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テレビ離れに新聞離れ… 番組表が見られなくなっても60年出版し続ける“TVガイド”の今

“読者が本当に欲しい情報”と“局や事務所が出したくない情報”とのせめぎ合いも…

 こうしてテレビ情報誌は最盛期を迎え、『週刊TVガイド』もピークは100万部を超えた。しかし、時代は変わる。インターネットの発達とともに情報が無料化され、雑誌業界全体が低迷。また、地上波の視聴率も右肩下がりに。「50万部を切ったらこの媒体は成り立たないと言われました。ですが、現在は15万部の時もありますが、それでも 成り立っています。徹底的な経費管理など身を切る辛い改革を行った結果です」

 改革を行ったのは、もちろん経費だけではない。情報の速さではインターネットメディアに到底敵わない。そこで同誌は特写にこだわり、写真のクオリティを追求。むしろ部数を減らして、値段を上げてさらなる付加価値を提供していく方向性を選んだのだ。読者が“本当に欲しい情報”を模索した。

 しかし、読者が“本当に欲しい情報”と、テレビ局や芸能事務所が“出したくない情報”が重なることはしばしばあるだろう。長年、その人脈を大切に成長してきた当社は、そこを切り込まずに忖度した内容になりがちなのではないだろうか。「もちろんもそういったせめぎ合いはありますが、“縛り”を知らずして仕事はできませんから。“縛り”を重視しているからこそ、弊誌が渡り歩けているという面もあります。その信頼があることで、テレビ局や事務所との難しい話もまとまりやすい。中には“縛り”に囚われないネットメディアもあって、守ろうとしている我々には、情報を出すのが遅れるデメリットもある。ですが、弊社は“速さ”ではなく正確さ、また需要、クオリティにこだわり続けています」

「地上波“も”ある」情報が混沌としている現在、今こそ“ガイド”する人が必要

 では、ネット社会で多様化した今のエンタメ界についてはどう捉えているか。「昔は地上波しかありませんでしたが、今は動画配信サービスも多く、『地上波“も”ある』に変わった。SNSやYouTubeも浸透し、1人1人が放送局になれる時代でもある。では、テレビ情報誌にはもう価値がないかと言えば、違うと私は思う。プラットフォームが乱立し、あまりに情報が混沌としている現代、今こそ“ガイドする人”が必要でないかと考えます」

「YouTube、TVer、Netflix、アマゾンプライム、Hulu…。見逃し配信1つにしても、プラットフォームが大変増えていることも、日本のエンタメ界の課題です。地上波を見てない人が少なければページ数を半分にして、それらの情報を載せたほうが需要があるかもしれない」

 いまや「テレビ」=地上波ではない。『TVガイド』は“テレビモニター”のガイドをやっていきたいと話す。「テレビを観る時間が減ったと言いますが、動画コンテンツ全体で言えば、スマホ等で見ている時間は増えている可能性が高い。また日本は、日本だけで議論してしまう面がある。もしかしたら、北欧や南米にも面白いコンテンツはあるかもしれない。日本の地方に目を向けてもいい。『水曜どうでしょう』のように、ローカルにだって面白い番組はある。全国放送でも『半沢直樹』が数字を取る。これだけ多様化した現代でも、面白ければ誰もが観たい、知りたいと思うのです。そういった諸々を吸い上げ、この過多な情報の海を“ガイド”出来る人や媒体が今こそ必要だと思います」

 ネットでは炎上も多いことから、「紙だからこそ書けること、紙だから出来る見せ方も、まだあるはず」と、力強く話す奥山氏。急速に変化し続けるエンタメ界、テレビ情報誌も今、その“変革期”にあるようだ。

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