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デビューから50年を超えたブレッド&バター、スティービー・ワンダーとの意外な関係とは

「リメンバー・マイ・ラブ」は友情の証だった

インタビューを受けるブレッド&バター

インタビューを受けるブレッド&バター

――で、レコーディングは、やったんですか?
幸矢歌詞はサビの「I Just Called〜」の部分しかなかったんで、ユーミンが日本語詞を書いてくれて、無事レコーディングも終えたんですね。で、発売の1ヵ月か2ヵ月くらい前だったかな、いよいよ発売するということを彼に連絡したんですね。そうしたら、ちょっと待ってくれ、と言われたんです。
 彼が『ウーマン・イン・レッド』という映画の主題歌を書くことになって、まずは他の曲を渡したらしいんだけど、それではOKが出なくて、別の曲が必要となった時に、この曲を思い出したらしいんです。実は彼が僕にこの曲をくれた時に、チラチラとスタッフの言葉が聞こえてたんです。「この曲本当にあげてしまうのか。絶対ヒットするから自分で歌った方がいいんじゃないの」って。で、僕たちも事情を理解して、ブレッド&バター盤は発売中止にしました。

――で、この曲はスティービーの代表曲となって世界中で大ヒットして、その後、スティービーと彼のパートナーだった人間で曲の権利に関する訴訟問題が出てくるんですね。
幸矢ある日、スティービーから自宅に電話があったんですよ。僕は外出中で娘が出たのかな。で、折り返し電話をしたら、あの曲の著作権が訴訟問題になっているんで、自分が作ったという証拠になるものがないかって話だったんです。あの時のテープがあるからって言って、即送ったんですよ。
――コピーしたものではなく、オリジナルのテープそのものですか?
幸矢そうだったんです。あの頃はダビングも簡単にはできなかったですからね。持っていれば宝だったんですけどね。で、結局、そのカセットが決め手になって、スティービーが勝ったんですね。その報告はスティービーの通訳スタッフからあったのかな。まずは良かったって話でしたね。

――その後、「リメンバー・マイ・ラブ」をスティービーがプレゼントしてくれるんですね。
幸矢いつの来日だったかな。日本公演に彼が来た時に、彼のホテルに呼ばれて行ったんですよ。そこで、彼は一人で曲を作っていてね。「リメンバー・マイ・ラブ」っていう曲だっていうんですよ。その時僕は、いい曲だな、くらいにしか思っていなかったんですけど。また次の日に行ったのかな、そこで彼にスタジオを取ってくれって言われたんですね。で、当時新宿にあったテイクワンスタジオを取ってあげてね。レコーディングの様子を見に行ったら、「実は今録音しているこの曲は君のために作った曲なんだ、僕の友情を忘れないで欲しい」って言われたんですね。

――素敵なエピソードですね。こうやって今、改めて話題になったこのエピソードをどう思いますか。
幸矢スティービーという人間の素晴らしさを改めて感じますね。最初に曲提供のお願いをした時、スタッフの人たちは「日本のよくわからないミュージシャンに、曲をあげることはないじゃないか」って言ってた訳で、それを振り切って僕たちに曲を提供してくれた訳ですから。「リメンバー・マイ・ラブ」も曲そのものが友情の証ということをはっきりとわからせてくれる作品ですし。

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