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深津絵里が神秘性を保ち続けるワケ 女優として“嘘をつくことなく”歩み続けた35年

同業者からも畏敬の念…見る側の“想像内”に存在するからこそ保たれる清廉性と神秘性

 そんな深津の特筆すべき点は、プライベートについてほとんど知られてないことだ。2017年の映画『サバイバルファミリー』で共演した小日向文世も、過去のインタビューで「こんなミステリアスな女性が僕の相手役になるわけがないと思っていた」と話しているように、“ミステリアス”という表現がよく似合う。SNSや番組内で芸能人が自身のプライベートを明かす機会が多く、役者の私生活が可視化されやすい現代においても、だ。

 「芸能人のブログやSNSがトレンドになったのにはいくつかの理由があります。1つは“親近感”が人気の1つの指標になったこと。次に“収益化”と“宣伝”。そして“表現方法”。テレビ出演だけでなく、別の方法での自分の表現の模索です。もう1つは“自衛”。テレビ、新聞、雑誌がメインだった時代は情報源がそこしかなく憶測記事も多かった。ですがSNSなどで本人が“真相”を発信できる時代になり、オールドメディアに対して楔(くさび)を打てるようになったのです」(衣輪氏)
 「ただし」と同氏は続ける。「こと役者という職業は、従来から私生活を見せることを嫌っていました。これは、変にイメージが付きすぎてしまうと、役を演じていても、観る側に“それ”がチラついてしまう諸刃の剣だからです。だからSNSをやらない役者も多い。『カバチタレ!』(フジテレビ系)で深津さんと共演した盟友・常盤貴子さんも『SNSなどで自分が食べたものとか知らせたくない。なぜならそれは“想像”してほしいから』と話されていました」

 つまり、プライベートが見えないからこそ役者としての神秘性・清廉性が保たれ、不純物なき役柄を魅せることができる。深津もこのパターンであり、視聴者の“想像内”に存在するからこそ、『悪人』などのシリアスな作品から『ステキな金縛り』といったコメディ作品まで幅広く演じることができたのだろう。

 結果、深津絵里は自身のブランドを獲得することもできた。同業者にも好評で、西田敏行は「深津さんは、真摯(しんし)に役として生きるだけで、あるときは笑いになるし、シリアスにもなる」と発言。映画『岸辺の旅』でメガホンをとった黒沢清監督は、深津を指して「何があっても揺らがない超人」と話す。佐藤健、妻夫木聡、小日向文世など、芸能人のファンも多い。多くの俳優に共演できて光栄と言わしめる女優であることは、彼女が役者として一流の風格を持っているという証左だ。

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