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草なぎ剛が“母”となり感じた親子の形「子育てで完璧を目指さなくて良い」

 俳優の草なぎ剛(46)がトランスジェンダー役で主演を務める映画『ミッドナイトスワン』(9月25日公開)。「台本を読んだ時、とても感動し涙が止まらなかった」と語っていた草なぎが、本作を通してどのようなことを伝えたかったのか。虐待や育児放棄(ネグレクト)などの痛ましい事件も絶えず起こっている現実に対し、“母”として親として必要なものについて迫った。

 草なぎが演じる凪沙は、故郷の広島を離れて東京・新宿で生きることを決断し、1人で生きるしかない仲間たちとステージに立つ日々を過ごす。その凪沙が、ある日育児放棄にあっていた親戚の少女・一果(服部樹咲)を預かることに。最初は理解しあえなかった2人だが、凪沙が一果の苦悩を正面から受け止めることにより、凪沙の中に今まで感じたことのなかった感情が芽生える。自らの“性”と葛藤する凪沙も、同じく孤独の中で生きてきた一果と出会ったことで実感した“母性”を自覚していき、切なくも美しい疑似母子のラブストーリーが描かれる。

娘と触れ合って感じた「“好き”と思える」大切さ

 自身初のトランスジェンダー役で「今までで一番の大挑戦」と語っていた草なぎ。それでも「不思議なもので全然難しくなかったんです」と笑う。「周りの環境が良くて、撮影に入る前に、実際のトランスジェンダーの方と会う機会も設けさせていただき、内田英治監督とコミュニケーションをとる中で、撮影前には凪沙像ができあがっていました」と周囲のサポートを得ながら役を作っていった。

 トランスジェンダーについては「今までにもそういう方と会ったことはありますし、特別な人ではないと思う。僕と変わらない。凪沙は僕自身なのかなと思えて、等身大で撮影できました」と振り返る。

 今回のオファーは「迷いはなかった」と断言。「初めて読む脚本はワクワクするんです。それでオリジナル作品でもあるから、楽しい気持ちが先に立つ。とりあえずやってみたかった」と笑顔。撮影に入っても「『ああしよう。こうしよう』というのがなくて、自然にできたんです。撮影が終わってからは、人を思う気持ちはかけがえのないもので、一果への愛情は心に触れるところもあり、“好き”と思えることって大切なんだと気づかせてくれました」と人を思う心の重要さをかみしめたという。

本作に込めた思い「人を思うことって良いことなんだよ」

 劇中ではトランスジェンダーの凪沙に対し、少し引いた姿勢や、冷たい視線を向けられるシーンも登場する。草なぎは「偏見や差別、人権にかかわることがひとつのテーマになっていると思う」と語り、それでも「デリケートなところもありますが、エンターテインメントとして楽しんでもらえると思います。人を思う気持ちっていいことなんだよと感じ取ってもらいたいですね」と凪沙が一果に向ける“無償の愛”を見てほしいと話す。

 「凪沙の愛は極端で、自分の子でもないのに母親になろうとする気持ちは、どういう気持ちなのかいまだにわからないですが、人の愛し方は100人いたら100通りある。『人を思うことって良いことなんだよ』と伝われば」と本作に込めた思いを明かした。
 最初は、わかりあおうともしなかった凪沙と一果。それでも一果がバレエにひたむきに努力する姿を見て、徐々に“母性”が芽生えていく凪沙。そして、2人には確かな“母娘”の形が見えてくるようになるが、現実世界では育児放棄により子どもが保護を受ける前に亡くなるニュースを見る機会がある。本作で“母”となった草なぎに、理想の母親像についても聞いた。

 「僕は子どももいないですし、全てをわかっている人間ではありませんが」と前置きし、「正解はないと思います。こうじゃないといけないというのはないと思う。諦めない力とか、思い続ける力とか、愛してあげるとか…。もしかしたら、凪沙の愛の形は間違っている愛かもしれません。でも、絶えず気持ちを注いであげることが大事だと思う。間違いがあれば修正できるし、子育てで完璧を目指さなくて良いと思うんです。思い続けることが親としての愛情なんじゃないかな」。

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