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自治体のお金投入も大半が作り手の自己満足?「郷土かるた」の存在意義

“競技大会”が子どもたちにうまく作用し普及の要因に

 その流れは第二次世界大戦後も続き、戦後最初に生まれたのが、今、全国で一番知られている「郷土かるた」である群馬県の「上毛かるた」。群馬県の歴史・自然・人物・産業などを詠んだもので、昭和22(1947)年に発行された。

「終戦直後の食べる物も着る物も住むところも十分ではないという、みんなが苦しんでいる状態。そんななか郷土の復興を目指し、特に子どもたちに夢と希望を与えたいという強い思いがありました。県民全体もそのためにがんばろうという意識が強かったので大きく発展しました」

 群馬県は、日本一の“郷土かるた県”。全国で1700種類以上とも推測される「郷土かるた」のなかで、約130種類と全国一の数を誇る。この数の源が、「上毛かるた」の存在。「上毛かるた」がモデルケースとなって各自治体などが「郷土かるた」を作り、群馬県全体で「郷土かるた」が発展する要因になった。

「広めるために競技大会を取り入れたことで、みんなが一生懸命に夢中になって遊んだことで大きく普及しました。地区の予選大会から始まり、そこで優勝すると市郡の予選大会へ、そしてその優勝者が最後の県大会へと進む。そういった形で、自然と上毛かるたが普及していきました」

 「この競技大会が重要だった」と山口氏は言う。

「郷土の復興・愛着のためにどうするかと考えたとき、かるたの他に、紙芝居などの話もありましたが、郷土かるたが最も効果的ということで、『上毛かるた』を制作することになりました。競技大会があると、子どもたちが積極的に札を覚え、進んで遊ぶというところも考えられたようです」

 上毛かるたの競技大会は、現在第73回を数え、累計発行部数は150万部を超えており、共に日本一の記録となっている。この結果、群馬県民の多くが幼少期に「上毛かるた」に触れ合うことができ、多くの人が大人になっても諳んじれるというほど、県民に広まった。
 この成功に刺激を受けた埼玉県の子ども会育成会は、上毛かるた競技大会を視察、研究して、昭和57(1982)年に「さいたま郷土かるた」を制作し、大会を開催。その結果、埼玉県内各地で広まっていったという。ちなみに現在、埼玉県の「郷土かるた」の数は、群馬県に次いで全国2位だ。

「上毛かるたの競技大会は、群馬県子ども会育成連合会が主として運営しているのですが、そういった運営組織があるからこそうまくいくんです。埼玉は群馬をモデルにして広まったと言えます」

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