高橋優 “今日の目標”を「大きな夢」につなげる、心の整理術 つらい時の発想転換

この記事は、LINE初の総合エンタメメディア「Fanthology!」とオリコンNewSの共同企画です。
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高橋優

2020年にデビュー10周年を迎えたシンガーソングライターの高橋優さん。同年8月から2021年8月まで約1年間、毎日Twitterにアップしていた「今日の目標」や、高校時代から音楽を始め27歳でデビューしたという経験から、何かを続けるためのコツ、そして夢をかなえるために必要だったことについて話を聞きました。

撮影:田中達晃(Pash) 取材・文:東海林その子
記事制作:オリコンNewS
スタイリスト:上井大輔
ヘアメイク:眞弓秀明
衣装:カシュクールトップス¥25,300、パンツ¥30,800/共にCULLNI(Sian PR)
バンドカラーシャツ¥24,200/SOPHNET.(SOPH.)
その他/スタイリスト私物

毎日書くけど“振り返らない” 日常のToDoをつづったノート

――昨年8月27日から今年の8月22日まで、Twitterに「今日の目標」をアップし続けてこられました。1年間継続してみて、いかがでしたか?
本当のことを言うと、Twitterに載せていないだけで、自分の一日の指針みたいなものをこれまでもずっと書いていて。なので、過去形にはまだなってないですね。
――いつ頃から今日の目標を決めるようになったのですか?
いつ頃だろうな……。自分の生活サイクルというのはわりと上京して序盤の頃からあって、ノートになんでも書いていたんですよね。頭で考えるのが上手な人は何もしなくても整理ができると思うんですけど、僕の場合は自分の頭ひとつで考えると整理がつかないことが多いので、ノートに書いていて。文字にしたり絵にしたりすると、自分の考えの概要を客観視できるので、そういう役割をノートに担ってもらっている感じですね。
――Twitterではノートの一番上に書かれた目標がトリミングされていましたが、あの下には何が書かれているのでしょうか?
あの下にはTo Doリストを書くんですよ。トイレットペーパーを買いに行くとか、練習するとか。練習の内容は「別途」と書いておいて、また横のページとかに内容を書いたりして。日によりますけど、それが何時から何時までかも書いたりしますね。そうしないと僕、結構だらしない人なので、本当に何もやらないんです。あんまり分刻みで決めて疲れちゃうときはザックリになりますけど。

――それは起きたらまず書かれるのですか?
最近は書く時間がありますね。朝の9時過ぎぐらいです(笑)。

――デビュー当時から続けてきたことを、なぜTwitterに上げてみようと思ったのですか?
Twitterに上げるようになったのは、去年、僕が主催している『秋田CARAVAN MUSIC FES』を開催できなくなったことが最終的に判明した直後ぐらいで。そんなに深く考えてやっていたわけじゃないんですけど、きっかけのひとつとして、その中止が大きかったですね。次に向けて自分の日常をより盛り上げていこう、少しでも次に繋がればいいなと思っていたんですけど、今年も開催できなくなったので、そのタイミングでストップして。またアプローチを変えようかなと思って辞めた感じですね。
――Twitterに上げることで、変化はありましたか?
友だちに会うと、ときどき「目標をあげてるから生存確認ができた」とか(笑)、「俺もそうしようと思った」みたいなことを言ってくれて。あとはこういう取材を受けたときに「あれには何か深い意味があるんじゃないですか?」と聞かれる機会はちょっとだけ増えましたね。
――目標の中には「今日中に絶対洗濯して食器も洗う!」という日常的なものから、「昼夜逆転」と内容が気になるものもありました。
「昼夜逆転」に関しては、夜中にラジオの生放送があったので、その日のピークをそこに持ってこようと思うと昼夜逆転せざるを得ないというか。それで前日とかから生活を変えようということで、その目標を立てたんだと思うんですよね。今言われて思い出しました。
――「今日の目標」ではなく「今日のなぞなぞ」の日もありましたよね。
あのときは、ふざけていたんだと思います(笑)。ふざけたいところが基本的にはあるんですけど、だいたい怒られるじゃないですか。そういうときに笑ったり、同じようにふざけてくれるのってやっぱり気の合う人なんですよ。だから僕、ふざける相手はかなり選ぶんですよね。Twitterであれを上げたのは本当にささやかな歩み寄りというか、ある種の覚悟というか。「は?」みたいな冷たい、心ない言葉がたくさん返ってくるかもしれないけど、どうせなぞなぞだし、誰かを傷つける言葉でもないしいいや!と思って(笑)。それは一瞬、上げるときにほんのちょっと頭をよぎるぐらいですけどね。
――これまで考えた目標を後で振り返ることはありますか?
あまりないですね。ただそのときそのときでちっちゃなテーマがあって、例えば最近だと一日に一回は自分で豆から挽いたコーヒーを飲んでいるんですけど、「そういえばいつから始めたんだっけ?」と振り返ることはあります。でもノートがいっぱいになったら、基本は捨てちゃうんです。ときどき断捨離する時期がやってくるんですよね。あってもなくてもいいものって考えていくといろいろ残っちゃうので、絶対に必要なものをピックアップして、それ以外は全部捨てるんです。なのでノートも最近の2、3冊ぐらいは残して、あとは処分しています。

