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なぜ千鳥が今最も“天下取り”に近いのか? “ポップな存在”に昇華させたノブの功績
多数の冠番組にCM出演、いまやポップアイコンとなった千鳥の軌跡
さらにCM出演をみると、今年はソフトバンク「勝手にHERO’S」、ダイハツ工業「タフト」、タマホーム「ハッピーソング 千鳥篇」、中国電力の各シリーズなど、ファミリー向けとされるCMにも続々と登場している。年に2回調査される「テレビタレントイメージ調査」8月度の「男性タレント人気度ランキング」では、マツコ・デラックス(3位)や明石家さんま(4位)を追うかたちで5位にランクインし、初のTOP5入りを果たした(ビデオリサーチ調べ)。
すっかり人気タレントとしてメジャーシーンに定着した千鳥だが、とくに今年はノブの活躍が目覚ましかった。レギュラー出演中の『林修のニッポンドリル』(フジテレビ系)、『ぐるぐるナインティナイン』「ゴチバトル」(日本テレビ系)などに加え、10月には新番組『ノブナカなんなん?』(テレビ朝日系)がスタート。タイトルに自身の名前を冠した番組で、女性に人気の高い弘中綾香アナとともに息のぴったり合った進行で企画を盛り上げている。
2020年は、これまで自身のポジションを模索しながら地道に努力を積み重ねてきたノブが、ピンでの活躍の場を広げることで千鳥の躍進をけん引したといっても過言ではないだろう。
順風満帆ではない鬱屈した日々…自己分析から切り開いた活路
しかし、千鳥は大阪から上京して以降、現在のような売れっ子になるまでは決して順風満帆な道のりではなかった。大阪では当時、二桁のレギュラー番組を持っており、東京では早くから深夜バラエティなどに出演するも、なかなか思うような結果を残すことができなかった。だが、千鳥のコンビ芸(=千鳥の魅力)そのものを変えることはしたくない。そこで2人は、大衆に向けたアプローチをはじめる。
ノブはその頃の思いと、千鳥の芸を客観的に分析したブレイク戦略を、ラジオ番組で以下のように振り返っている。
「俺らがやりたいネタは、時事的な話題があるわけでもない、しょうもない内容。でも、俺らが“おなじみの顔”のポップな存在になれば、こんなしょうもないネタもウケルんじゃないか。そこで迎合作戦に変えて、情報番組にしこたま出演していった」(『オードリーのオールナイトニッポン』2017年4月21日放送より)
そんな読み通り、千鳥はメディア露出を増やすとともに、パブリックイメージを高めながら、彼らの言う“ポピュラーな存在”になっていく。同時に、千鳥のおもしろさをいち早く見抜いていた『ゴッドタン』(テレビ東京系)の佐久間宣行プロデューサーや、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の加地倫三プロデューサーをはじめ、番組スタッフや東京で活躍する先輩芸人から“ありのまま”がおもしろいことをアドバイスされ、自分たちが信じる芸への自信を深めていった。
そうして、「クセがつよい」というお決まりのツッコミと、「〜じゃ」という漫才ではあまりなじみのなかった岡山弁を全面に打ち出し、バラエティや情報番組への出演を重ねながら、大衆に受け入れられるようになっていく。キャッチーで日常使いしやすいワードは、瞬く間に広がっていったのだ。