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“実写化がっかり”リスク回避? 『糸』に『猫』も、ヒット曲原案コンテンツのねらい

古くからあった曲原案コンテンツ “原作”ではなく“原案”であることの自由度の高さ

 映画界では、これまでもヒット曲を実写化した作品は数多く作られてきた。古くは1940年『支那の夜』から、美空ひばりの『悲しき口笛』(1949)、坂本九の『上を向いて歩こう』(1961)、このあたりは古き良き“銀幕スター隆盛期”であり、歌い手=主演自体が非常にシンボリックであり、それだけでも客が呼べる時代であった。

 しかしその後、テレビのカラー放送が徐々に人気を博していき、興行収入を含めたエンターテインメントの王者=映画の図式が崩れるのとほぼ同時に、ヒット曲映画化作品も数を少なくしていく。だが、00年代に入ってもヒット曲映画化が消滅することはなかった。2002年の『なごり雪』を皮切りに、『涙そうそう』(2003)、『未来予想図』(2007)、『ハナミズキ』(2010)、『キセキ』(2017)、『雪の華』(2019)、『愛唄』(2019)と数々の作品が生まれた。

 決してすべてがすべて受け入れられたわけではなく、興行収入が空振りで終わった作品もあったほか、「曲とタイトルを借りただけで退屈」「純粋に面白くない」など批判の声にさらされ続けているのも事実だ。しかし、登場人物のイメージやキャラクターがしっかりと原作ファンに植え付けられているアニメや漫画の実写化などと比べれば、批判リスクが小さいことは間違いないだろう。

 こういった背景のもと、漆間氏は「曲を聞いた感想や思い描くシーンが視聴者によって違うので、映像化にあたり曲のほうがある種自由というか、いろんな人の思いを汲んで物語が作れるいます」と持論を述べた。

 小説や漫画のようなある程度物語がある原作ものと比べての難しさについても、「どっちが良いという話ではなく、それぞれの魅力を生かすことができることが大事」と感じているという。

これまで曲原案コンテンツが多くなかった理由とは 今後増えていく可能性は?

 とはいえ、楽曲『猫』の捉え方は聞く人によって様々かと思われるが、ドラマの設定やストーリーに迷わなかったかと漆間氏に尋ねると、「制作チームの間でも意見が大きく割れなかったんです。金井監督に脚本も書いてもらったのですが最初からすごく良くて、曲に対して多くのコメントが寄せられている“泣ける”という要素を、ひたすらアイデア出ししてブラッシュアップしていく感じでした」とのこと。
「僕は映像を通じて、視聴者の人生や生活に少しでも刺激があればよいなと思っております。この思いが叶うなら、原作・原案が小説でもアニメでも、それが楽曲でもなんでもトライしてみたい。選択肢が多いほうが良いものを届けられるのではないかと思っているんです」

  ただし、「楽曲は全部が全部物語になるわけではない」。物語が存在する小説や漫画と比べると、余白が多く世界観が広いということもあり、「実写の物語に落とし込むことができる楽曲って限られている。選択がなかったのは、そういったこともあるのではないと思います」と分析している。

「一視聴者として、僕自身も曲の映像化は見てみたいと思っています。『猫』は余命宣告を受けた女の子がヒロインですが、ただ悲しいだけの話ではなく、1分1秒を一生懸命生きる姿を日常の幸せと重ねた作品。家族や近い方との距離を大事に思ってもらえる作品にしたいと思います」
 小説や漫画、アニメのヒット作でいえば、これまでさんざん実写化されており、もはやされ尽くした側面もあるだろう。世界観やイメージの解釈の自由度があり、原曲ファンの様々な思いも組み込みやすいと考えられる曲原案コンテンツは、今後増えていく可能性を大きく秘めていると考えられる。同作が連ドラ史にその名をどう刻むのか、見守っていきたい。
《第3話(11月27日放送回)あらすじ》
何気ないことを幸せに思う日々を過ごすみねこ(小西桜子)と光司(前田旺志郎)。しかし、突然みねこが倒れてしまい入院することになる。覚悟はしていたつもりだったが、突然起こった出来事に光司は呆然としてしまう。悲しみにくれる光司だったが、自分に出来ることを考え、みねこのためにそばにいることを決意する。そして、奇跡的にみねこは意識を取り戻したのだった。徐々に回復へと向かうみねこ。退院の日、いつもの帰り道を久しぶりに歩く2人は、幸せな日々を取り戻していた。

《配信情報》
ドラマ25「猫」は動画配信サービス『ひかりTV』『Paravi』にて毎話放送1週間前から先行配信中。
【ひかりTV】
【Paravi (パラビ)】

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