遅咲きでもかなえた数々の夢 “思い描く力”の大切さ

――高橋さんが“長く続けてきたもの”といえば、もちろん音楽もそのひとつだと思います。高校時代に音楽を始め27歳でデビューされて、“遅咲き”と言われることもあったかと思うのですが、その年齢でデビューしてよかったと思うことはありますか?
いいことは、すごくたくさんあったと思いますね。例えばレコード会社の方や事務所のマネージャーに(社会人として)ゼロから教育を受けて芸能界での仕事に励んできた人って、教えられたことが果たして正しいのかを自分で判断することも、勉強し直すことも、だいぶ大人になってからになると聞いたことがあって。あくまで“一説によると”ですけど。

なので、自分みたいなお調子者が10代とかでデビューしていたら、絶対に調子に乗っていたと思うんですよ(笑)。アルバイトをたくさんして、いろんな仕事をしている人たちがいることを知れたし、事務所に入ってからデビューするまでに3年かかっているので、デビューした人がどうなっていくかを冷静に見られたことも、27歳というタイミングでデビューしてよかったことなのかなと。例えば映画館で舞台挨拶の裏方をやったことがあるので、自分が映画に出て舞台挨拶に立ったときにスタッフの動きを見られるという視点を持てるのは、幸せなことなのかなと思うんです。

僕の中にはいつでも“デビューできなかったほうの自分”がずっといるというか、自分に羽が生えたり、身長以上にめちゃめちゃでかい存在になったと勘違いをすることは、多分永遠になくて。武道館に立てたり、ホールで歌わせてもらえることが当たり前ではなくて、そこに対する感謝の気持ちみたいなものはずっと持っていますね。
――これまでを振り返って、夢や目標をかなえるためにこれが大事だったなと思うことはありますか?
正直、まだ夢をかなえられたと思ってないんです。どれくらいの規模なのかわからないけれども、ものすごくでっかい会場の真ん中で僕が歌っている絵を僕はずっと頭の中で描いているんですよね。ただ、そういう“見えている景色”を思い出してみると、これまでにいっぱいあって。

高校生の頃、部屋だとうるさいから山とかに行って歌っていた時期に、目を閉じて妄想していたのは、路上ライブに10人から20人ぐらいのお客さんが立ち止まってくれている光景。もしそうなったら楽しそうだなと思っていたら、札幌で路上ライブしていたときにそれとものすごく似た景色に遭遇することができて。「何これ? デジャブ?」と思ったけど、自分で思い描いていただけだったっていう。それが今まで武道館でもあったし、横アリでもあったんです。

多分山で歌っていたときから、それとなく大きいところで歌うことも想像していたと思うんですよ。当時好きだったイエモン(THE YELLOW MONKEY)やB’zのライブ映像を見ていたので、「ああいうところで歌えたら」と妄想したりして。デビューしてからもあの会場に立ったらこんな感じかなって想像していくんですけど、ライブをやればやるほど、だんだん「会場の温度はクーラーが効いてて意外と涼しいのかな」とか、「こういう音が聞こえるのかな」「こういう匂いがするのかな」とリアルになっていくんですよね。そうやって想像するのが、自分の中でひとつの心の安心材料になっている気がします。

