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自治体のお金投入も大半が作り手の自己満足?「郷土かるた」の存在意義

多くが作って終わり「国や自治体からのお金を消化するために作っているように見える」

 「上毛かるた」の成功により、その後、「郷土愛を高める=郷土かるたを作る」という図式が全国各地で広まった。だが、そのほとんどは「作っただけで終わってしまっている」と山口氏は言う。

「全国の『郷土かるた』のうち、競技大会などを長年継続して開催しているのはわずか。多くの場合、『郷土かるた』を作ること自体が目的になってしまっているのは残念です。言い方が悪いですが、『国や自治体からのお金を消化するためだけに作っている』ように見え、作り手の自己満足に終わっているケースがほとんど。それではなかなか地域に根付きません。郷土意識や郷土愛の育成には、十分につながっていきにくいと思います」

 東京都葛飾区の「かつしか郷土かるた」(葛飾区教育委員会制作発行、平成24年)は、成功を収めている事例。山口氏も普及活用委員会に名を連ねているが、数多くの事例見てきているだけに、「発展させるためには競技大会を運営する組織が必要だ」と言い続けたという。

 競技大会の開催は決して容易ではない。最初はなかなか人が集まらず、参加者もわずか。区教育委員会の担当者の血のにじむような大変な努力により、青少年地区委員会の協力を少しずつ取り付け、熱意ある人々の地道な草の根活動が実を結び、徐々に参加者が増え、当初、2、3地区だった参加区も、第6回大会で19地区すべてが出揃うまでになった。

「『かつしか郷土かるた全区競技大会』は、大会場に700人もの観客が集まる大イベントになりました。そうやって『郷土かるた』を広めていくと、読み札を覚えるだけではなく、その出来事が自分の郷土でどのように根付いたのかも理解できる。かるたの札を持って区内巡りをしている子どもだっているんです。数十年経ってその子たちが大人になったとき、上毛かるたのように昔を懐かしんで大人として楽しむようになるでしょう。そこまでの見通しを持って制作できると素晴らしいですね」

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