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文豪のどうかしてる“逸話”ツイートに13万いいね、漱石や芥川の意外な一面も紹介「身近に感じて」

 新型コロナウイルスによる外出自粛生活で、読書の時間が増えた人も多いのではないだろうか。そんな中、Twitterで文豪の“逸話”が注目を集めている。進士素丸(@shinjisumaru)さんが紹介するのは、太宰治の意外なケンカや、芥川龍之介のうっかり勘違い、中原中也のトンデモ借金策など歴史に名を残した文豪たちのはちゃめちゃでちょっとおかしくてかわいいエピソードたち。数年前から度々SNSで話題になり、数万のリツイートといいねを集めている。昨年は書籍化もされた著者の進士さんに、エピソードを紹介するきっかけや、文豪の人間としての魅力、書いた人の人間性を知ることで楽しめる読書について、文豪たちのエピソードたっぷりに語ってもらった。

“随筆”では芥川龍之介が師匠である夏目漱石のちょっと面白いエピソードを紹介

――進士さんがご紹介する文豪の逸話はSNSで度々話題になっていますね。
進士素丸さん 多くの方に見て頂けてとても嬉しく思っています。色々とコメント残してくださったり、たんに「面白い」といった反応だけでなく「勉強になる」とか「文豪作品に興味を持つきっかけになった」といったコメントも励みになっています。また、文豪好きな方々や歴史好きな方々との交流もとても楽しいですね。自分の知らないようなお話を教えてくださったりなんてこともあって、刺激になります。

――紹介するエピソードは、どこか文豪たちに愛着がわいてくるものばかりです。
進士さん 数ある文豪の逸話の中でも「どうかしてるけど笑っちゃう話」や「あんな難しい顔して教科書に載っているのに意外とかわいいエピソード」とか、読んだ人がその文豪のことを身近に感じてくれたり、好きになってくれるような逸話を選ぶようにしています。

――元々、紹介している文豪たちの作品がお好きだったのでしょうか?
進士さん 小説作品だと泉鏡花や梶井基次郎、谷崎潤一郎などの作品が好きでよく読んでいました。文豪の皆さんは小説作品以外にいわゆる随筆と言われるものもたくさん残していますが、これもすごく面白いんです。今で言うエッセイやコラムみたいなものですが、芥川龍之介が師匠である夏目漱石のちょっと面白いエピソードを紹介していたり、檀一雄が太宰治や中原中也と大暴れした話を書き残していたり、内田百間がひたすら鉄道の良さについて語っていたり、永井荷風が人の悪口を延々書いていたりとか。彼らの人間性や関係性、当時の空気感が垣間見えてとても面白いです。

――学校で習う文豪たちの印象とはまるで違いますね…! 進士素丸さんご自身、そのようなエピソードに触れて作品や発言などの言葉の受け取り方に変化はありましたか?
進士さん 人間性を知って一番驚いたのは中原中也。国語便覧に載っている少年のような写真と詩からは想像もできないような酒乱で、酔っぱらっては誰彼構わずケンカをしかけます。太宰治、檀一雄、坂口安吾、中村光夫などなど中也に絡まれた作家は数知れず。天才的な才能を持ちながらなかなか世間に認められない焦燥や、長谷川泰子と小林秀雄との恋愛のもつれなどが、彼を破壊的な行動に走らせたと思うと、その詩も少し違って見えてきます。

ビラ配りに新聞広告…ラジオ出演も? 行方不明の猫を探す内田百間

――本を読む上で、人間性を知っているとまた違った楽しみ方がありそうですね。
進士さん はい。例えば谷崎潤一郎は耽美的な作品を多数残してますが、その作品に登場する女性の多くはモデルとなった実在の人物がいます。例えば「痴人の愛」に登場する、奔放で男を振り回すナオミというキャラクター。モデルになったのは谷崎潤一郎の最初の妻の妹・せい子ですが、せい子もまた気の強い奔放な女性で、実際に谷崎自身もせい子に惚れてしまい盛大に振り回されていたりします。太宰治の「人間失格」や田山花袋の「蒲団」、佐藤春夫の「田園の憂鬱」など、著者の実体験をベースにして書かれた作品は多数ありますが、そういった背景を知った上で作品を読むとまた違った楽しみ方が出てきたりすると思います。

――その中でも進士さんが特に好きな文豪は誰でしょうか。
進士さん 菊池寛が好きです。「恩讐の彼方に」や「真珠夫人」などの成功や文藝春愁社の設立など、大衆作家として、または実業家として知られている菊池寛ですが、川端康成や横光利一など、彼の援助によって作家活動に専念できた作家は数知れず。芥川賞直木賞の設立も含め、菊池寛がいなかったら今の文学界はだいぶ違ったものだったんじゃないかと思います。見た目も「the文豪」って感じでとても良いです。ただ、いっつも愛人をはべらしているような人なので、奥さんからしたらたまったもんじゃないでしょうね。度重なる浮気に耐えかねた奥さんに詰められて「60歳になったらまじめになる」と言った菊池寛でしたが59歳で亡くなりました。

――これもまた生き様が表れているようなエピソードですね…。また、特に好きな本はありますか?
進士さん この一冊、と言うわけではないのですが、定期的に文章に触れたくなるのは泉鏡花。随筆だったら「百鬼園随筆」や「阿房列車」など、内田百間のとぼけた筆致は酔っ払いのTwitterでも見ているようで大好きです。

――酔っぱらいのTwitter…興味がわきます。好きなエピソードはありますか?
進士さん 行方不明になった猫を探す内田百間のはなしが好きです。迷い猫のビラを配ったり、新聞に広告を出したり、ラジオに出演した時も、ひたすら猫の話をしたり…。雨が降ると、「どこかでずぶ濡れになっているかも…」と塞ぎ込み、戸がガタガタ鳴ると「帰ってきた!」と飛び起き、風の音だったとわかると泣き崩れる…。百間は晩年、この騒動を『ノラや』というタイトルで本にしますが、原稿を読み返すのがつら過ぎて校正もできなかったとか。自分も猫を飼っているので気持ちはとてもわかりますし、見た目も怖そうで偏屈な言動も多い内田百間が、猫がいなくなっておいおいと泣いてしまうそのギャップが好きです。

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