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胸の谷間に試験容器を…不妊治療のリアルを描く漫画に共感 「一体何をされるんだろう…不安と恐怖心でいっぱい」

 不妊治療のリアルを絶妙なユーモアを織り交ぜて描いたコミックエッセイ『構わないでくれ、今日は妊活って気分じゃない。』(講談社)が、「明るい気持ちになった」「救われた」と共感を呼んでいる。精神的にも肉体的にも経済的にも、負担が大きいのが不妊治療というもの。漫画家・目野真琴さんの実話をもとにした本作で伝えたかったことを聞いた。

胸の谷間に試験容器を温め電車で運ぶ…不妊治療の実態に驚愕

――ご自身の経験を元にしたコミックエッセイを描こうと思ったきっかけは?

目野真琴 同人誌で妊娠中のことをエッセイに描いていたところを編集の方にお声かけいただきました。最初のコンペでは、妊娠中の出来事(卵巣腫瘍摘出の手術などをしたので)をエッセイにしていたのですが、不妊治療も経験したことを伝えると、そちらを題材にしてみないかと提案されました。

――「検査のために試験容器に入れた精子を胸の谷間に挟んで(人肌で保存しながら)電車で運ぶシーン」が印象的でした。実話なのでしょうか?

目野真琴 病院や季節によっても変わるらしいのですが、実際に挟みました。病院の先生に言われた時は、唖然としました。「え〜!?」と驚いていると、「いや、常識ですよ」といったような感じで言われました。不妊治療ってすごいな…と改めて思いました。実際に持っていく時は、漫画でも描きましたが「職務質問などされないように…」と、とても緊張しました。

――心理描写も、目野さん独自のユーモアがにじみ出てとても印象的でした。気をつけたことはありますか?

目野真琴 エッセイなのであまりキャラっぽくならないように…と気をつけました。でも、そうすると面白味に欠けるかな…とも思ったのでバランスが難しかったです。

――センシティブな内容をコメディタッチで描くことでSNSでは、治療に取り組む方や治療を考えている方の励みになると共感を呼びました。深刻に描かれがちな不妊治療というテーマをコミカルに描いた理由とは?

目野真琴 もともと私は、コメディやギャグ漫画を描いていたので自然とそうなりました。コメディタッチで描くことで、少しでも治療に興味ある読者の方に明るい気持ちになってもらえれば、という思いもありました。

不妊治療は女性の方が大変だから…旦那の言葉に励まされた

――同じ境遇の方々から、共感する声がたくさん届いていますがいかがですか?

目野真琴 読者の方から共感の声をいただくことは大変嬉しく思います。それと同時に、やっぱり私が経験したとおり不妊治療は多くの方にとって長く辛い経験だと思うので、皆さんの治療が少しでもいい方向に進むことを願っています。

――センシティブな内容だからこそ大切に描いたシーンや気をつけたことはありますか?

目野真琴 不妊治療がメインテーマではありますが、そこには女性だけでなく、男性側の協力や、夫婦関係が必要不可欠であると考えていたので、そういった描写はしっかり描きたいと思いました。あと私の場合ですが、採卵の日がかなり印象的だったので、丁寧な描写にしました。なので1話ではその部分を切り取って描いています。

――「不妊治療」は、高額な医療費や体力、精神的にも負担があると思います。ご自身の経験を通して苦労されたことや、聞いていた話とは違う意外だったことなど教えてください。
 
目野真琴 受けたことのない検査や治療前が一番怖かったです。これから一体何をされるんだろう…という病院での待ち時間は、不安と恐怖心で押しつぶされそうでした。

――「不妊治療」をする前に聞いていた話とは違う意外だったことはありますか?

目野真琴 「卵管造影検査」を受けた後は、赤ちゃんができやすい、と聞いていたのですが、私に関しては全くそのようなことがなかったので…。もう1つは、私が友人に不妊治療の話を切り出すと意外にその友人も不妊治療を受けていた、ということがありました。実は友人の友人も…というような話もあり、私が思っていた以上に不妊治療を受けている方が多いんだなぁ…という印象を受けました。

――「不妊治療」をしている間、どのように気持ちを前向きに保ったのでしょうか?

目野真琴 ありがたいことに当時、仕事が楽しかったので不妊治療で辛い出来事があると仕事に没頭していました。あと、飼い猫がいつも寄り添ってくれているように感じていました。

――漫画では、旦那さまのポジティブさと優しさを感じるシーンが随所に描かれています。旦那さまの言葉で印象に残っていることや励まされたことはありますか?

目野真琴 「不妊治療は女性の方が大変だから」と常々言ってくれました。ちゃんと言葉にして私に伝えてくれたので、「理解者だ」と明確に思えたというか…。夫はポジティブで自分は幸運のパラメータが高い、と根拠ない自信があって、自分のことを“ラッキー人間”だと言っています。その反対に私は陰気くさいので…夫婦でバランスが取れました(笑)。不妊治療に関わらずさまざまな場面でとても助けられています。

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