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唯一無二の“巻き取り缶”廃止にロスが多数 ノザキのコンビーフ「新パッケージで未来につないでいきたい」

 缶詰でありながら缶切りを使わず、商品上部の「巻き取り鍵」を使ってクルクルと缶の周囲を巻き取って、中身を取り出す。幼心にこの“クルクル”に、エンターテインメント性を感じ、料理の手伝いを自ら進んで行った人も多いのではないだろうか。日本の食生活を約70年支えてきた「ノザキのコンビーフ」。今年1月、台形の缶に、「巻き取り鍵」が付いた独自のパッケージ「枕缶」の製造中止と、新パッケージが発表され、大きな話題を呼んだ。なぜこのタイミングでパッケージの変更を決断したのか。製造・販売する川商フーズ 食品流通部 常温食品グループ長・谷口伸一氏にその理由と、歴史について話を聞いた。

コンビーフの形状と缶詰としての特性を生かすため「枕缶」を採用

 「ノザキのコンビーフ」の始まりは、まだ戦後間もない1948年。現在販売を行っている川商フーズの前身である野崎産業が、国産コンビーフ第1号として発売したのだが、当時は今のような「枕缶」のパッケージではなかったという。
谷口氏発売当初は(戦後という時代背景もあり)鉄の入手が困難で、瓶詰で販売しておりました。2年後の1950年に原料の鉄の調達が可能となり、現在まで続く“枕缶”が採用されました。

 上部の幅が下部の幅よりも短い台形のパッケージと、付属する「巻き取り鍵」を缶の側面にある「巻き取り爪」に通し外側にそらせながら、「巻き取り鍵」を回して巻き取っていく。「枕缶」と呼ばれるこの独特のパッケージを採用したのには理由があるという。
谷口氏『枕缶』は台形になっており、台形の広い側からコンビーフを充填することで、缶の底に空気が残りにくく、気密性が高まることで商品の酸化(褐変)を防ぐことができ、保存性を高めることができます。コンビーフは、内容物が固形状で(密閉され)取り出しにくいので『巻き取り鍵』の付いた『枕缶』が採用され、同様の理由で『ランチョンミート』などでも使われております。弊社では、2011年からプルトップ缶と呼ばれるEO缶を採用したコンビーフも販売していましたが、やはり『枕缶』の人気が圧倒的に高く、今まで受け継がれてきました。

 「ノザキのコンビーフ」の代名詞ともなっており、人気の高い「枕缶」。なぜこのタイミングで製造中止を決断したのだろうか?
谷口氏簡単に申し上げると、1950年から約70年間製造してきた製罐(せいかん=缶を製造すること)設備(ライン)の老朽化が原因で、『枕缶』の供給ができなくなり、新しいパッケージへのリニューアルを決断しました。

「枕缶」廃止に惜しむ声多数も賛同の声も共存「残念ながら“復活の可能性”はゼロ」

 「枕缶」の廃止が今年1月に発表されると、SNSでは、「うわあああ、買いに行かなきゃあああああああ」「コンビーフといえばこの缶だと思っていたのでびっくりです」「魔法の鍵が消えてしまう」「このクルクルが楽しかったのにな…」と惜しむ声が続出。一方で、「子どもの頃はこのくるくるを回すと特別な気分で味わってました」「子供の頃、コンビーフは特別な缶詰というイメージがありました。大人になった今もコンビーフを開ける時少しワクワクするのは、きっと巻いて開ける枕缶であり続けたからかと思います」「食べる楽しみだけじゃなくて開ける楽しみも一緒にリニューアルしてほしいです」と子どもの頃のノスタルジックな想いに浸るユーザーも多数現れた。
谷口氏予想以上に反響は大きかったです。くるくると巻き取って開ける『枕缶』タイプがなくなることは寂しいとの声を多くいただき、改めて、『ノザキのコンビーフ』の『枕缶』が消費者の皆さまから長きにわたり親しまれていたことを実感致しました。

 2019年12月をもって、既に『枕缶』の生産は終了。『枕缶』は在庫がなくなり次第販売終了となる。最後の生産を終えたとき、社内でも残念に思う人が多かったという。
谷口氏長年にわたりノザキのコンビーフを支えてくれた『枕缶』に感謝の気持ちがあふれました。それと同時に、今後、新パッケージのノザキコンビーフを未来につないでいきたい、と強く感じました。
 その一方、3月16日には、開けやすく、バリア性の優れたアルミック缶を採用した新パッケージの販売がスタート。発売から2週間が経過するが、好評だという。
谷口氏『枕缶』を惜しむ声をたくさんいただいていましたが、一方で、開缶方法に不便さを感じておられる方々もおられ、容器変更に好意的なコメントも多数ございました。実際販売が始まりましたが、周囲の反応は良く、簡便性が高くなったことにご理解をいただけていると思います。

 取材の最後、ユーザーの「枕缶」を惜しむ声に、“復活”の可能性を聞いたが、「製造設備の問題より、残念ながら復活の可能性はございません」とキッパリ。『枕缶』の70年の歴史に終止符を打ち、新しいパッケージで新たなスタートを切った「ノザキのコンビーフ」が作る新たな歴史にも注目したい。

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