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“好き”を仕事にするのは幸せ? イラストレーターが語る「趣味を仕事に切り換えたときにしたこと」に反響

 趣味だったイラストを仕事にすることを決めたはこしろさん。その際、これまでは自分だけが分かればいいと思っていたラフは“提案書”だと意識を変化。また、謙遜しがちだったが“自分の絵は謙遜しない”など、趣味を仕事に切り換えるに当たり、自身の意識や行動を見直したという。アニメや漫画文化の高まりによりイラストレーター人口は年々増え、参入しやすいからこそ競争率も高い業界だが、趣味を仕事にしたことで、好きだったイラストが嫌いになったり、好きだからこそ辛いことがあったりしなかったのだろうか。はこしろさんに聞いた。

趣味を仕事に切り替え、まずは“働き方”を設定 意識や行動を徹底的にチェンジ

――イラストレーターになろうと思ったきっかけを教えてください。

元々は一般の企業に就職してイラストは趣味に留めるつもりでした。しかし、ちょうど就活する時期にうつ病になってしまいまして。そこで卒業後は身体に合わせた働き方をしようと思った結果、フリーランスのイラストレーターになることにしました。イラストを仕事にする決め手は、「自分が持っているスキルで平均以上できるものってなんだろう?」と考えたときにイラストしか思いつかなかった…というそんな経緯で、まず働き方から決めました。

――それでは、反響があった『イラストレーターとして「趣味」から「仕事」に切り換えた話』に描かれていた事柄については、お仕事を始める前に決められたことなのでしょうか。

そうですね。「イラスト描いてても生活できない」というのは世間的によく聞く話ですし、中途半端な気持ちは捨てないとダメだなあ、と。「仕事としてイラストと正面から向き合うぞ!」という決意表明や覚悟を具体的な行動に落とし込むとしたらどうなるかな?と思って当時色々と挙げていたポイントを、いくつかピックアップしています。
――『イラストレーターとして「趣味」から「仕事」に切り換えた話』で書かれていたイラストそれぞれを実感したエピソードなどがあれば教えてください。

ラフは提案書
趣味時代は、描いている途中のイラストを見られるのがすごく苦手で誰にも見せないタイプでした。でも仕事にすると、完成する前に進捗をお知らせしたりイメージの擦り合わせしたりすることって絶対必要なんですよね。途中経過を見られることへの抵抗をなくすためにも、「ラフはお客様とのコミュニケーションツール」と思うことで苦手意識がなくなりました。

謙遜しない
よく「画力がほしい」「神絵師じゃないから描けない」みたいなことをこぼしがちなんですけど、プロになったらそれは禁句だな、と思ってます。例えば、よく通ってるレストランのシェフが「うちミシュラン載ってないし…」とか言ってたら、こっちは「えっ、なんでそんなこと言うの?ここの料理好きなのに…」って思うのと同じで。お客様と自分の商品に対して誠実な姿勢でいよう、と思っています。

得意を答えられるようにする
「どんなイラストが得意?」と聞かれたときって大抵仕事に繋がるチャンスなので、絶対にそのチャンスを掴むぞ!という気持ちを具体的な行動にしたらこうなりました。就活の面接で「あなたの強みは?」と聞かれるのと同じですね。

時間を意識
仕事にするとイラストを描く時間は義務的に発生するものなので、行き当たりばったりで描いてたら締め切りに追われるぞ…と…。趣味時代に、計画性のなさから展覧会前日に徹夜して仕上げていたのを反面教師にしています。

流行をチェック
実は本来あまり流行に頓着しない人間なので…。でも、周りの人がどんなものに興味があるのか?の視点がなければそもそも仕事って成り立たないですし、世間の需要を知ろうと思ったことをきっかけに、まず手始めに流行を意識してチェックするようになりました。

積極的に外に出る
それまで学生だったので、まずそもそも人脈がなかったんですよね…。仕事をくれるのは「人」なので、まずは人と会おう!と思って交流会に行ったりSNSでいろんな人と話したりするようになりました。結果的にいくらかコミュニケーション能力は上がった気がします。

イラストを趣味にしておけばと後悔したことは「無い」 その秘訣とは

――アニメや漫画文化の高まりにより、近年“イラストレーター”を目指す人がますます増えた気がしますが、仕事にする上で大切なことは何だと思われますか。

イラストレーターを目指して、その先まで想像できるかが大切かなと思います。イラストレーターになることはあくまで過程なので、「なったら何をしたいか?」「何が自分にできるか?」「何を求められるか?」の3つを、バランスを取りながら考えられるかどうかがとても大事だと思います。

――年齢や経験値を問わずに挑戦しやすいと思われる“イラスト”において、大切なことは何だと思われますか。

イラストは比較的新規参入しやすい仕事、と捉える人は少なくないかもしれません。実際、ある程度描ければ副業やバイト感覚でお仕事をすることは可能です。参入しやすいジャンルは今後さらに発展性があるということでもあるので、喜ばしいことだなあと思います。その一方で、だからこそ、どこまでプロ意識を持てるのか?という視点は必須だと思います。自分のイラスト(商品)に何ができるのか?何をもたらすことができるのか?を常に問い続けていたいですね。
――趣味を仕事にする上で、良いこと、悪いことは何だと思われますか。

良いことは、仕事をするための武器を自分で選べることです。気に入っている武器なら強化したり補完したりしてアップデートしていくのをゲーム感覚で楽しめます。仕事で使うスキルを磨くのって言ってみれば半分義務みたいなものですが、好きであればやらされてる感が無いのでモチベーションを高いまま維持しやすいです。
悪いことは、アニメやマンガを見たら制作側の事情や意図を見ようとしてしまうようになったこと…でしょうか。純粋な気持ちで作品を楽しめなくなりました…。ただ、それも含めて楽しめるのであれば、悪いことにはならないのかも…?という気がしています。

――イラストを趣味にしておけばよかったと思ったことはないですか。

私は、そう思ったことは無いです。実は趣味を仕事に「切り換える」という発想はこの後悔を生まないための考え方でもあります。「切り換える」、つまり「趣味」と「仕事」を区別する、と捉えると分かりやすいです。イメージとしては、趣味で使っていたスキルを仕事に応用する、という感じです。趣味と仕事とを区別して切り換えると、そういう後悔を生みにくいかなと思います。
――イラストを趣味で描くこと、仕事で描くことは全く違う作業だと区別されているのでしょうか。

そうですね、全く別物だと思います。趣味は自分のために描くもの、仕事は見る人のために描くもの。と、意識しているので、作業中に考えてることも全く違います。むしろそこを混同しないように、というのを常に気をつけています。

――身近な人がイラストレーターを目指すとしたら、勧めますか。

ど、どうだろう…その人によるのかなあ、と思います。状況にもよりますが、まずは【1】自分が描きたいもの【2】自分にできること【3】人から求められること【4】自分にできないこと、の4つを具体的に考えてみて、って言うかもしれません。

――趣味を仕事にするべきだと思われますか。

難しい質問ですね…(笑)。そうするべき、とは思いません。最近よく「趣味を仕事に」と聞くことが多いですが、社会や周り人の風潮がそうだから、というのが動機になると結構リスキーだなあと…。ただ、趣味を仕事にできる環境や世間的な認識が整いつつある、という面を見るなら、たしかに追い風な状況であるとは思います。それを利用して仕事につなげていく人は今後もっと増えていくだろうな、と感じました。

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