アジの開きにモーター付けて泳がせる…世間をアッと言わせたい

──テレビと比べて歴史の浅いYouTubeはまだまだ未整備な部分もあります。たとえば最近は亡くなった方をダシにした不謹慎動画が社会問題になりましたが、テリーさんはそうした風潮をどう思いますか？
テリー伊藤そんなのいるんだ。けどこんなご時世だしさ、今日の食い扶持に困ったらモラルも何も関係なく稼ごうとするやつは出てくるだろうね。だから作るやつのことは擁護できないけど、プラットフォーム側にも責任はあると思う。これからだんだん整備されてくるんだろうけどね。だけどそんな動画、面白がって見るやつなんてそんなにいるのかな？

──少なくともインパクトはあるだけに、かなり再生数が伸びた動画もあったようです。
テリー伊藤ふうん。でもコメント欄は荒れただろうね。オレもコメント欄では、たいがいボロクソに言われますけどね(笑)。でも面白いよ。この年になるとさ、どこに行ってもみんな気を使ってくれるんですよ。テリーさん、テリーさんって。けどオレはどっか風来坊だし、そんな立派なもんじゃないって自分でわかってる。だからYouTubeのコメント欄で『テリー、なにやってんだ』みたいに呼び捨てにされるほうがしっくりくるんだよね。

──頭に来ないですか？
テリー伊藤いや、ぜんぜん。呼び捨てにされるのって、同じ目線に立ててるってことなんですよ。ある程度の年齢にいくと、面と向かって批判されることってなくなるでしょ。陰ではどう言われてるかわかんないけどさ。だからどんどん勘違いして、尊大になっちゃう。だから高齢者はみんなYouTubeやったほうがいいんですよ。なんでもいいんですよ。朝、入れ歯を洗ってる動画を毎日アップするとかね(笑)。それで再生数10でも20でも、社会とのつながりができるのはすごくいいことじゃないですか。

──テリーさんにはもっと面白い企画に期待していますが、今後どんなことを考えていらっしゃるんですか？
テリー伊藤1個やってみたいなと思ってるのはね、アジの開きにマブチのモーターを仕込んで縫合して、海で泳がせるの。あとは最近、ネット通販で実物大のガイコツの人体模型を買ったんだけど、あれをドローンで飛ばすっていうのを考えてる。くだらないでしょ？

──くだらないです(笑)！　けどめちゃくちゃ面白そうです。なんでそんなことをやろうと思ったんですか？
テリー伊藤どっちも子どもの頃から、やってみたいなーと思ってたことなんだよ。けど、テレビでやっても視聴率が取れないしね。まあ、YouTubeでも大して再生数は伸びないと思うけど、もともとそういう脈絡のないことをやるのが好きなんだよね。でも、野望がないわけじゃないよ。死ぬまでになんでもいいから、世間をアッと言わせることをしたい。それはテレビを作ってた頃からずっとテーマにしてきたことで、だからクリエイターとしてはまだまだ"旅の途中"なんです。

文／児玉澄子