『鬼滅の刃』イベントでも活躍 着物の既成イメージと戦う気鋭デザイナー「自由に楽しんで着るべき」
棋士・羽生善治氏や『鬼滅の刃』スペシャルイベントの着物を制作
<キサブロー>ブランドを立ち上げたのは2015年。その翌年には、伊勢丹新宿本店の創業130年特別企画『ISETAN × ルパン三世 LUPINISSIMO IN ISETAN 2016』に参加。キサブロー氏は「もしルパンのキャラクターたちが自分たちの家に代々伝わる着物を密かに所有していたら?」をコンセプトに、それぞれのルーツと個性から着想した着物を出展。石川五ェ門をイメージした着物に、祖先「石川五右衛門」像の浮世絵から読み解いた模様を羽織、袴に大胆に配するなど、「伝統と革新」を標榜するブランドの世界観を表現。一躍、キサブローの名を着物業界の外にも知らしめた。そんなキサブロー氏の頭の片隅にはいつもあるのは、「保守的なだけではない着物の可能性」だ。
着物はもともと普段着。気軽に着るもの
ブランドを立ち上げた直後、キサブロー氏はフランスでストリートスタイリングを試みたことがある。街を歩く人を呼び止め、その場でその人に合った着物を選び、洋服の上からコーディネートするという趣向だ。
帰国後も着物を持参して友人宅を訪ねては、ワードローブにある洋服とスタイリングするなどして、和洋ミックスの可能性を追求していった。
「そのときに気づいたのが、全身きっちりと着物を着るよりも、その人が普段着ている洋服に合わせることで、よりその人らしさを引き出すことができるということでした」
国籍や性別、体型…etcといったボーダーを超えられる着物の懐の深さ。すべての人々が既成概念から解放されて、ありのままの自分であってほしい。それが<キサブロー>ブランドを立ち上げる大きな原動力となった。