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「タバコを止めて猫を救う」動けない命つないだ“小さい決心”、「『ありがとう』って号泣しました」
職場に現れた動けない猫、障害が残るも「連れてきて良かった」
相談を受けた『ねこけん』だったが、現場はかなりの遠方。「私たちもできる限り救助に向かいたかったんですが、早急に動けないこともあります。シェルターに空きがないこともありますし、どうしてもマンパワーが足りない場合があるんです」と溝上氏。そこで、『ねこけん』からKさんに向けて、さまざまなアドバイスを送くることにした。Kさんはそれを受け、なんとか子猫の保護に成功。捕獲するまでに、実に3時間もかかったそうだ。
Kさんはすでに片腕のない猫を飼っており、その子が突然出産した子猫2匹も譲渡ができなかったため、家族に迎えていたという。これ以上、猫を飼うのは難しいと思いながら、先々の不安よりも目の前の動けない子猫をなんとかして助けてあげたい…そんな気持ちが強かった。
こうして保護した子猫を動物病院へ連れて行くと、白血病、エイズは陰性で血液や内臓にも問題はない。ただ、やはり骨盤骨折をしていた。おそらく数ヵ月で歩行はできるようになるが、膀胱麻痺が残ったり、うんちが腸内に詰まる恐れもあるという。そんな状態にもかかわらず、Kさんは「結果にショックはありますが、連れてきてよかったです」と、『ねこけん』にメールを送ってきた。保護後に不安もあったはずなのに、「連れてきてよかった」。その言葉を聞いたことに、『ねこけん』のメンバーも胸をなでおろし、涙を流したそうだ。
たとえ医療費がかかっても…、触らせてくれた猫に「『ありがとう』って号泣しました」
子猫は、最初こそシャーシャーと毛を逆立てていたが、痛みと恐怖から解放され、しばらくすると落ち着きを取り戻したようだ。寂しいのか、小さな声で鳴く猫にKさんが思い切って手を伸ばすと、触らせてくれる。その様子を伝えるメールには、「『ありがとう』って号泣しました」と書いてあったという。
傷ついた動物を見つけたらどうする?「大切なのは救ってあげたいという気持ち」
溝上氏は、「誰もがためらいなく、ケガした動物に手を差し伸べられるような世界になってほしいです」と述べる。
「いろいろと不安はあると思いますが、大切なのは猫を救ってあげたいという気持ち。どんなに経験のある人も、初めてのときは不安があります。私たちも最初はみなさんと同じく、不安がありました。でも、そんな状況に遭遇したとき、猫を救いたい強い気持ちがあれば大丈夫。頑張って対処してみて、どうにもならなくなったら『ねこけん』のような団体に相談すればいいのだと私は思います」。
「過酷な外生活だったのだろうと思います。身体は痩せてガリガリですので、これからシッカリ食べて、健康体になってリハビリも頑張ってもらいます!」とKさん。この子猫はきっと、これから愛情のある家族のもとで幸せな生活を送るだろう。動けない猫を目にしたとき、見て見ぬふりをするのではなく、手を差し伸べることのできる社会であってほしい。
(文:今 泉)
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