あと高橋家の実家はすごく古くて、もう築何十年、下手したら100年ぐらい経っていたので、新しい家を建てて、僕の父親と母親が玄関から入ってくる光景をずっと想像していたんです。2015年ぐらいにそれをかなえたときに、玄関から両親が入ってくる姿がまさしく想像していたのと同じような絵だったんですよね。変な自己啓発本みたいな話になっちゃっていますけど(笑)、意外と「想像すること」から始まるものだし、思い描き続けることは大きい気がしますね。
――デジャブかと思われるくらい、すごくリアルな想像なんですね。
そうですね。せっかく想像するんだったら、具体的に想像したほうが楽しい気がしませんか(笑)? ボヤッと想像して途中でやめると、なんとなく悲しい気持ちになるんですよね。

「『うんざりしている』と思えることは大事」 つらい時の発想転換

――好きなことでも続けるとなると難しく、三日坊主になってしまうという人も多いですが、高橋さん流の「続けるためのコツ」はありますか?
僕は“うんざり”との付き合い方じゃないかなと思いますね。3日で辞める人は、3日ぐらいで辞めたくなっているんだと思うんですよ。で、僕の考えでは辞めたくなっているぐらいのことは辞めたほうがいいような気もするんです。ただ、「続けたい」と思っていることでもうんざりが来る瞬間は必ずあって、そこが面白いところだなと思っていて。そのうんざりと上手に付き合えれば、続けられると思うんです。
――高橋さんはどうやってうんざりと付き合っているのですか?
僕の中では“小うんざり”と“大うんざり”というのがあって(笑)、どれだけ好きな音楽でも煮詰まり続けていると辞めたくなって、“大うんざり”が来ちゃったら、しばらく寝たくなったり現実逃避したくなっちゃうんですよ。だから「ちょっと疲れてきたな」とか「ちょっとうんざりしてきた」と思ったら、早めに一回離れてコーヒー飲むとか、別のことをやって。“小うんざり”と小休憩を繰り返していると、結果積み重なっていることになっているんですよね。

学生時代から続けているジョギングでも、10キロ走るなら3キロ地点と6キロ地点ぐらいで絶対に2回、ドンってうんざりがくるんですよね。で、最後の9キロ地点で「もう止めない? 9キロ走ったんだから10キロとほとんど一緒じゃない?」っていう、一番でかいのがくるんですよ。
――続けていてもそういうことがあるんですね。
あります、あります。でも「あと1キロなんだから走っちゃおうよ」と10キロ走れば、自分で決めていたらなおさら、決めたことをやれたという達成感が意外とデカくて。逆に、小うんざりを無視し続けると、玄関の靴すら揃えなくなっていくんですよ。でもその向こう側にいつも靴が揃っている玄関があるだけでメンタルが変わったりするので、うんざりとの付き合い方を僕は結構大事に考えていますね。

――そう考えられるようになるには、自分がどういうときにうんざりするかを把握していることも大事ですね。
そうですね。だから自分が今どんな気持ちでいるのかには、毎度アンテナを立てています。すっごく疲れて、全然寝てないから今日はマジでやりたくないと思ったとしても「やりたくないことを我慢した日だった」と自分で分かれば、しっかり分別がつけられる。何をやりたかったか、何をやりたくなかったが分からないまま日々を過ごしてしまっている状態って結構恐ろしいと思うんですよ。だから「自分は今うんざりしている」と思えていることは大事だと感じるし、逆も然りで、「今めちゃめちゃ楽しんでいる」と思えることも絶対大事。
――そのとき感じていることを無視しない、ということですね。
自分で自分のことも楽しませられないような人が誰かに楽しんでほしいなんて言うのは、子育てしたことないのに子育てについて熱く語る人みたいに(笑)、ちょっと説得力に欠ける気がするんですよね。だから誰よりも、“うんざり”と“うんざりの逆の感情”は大事にしています。

