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『Vol.14 フォークソング+朗読劇 レコード会社の新しい試み』

フォークソング+朗読劇 レコード会社の新し試み

  • 『あの頃僕らはペニーレインで』には豪華キャストが集結

    『あの頃僕らはペニーレインで』には豪華キャストが集結

 昨今、CDセールスの低迷で苦境に立たされているレコード会社。さまざまな新しいビジネスを試み、既存のビジネスモデルからの脱却を図っている。イベントを主催したり、一般企業のイメージCDを作成したり、そういった試みから新しい時代への対応が見え始めている。

 さて、そんな中で、またひとつ新しい試みが生まれた。それは、1970年代に当時の若者を虜にしたフォークソングの時代感を舞台朗読で再現しようというものだ。タイトルは『あの頃僕らはペニーレインで』。5月3日〜6日まで、東京・日本橋三井ホールで上演される。

 1976年にオープンした原宿のBar『ペニーレイン』。吉田拓郎が「ペニーレインでバーボンを」と歌ったことで一躍脚光を浴びたフォークソングの聖地とも言えるBarだ。この「ペニーレイン」を舞台に、そこで出会った若者たちの青春群像を描く。作家の重松清さんが原作を書き下ろした。出演者は哀川翔、小西真奈美、柏原収史、安倍なつみといった豪華な布陣に加え、新人ミュージシャンながら大抜擢されたバンド・しなまゆのボーカル モリユイなど。

 最近脚光を浴びているのが朗読劇。これは、ストーリーを登場人物のセリフのみで構成したもので、そういう意味では演劇と一緒とも言える。演劇との違いは、あくまで出演者はお芝居を演じるわけではなく、ステージ上で場所の移動等はなく、台本上の自分のセリフを感情を込めて読んでいくというところにある。登場人物はみな、自分の役にふさわしい衣装に身を包み、劇伴音楽はすべて生演奏、舞台美術や照明は演劇以上の質感でというのが基本系だ。昨今人気を博しているのは『サウンド・シアター』と銘打たれたオリジナル脚本で上演される一連のシリーズ。これは毎回チケット完売が続出する人気になっている。

“あの頃ペニーレインで見た夢”を蘇らせたい

  • コンピアルバム『あの頃僕らはペニーレインで』も2枚同時に発売される

    コンピアルバム『あの頃僕らはペニーレインで』も2枚同時に発売される

 そんな朗読劇の主催、上演に新たに挑戦するのが、フォーライフミュージックエンタテイメント。1975年に小室等、吉田拓郎、井上陽水、泉谷しげるの4人が創設した、日本の音楽シーンを変えたベンチャースピリットあふれるレコード会社だ。

 『ペニーレイン』は、まさにそんなフォーライフを中心としたフォークソング、ニューミュージックブームの中心にあった。それだけに、このレコード会社が取り組む必然性のある物語だといえよう。

 企画・制作は現在同社の社長をつとめる後藤由多加氏。もともと小室等、吉田拓郎が当時所属したユイ音楽工房の社長であり、当時フォーライフを4人のアーティストが設立する際の影の立役者だった。そして、アーティスト経営が苦境に立つとフォーライフの社長になり、フォーク、ニューミュージックの隆盛を支えた人物だ。後藤氏は「あの時代へのノスタルジー、時代を体現した音楽、そして青春という永遠のテーマを舞台で描きたい。あの頃僕らがペニーレインで見た夢を時代を超えてよみがえらせていきたい」と意欲に燃える。

 この舞台の世界観をテーマに、1970年代から80年代前半に若者に影響を与えた名曲の数々を収録したコンピレーション・アルバム『あの頃僕らはペニーレインで』も2枚同時に4月30日に発売される。ペニーレイン世代の代表的アーティストである吉田拓郎や猫、かぐや姫、イルカ、小室等らの名曲が1枚に17曲ずつ収録される。舞台の話題に乗ったコンピのセールスにも注目したい。

 フォーライフが挑戦する新たな試み。これが成功すれば、時代と音楽をテーマにした舞台朗読劇や演劇はさまざまなヒット曲を抱える各レコード会社にとって新たな収益源となり、舞台の企画内容に沿ったコンピ盤で楽曲も活性化する可能性も高い。そういう視点からも注目したい取り組みなのだ。

⇒『あの頃僕らはぺ二―レインで』公式サイト

⇒しなまゆ 公式サイト

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『あの頃僕らはぺ二―レインで』公式サイト
しなまゆ 公式サイト

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