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深津絵里が神秘性を保ち続けるワケ 女優として“嘘をつくことなく”歩み続けた35年

不器用だからこそフィクションをリアルに落とし込む…深津の“真実”の演技

 2009年の映画『女の子ものがたり』では、昼間からビールを飲み、ダメダメな生活を送ってしまう女性を演じたが、そのインタビューで、共感する部分は全くないと語っている。「仕事ができない!と思ったことはない。たとえできないような状況になっても、逃避することはないですね。仕事でスランプだなんて言っていられない」。彼女が仕事に対していかにストイックかが浮き彫りになる。同インタビューでは、女優の仕事がデビューした時から「楽しかった」、「14歳でやりたいことが見つかってよかった」とも。役者という職業を自身の天職のように感じているのかもしれない。

 2017年には生き方について語っている。「人生を楽しむのは難しいですよね。“人生楽しんだもの勝ち”とか、“一度きりだから楽しまなきゃもったいない”とか、言うのは簡単な気がして(笑)。実際は楽しいだけじゃなくて、苦しいことの方が多いと思う。でも、“苦しいからこそ楽しく生きなくちゃ”って思うものなんでしょうね。そのためには“自分はこうなんだ”と思うものを見つけて大事にしていきたい」。また『悪人』のインタビューで聞かれた「自分は○○人か?」という質問に、深津は「凡人」と回答。「私は、本当に役によって生かされてるなと。本当は趣味がないくらいにつまらない人間なんです」とコメントを残している。

「深津さんは自身について“不器用”だと話されています。例えば、空腹じゃない状況で空腹の芝居ができる人はいいけど自分はそれができない。だからその状況に自分も近づけていくのだと。つまり彼女は嘘がつけない。役者として“天才”ではないのかもしれないが、“嘘”のないそのスタイルで、“嘘”であるフィクションを視聴者のリアルに落とし込めているのではないか」(衣輪氏)

 深津は30代後半から出演本数が少なくなるが、それは、年齢を重ね、1つ1つの仕事に“嘘をつかず”向き合おうとした結果だと筆者は感じている。フランスの哲学者・パスカルは「我々は理性によってのみではなく、心によって真実を知る」と語った。『カムカムエヴリバディ』でも、きっと深津が演じる“真実”を知ることになるだろう。

(文/西島亨)

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