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声優・吉野裕行を築き上げたキャラ5選 『弱ペダ』荒北、『薄桜鬼』藤堂平助など“不完全な人”の愛おしさ

やりたいことを実現するためのカタチがフルアルバムだった

――声優として演じてきた作品についてたっぷりと振り返っていただきましたが、続いては、3月3日リリースの初フルアルバム『カタシグレ』についてお話を聞かせてください。アーティストデビューから8年目、いろいろと思い入れがあるかと思いますが……。
吉野裕行フルとかミニとかシングルといった形式というよりは、「そのときに作りたい曲を届けたい」という部分を大切にしています。アーティストを何年かやってきたのでそろそろフルアルバムを……という流れは理解できるのですが、個人的にはそういう流れには興味がなくて(苦笑)。自分がやりたいかやりたくないかがはっきりしているんです。もちろん「ファンの方が喜ぶから」と言われたら、やりましょうとなりますけどね。今回、僕がやりたいと思っていることを実現するには、フルアルバムという形が一番合っていました。

――“やりたい”と考えていたことは何だったのでしょうか。
吉野裕行やりたかったことの中で大きいものの一つをリード曲で実現しているのですが、アニメ『SKET DANCE』のOP・EDでお世話になったメンバーと一緒に音楽を作りたかった。アニメをやっている時に募集を経て「The Sketchbook」というスリーピースバンドが結成され、彼らがひたむきに音楽をやっているのを見て、すごいなって思っていたので。ライブを見に行かせてもらうなどしているうちに、「いつか彼らと一緒に音楽を作りたい」と思うようになりました。

現在はメンバーそれぞれ違う道を行っているのですが、それでも「彼らを自分の曲の中に登場させたい」「MVに出したい」だけでなく、曲作りにも参加してほしいと思い、本人や事務所の許可も得て参加してもらいました。それがどうしてもやりたかったので、叶えるためにもフルアルバムがふさわしい“場所”でした。


――制作されてみて、クリエイティブの部分で楽しかったり大変だったりしたことは?
吉野裕行アーティスト1本でやっている方とは違うので、自分の歌との付き合い方というか、技術的な面で足りなかったり、苦労することがあるのがつらいですね。レコーディングをやっていて毎回新しい課題に引っかかるなっていうのがあります。

そういったレコーディングのつらい面をのぞけば、あとはほぼ楽しいですね。曲や歌詞の制作は自分がやりたいものをお願いできているので、非常に恵まれていると思います。もちろん産みの苦しみやスケジュール、コンディションとマッチしないとか大変な部分もありますが、基本的に楽しいことばかりですよ。

――楽曲や曲順など、こだわったポイントを教えてください。
吉野裕行プレイリストについて、僕の中で一つ決まっていたのはリード曲を頭か最後にすることで、それ以外は正直ディレクターにお任せでした。曲の流れは良いに越したことはありませんが、自分の中でまだ音楽経験が少ないからか、ライブをやる際アルバムと同じような曲順になっちゃうと、何かモヤモヤするときがあるんです。だからこそディレクターの判断や感性を信じて組んでもらいました。

アルバムを聴いていただくとわかると思いますが、常に自分が好きな曲、そのときにいいなと思っているものを作る形でやらせてもらっているので、そもそも僕のやっている音楽は“バラバラ”なんです。例えば「今回はバラード集中」とか決めてしまうと、上がってきた曲を聴いてイメージと違うとなったとき、外さなきゃいけなくなりますが、それが嫌なので。イメージが違っても良い曲は良いし、自分が好きだと思ったら入れたい。だからあえてコンセプトは設けず、とにかく良いと感じるものをやりたいので、結果としていろいろなタイプを詰め込んでいる状態になるのです。

――待望の1stフルアルバムとなりますが、今作の“吉野裕行らしさ”を敢えて言葉にするとしたらどんな部分でしょうか。
吉野裕行先ほどのキャラクターの話でも言いましたが、完全じゃなくてバラバラで全部まぜこぜな部分。自分自身も波があって良いとき悪いときありますけど、そういう感情の起伏も含めてまとまっていないところですね。

最終的には聴いてくれる人たちに委ねられるものであり、聴いた人たちのものなので、アルバムの中のどれか1曲でも好きと思ってくれればよくて。もちろん全て良い曲だけど「全部いいだろう?」という気持ちはないですね。ディレクターが提案してくれたものなども自分で聴いて、良さを納得して着地点を探す。制作ではその作業を徹底しています。

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