溝上氏は、「誰もがためらいなく、ケガした動物に手を差し伸べられるような世界になってほしいです」と述べる。

 「いろいろと不安はあると思いますが、大切なのは猫を救ってあげたいという気持ち。どんなに経験のある人も、初めてのときは不安があります。私たちも最初はみなさんと同じく、不安がありました。でも、そんな状況に遭遇したとき、猫を救いたい強い気持ちがあれば大丈夫。頑張って対処してみて、どうにもならなくなったら『ねこけん』のような団体に相談すればいいのだと私は思います」。

 「過酷な外生活だったのだろうと思います。身体は痩せてガリガリですので、これからシッカリ食べて、健康体になってリハビリも頑張ってもらいます!」とKさん。この子猫はきっと、これから愛情のある家族のもとで幸せな生活を送るだろう。動けない猫を目にしたとき、見て見ぬふりをするのではなく、手を差し伸べることのできる社会であってほしい。

(文:今 泉)

■NPO法人『ねこけん』(外部サイト)

■『ねこけん』オフィシャルブログ(外部サイト)

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