ORICON NEWS
日テレを代表するキラーコンテンツ「ゴチ」&「おもしろ荘」 経年劣化しない『ぐるナイ』の強固さ
毎年ネットを騒がせる「クビ」決定 豪華レギュラー陣も容赦なく脱落のヒリヒリ感
ゴチメンバーのエピソードも豪華で、不敗神話を維持し続けた出川哲朗(パート4でクビ)や、パート18まで19年もメンバーを務めた「元祖ゴチドル(当時)」こと国分太一のクビをはじめ、「食の変態」「うんちくサスペンス野郎」と揶揄された“船ゴチ”こと船越英一郎、女性ゴチメンバーでは最長&最年長の江角マキコがクビになった際には、すでにフリーアナに転身していた羽鳥がなぜか号泣…といった具合に枚挙に暇がない。
また、2002年のパート3からはじまった「年間自腹総額が最も多かったゴチメンバーがクビになる」(年によっては2名)といったルールが新たなるドラマを生めば、新規のメンバーを発表するときは引っ張るだけ引っ張り、視聴者の飢餓感が頂点に達したあたりで、たとえば佐々木希の発表時などは「やっぱすげーかわいい!」的な反響が大きくなる。
ゴチ史上最年長の故・大杉漣さんが亡くなった際は、大杉さんがかつて披露したサンシャイン池崎のネタを放送。あとを受け継いだ田中圭は、「漣さんのあとに入ったので、絶対に初年度はクビになっちゃいけないと。遺志を受け継いでピタリ賞を取りたいですね(大杉さんは2週続けてピタリ賞を取ったことがある)」と語り、視聴者の涙を誘った。
その他ゴチメンバー、中島知子、セイン・カミュ、優香、井上和香、森泉、柳葉敏郎、平井理央等々、その名前を見るだけでもそのときの「ゴチ」と放送時の時代背景を思い起こさせるものがある。番組の内容そのものも視聴者が料理の値段を一緒に予想し、「これは高すぎる」「安すぎるだろう」的なツッコミができるし、いわば「視聴者とともに歩んできたゴチ」と言える。
「おもしろ荘」がオードリーに小島よしお、ぺこぱ…ネクストブレイク発掘の指標に
先述の小島よしお、ジョイマン、オードリーがブレイクすると2010年にはお正月の特別番組枠で放送されるようになり、2012年からは岡村隆史と有吉弘行、出川といったレギュラーが優勝者を決める形式となった。
以降、横澤夏子、永野、あばれる君、おかずクラブ、8.6秒バズーカー、ブルゾンちえみ、ぺこぱ、エイトブリッジ等々の若手芸人を輩出。直近で言えば、2019年の優勝者ぺこぱは昨年大ブレイクを果たし、2020年の優勝者エイトブリッジも着実に露出を増やしている。
地上波のネタ番組が激減した今、『M‐1グランプリ』(テレビ朝日系)、『ゴッドタン』(テレビ東京系)と並び“業界視聴率”も異様に高く、“次代の若手芸人”を発掘する場として定着。日本テレビ系列では、大晦日は『笑ってはいけない』シリーズ→「おもしろ荘」への流れが確立されたと言っても過言ではないだろう。
当初は体当たり企画も!? 試行錯誤を繰り返して生まれた“消費されないフォーマット”
ゴールデンに移行してからは「ゴチ」が軌道に乗るも、2001〜2005年までは「年越しカウントダウンスペシャル!シリーズ」として、岡村が巨大火炎丸太や巨大炎大玉を受け止める的な(オチは岡村の尻のアップだったりする)、当時のナイナイらしい体を張った企画も放送していた。
プライムタイムの冠番組としては『めちゃ×2 イケてるッ!』(フジテレビ系/1996〜2018年)が先にスタートしているが、純然たる冠番組としては『ぐるナイ』が先となり、今も現役という点を踏まえても、まぎれもなくナインティナインの代表作と明言できる。
1994年の番組開始から27年。ナイナイのふたりはもちろんのこと、フリーになっても「ゴチ」MCを続ける羽鳥慎一や、18年間「ゴチ」に出演し続けた国分太一は、この番組からバラエティ進出へと新たに成長していった感がある。
また、放送開始当初のテーマである“なんでもおもしろがる”姿勢は決して枯れてしまったわけではなく、今の「おもしろ荘」にしっかり継承されている。大衆向けの「ゴチ」とお笑いファンが注目する「おもしろ荘」、“マスとコア”の両立という点において絶妙なバランスを維持し続けていることも長寿たるゆえんだ。
日本テレビを代表するバラエティ番組は? と問われた際、まず挙がるのは『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』だろう。だが、コンテンツの強度、汎用性や代謝という点においては同番組をも凌ぐと言っても過言ではない。我々はまだまだ『ぐるナイ』を過小評価しているのかもしれない。