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『鬼滅の刃』竈門禰豆子役・鬼頭明里、コロナ禍だからこそ「ファンとつながっていたい」

 そして自分を探す旅が始まった。

「バラードなど、これまであまり聞くことのなかった音楽も聞いていました。アクション映画など見たことのないジャンルの映画を見るようにも。いろいろ視野を広げられるよう心がけたことが、今後の声優活動にも生かせられるかも知れません。“自分が好きなことってなんだろう”と深く考えたのは今回が初めて。とても刺激になっています」

 アーティストデビューして半年経った今も“自分とは何か”を模索中。そもそも彼女の探究心は折り紙付きで、そのせいか演じる役柄も『ラブライブ!』の学生アイドル役から、『グランクレスト戦記』では王道メインヒロイン役、『ようこそ実力至上主義の教室へ』ではクールな役、『まちカドまぞく』ではダウンテンション、その他、老婆から『鬼滅の刃』竈門禰豆子役などの人外まで、驚くほどに幅広い。

 「自分が体験してこなかった人生を演じることも多いのですが、その場合は、どういう状況でどう育ち、そして現在の状況を考え、“それがもし自分だったら”と考えます。そこにキャラクターと状況を重ね、お芝居として声に載せるのです」

コロナ禍で声優業界も変化。空き時間に鬼頭が試みていること

 彼女が仕事をする上で、もう一つ大切な要素がある。共演者との掛け合いだ。「例え、“絵”が間に合ってない場合でも、共演者の皆さんとの掛け合いで生まれてくるものがあるんです」。そんな彼女にとって大ベテランや先輩との共演・やり取りは“財産”となる。

 「例えば緒方恵美さんとの共演では、役の掘り下げ方が本当に素晴らしさに感動しました。私も頑張っているつもりなのですが、皆が納得するまで突き詰めていくその姿からは多くのことを学びました。先輩の宮野真守さんですと、いらっしゃるだけで現場を明るくしてくださる素敵な人間性がまずあり、お芝居も素晴らしい。それだけではなく台本を手に家庭教師のようにシーンと役柄についてアドバイスをいただけました」

 また先輩であり、貴重な“オタク仲間”でもある悠木碧との交流も彼女にとって重要だ。

「悠木碧さんは私がド新人の頃からよくしていただいてます。オタク趣味が合うということもあってフランクに話してくださるようになったのですが、お仕事の相談はもちろん、プライベートでも食事やカラオケへ行ったり。とてもありがたい存在です」。現在、コロナ禍で自粛中だが、「LINEで『このアプリゲーム、お勧めだからやってみて』といったメッセージが届くんです」と笑う。
 そのコロナで声優業界も様変わりしている。先日、『サザエさん』の新作が作れなくなっていることが報道されたが、それは業界全体の話でもあるという。だが彼女はその機会をポジティブにも捉えている。「You TubeでいろんなMVを見たり、ライブ映像を見て、ライブパフォーマンスの勉強をしています。2ndシングルのリリースイベントが中止になった際はもちろん残念でしたが、だからこそファンとのつながりをもっと持とうとも考えました」。その一環でSNSに“らくがきイラスト”を投稿したのだそうだ。

「この状況下、気持ちが沈むことも多いと思うんですけど、今回のアルバムは、楽しい気持ちになれたり、寂しい気持ちに寄り添えたりする、いろんな楽曲が詰まった一枚になっています。アルバムを聞いて、いろいろと元気をだしていただけたらうれしいですね」と鬼頭。

仕事が出来ないというネガティブを、自身の勉強やファンとのつながりに時間を使う&ポジティブに変えていく彼女の姿に、我々も学べることは多い。彼女がヒロイン役を務めた『鬼滅の刃』原作のクライマックスの盛り上がりも連日話題になっているが、アーティスト活動をはじめ、歌の可能性にも挑戦し続ける彼女とともに“自分を見つめ直す旅”を楽しむ機会として頂きたい。

(取材・文/衣輪晋一)

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