高橋優は「フィールドワークで成立している」アーティスト 新曲&全国ツアーへの思い

――新曲『Piece』についてもお話を聞かせてください。JICA海外協力隊(日本が開発途上国への国際協力を行うボランティア事業)のCMソングに起用されましたが、JICAの活動や理念からインスピレーションを受けた部分はあるのでしょうか?
JICAというきっかけがあって、日本人が出会うことのなかった人たちと出会って協力し合ったり、助け合うという構図は素敵だと思うんです。ただ海外とまではいかなくても、例えば横断歩道をゆっくり渡っているおばあちゃんに「一緒に渡ろうか」と言って車を停めたり、道を尋ねられたら答えるとか、全くもって出会うはずがなかった人たちが出会って、ひとつの希望が生まれることは日常にいっぱいあると思うんですよね。でも最近はそういう良いハプニングより、悪いハプニングにフォーカスが当たっているような気がしていて。その大きな流れの中で誰かが決めたパズルを作っていくというより、デタラメでもいいから誰も見たことのない景色を作らなければいけないんじゃないかという思いは、JICAさんの活動からインスピレーションをいただいたというか。僕は「世界もあなたも、可能性に満ちている。」(JICAのキャッチコピー)という言葉にはそういう意味があるのかなと思って、曲作りに入りました。
――この楽曲では「思わぬ出会いが世界を変える」ということが歌われていますが、出会いがきっかけで自分や世界が変わったという経験はありますか?
もう、そんなことの連続ですね。札幌で路上ライブをしていたら自分をスカウトして東京で一緒にやろうと言ってくれた人がいて、東京に来たら『風とロック』というイベントをやっている箭内道彦さんに巡り合わせてもらって、大好きなバンドメンバーと知り合ったり、『風とロック』の中でもいろんなバンドマンの人たちと繋がらせてもらって。そういう一個一個の出会いで自分は変化しているし、どれも僕にとっては可能性をいただいていますね。
――そして10月からは全国26会場を回る全国ツアー『高橋優 LIVE TOUR 2021-2022「THIS IS MY PERSONALITY」』が開催されます。このタイミングで、この規模で開催しようと決意された理由をぜひ教えてください。
まあ、ずっとやりたかったというのが一番大きいですよね。去年の10月にアルバム『PERSONALITY』をリリースして、今年の10月にそのツアーをやるということはかなりイレギュラーなことですけれど、やっぱりこのアルバムのツアーを可能なときにやりたいという気持ちがあったんです。今、みんなが前例のないことにチャレンジしている状態だと思うので、今が正解なのかと言われたらベスト・アンサーではないですけど、ただ、今やってよかったと言えるようにしていくしかないと思うんですよね。もちろん感染防止対策は万全にした上で、今できる最高の音楽、最高のパフォーマンスを準備していますし、もし工夫の余地があればそれはどんどん取り入れていこうと思っています。何より来ていただくみなさんに快適に、楽しく過ごしていただけるようなライブにしたいですね。
――アルバムのツアーをやりたいという思いが強かったのですね。
いろんなミュージシャンの方がいらっしゃると思うんですけど、僕の場合は歌を届けて聴いていただいて、初めて作品が完成するので、このアルバムはまだ完成していないと思っているんですよ。それにアルバムに収録している『one stroke』のミュージックビデオではツアーで回った場所を映しているんですけれど、そこがまだ白紙で完成してないんです。ここ2年で高橋優という歌い手はみなさんとともにフィールドワークで成立している部分があるんだなと改めて痛感しているので、どうにかして会場でしっかり届けられる環境を作れたらなぁとずっと思っていましたね。
――今は楽しみな気持ちが大きいですか?
正直に言えば楽しみですね。ただ今の状況を無視しているつもりは一切ないので、僕が楽しみって思っているものを、みんなにも「楽しみだね」「楽しかったね」と言えるようにするための工夫を加えなければいけないと、同じぐらい考えています。
プロフィール
高橋優(たかはし・ゆう)

1983年12月26日生まれ。秋田県横手市出身。2008年、活動の拠点を札幌から東京に移し、2010年4月、デビュー前に『福笑い』が東京メトロCMソングに起用され話題に。同年7月にSingle『素晴らしき日常』でメジャーデビューした。2013年11月には初の武道館公演を開催。2016年、自身主催の野外音楽フェス『秋田CARAVAN MUSIC FES 2016』開催、以降2019年まで継続的に開催した。2020年、デビュー10年を迎え、7th Album『PERSONALITY』をリリースした。
今年9月17日に配信Single『Piece』をリリース。10月7日の神奈川・よこすか芸術劇場を皮切りに全国26会場・29公演をめぐる全国ツアー『高橋優 LIVE TOUR 2021-2022「THIS IS MY PERSONALITY」』を開催する。
作品情報

Single『Piece』配信中

作詞・作曲:高橋優/編曲:ha-j
JICA海外協力隊 CMソング
この記事について
この記事は、LINE初の総合エンタメメディア「Fanthology!」とオリコンNewSの共同企画です。
俳優・歌手・芸人・タレントらの趣味嗜好を深堀りしつつ、ファンの「好き」を応援。今後、さらに気になる人の「これまで」と「これから」をお届けしていきます。
⇒この記事をオリジナルページで読む(9月28日掲載)

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