ORICON NEWS
クリクリした目のアメショの美猫 飼い主の離婚に二晩鳴き続け…新たな居場所を見つけるまで
「自分で飼い始めたのに、自分の都合で『引き取ってほしい』という依頼は本当に多い」
だが、しばらくして元妻から「猫を飼えなくなった」と連絡が入った。すでにペット不可の物件に住んでいた元旦那は、扱いに困り、『ねこけん』に相談したという。こうして風子は、『ねこけん』によって保護されることになった。
「猫を引き取ったにも関わらず、元奥さんもペット不可のところに住んでしまったようで、結局飼えなくなって元旦那に相談したそうです。猫を飼うならペット可の物件に住む、これは当たり前のこと。離婚には事情があると思いますが、飼い猫まで巻き込んでいいということではないと思います」と溝上氏。世の中には問題外の多頭飼いや虐待など、ひどい飼い主もいるが、おそらくこの夫婦は離婚しただけで、本来は普通の飼い主だったのだろう。しかし、ペットを飼う上では「身勝手」と言われても仕方がない。
「自分で飼い始めたのに、自分の都合で『引き取ってほしい』と言ってくる依頼は、本当に多いです。すでに猫を飼っているにも関わらず、ペット不可の団地に引っ越しをしてしまった、という事例もあります。一体何を考えてのことなのか…、困惑するケースが多々あります」。
ご飯を食べずに鳴き続け…、猫を傷つける環境の変化
「うちにきたとき、風子ちゃんは何日もご飯を食べず、二晩鳴き続けました」と、溝上氏は保護当時の様子を語る。はじめは隠れしまい、なかなかボランティアメンバーの前に姿を現さない。きっと、なぜ家族が迎えにこないのか、必死に呼んでいたのだろう。いきなり知らない場所に連れてこられ、周りは知らない人ばかり。風子の不安は、二晩も鳴き続けた姿にはっきりと表れていた。
そんな風子だったが、預かりボランティアの献身的なお世話もあり、徐々に環境に慣れていった。本来の甘えん坊の性格を見せはじめ、スタッフも本当に安心したという。しばらくして、風子は里親とのトライアル期間を経て正式な家族として迎え入れられ、『ねこけん』から巣立っていった。風子に付けられた新たな名前は、「凪」。波が穏やかなことを表す言葉だ。この言葉が表すように、ずっと安心して暮らせる穏やかな心を保ってほしいと願うばかりである。
(文:今 泉)