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救われたり、投影したり、懐かしんだり――千葉雄大が30歳までに出会えてよかった3冊

この記事は、LINE初の総合エンタメメディア「Fanthology!」とオリコンNewSの共同企画です。
⇒この記事をオリジナルページで読む(2月27日掲載)

千葉雄大

デビュー以来、幅広い役柄を演じ続け“カメレオン俳優”として高い評価を得ている千葉雄大さん。一方で熱心な“読書家”としての顔も持ち合わせており、ブログなどで見せる味わい深い文章も、そんな本の世界への愛ゆえ培われたのかも知れません。昨年30歳の節目を迎えた千葉さんに、子どもから大人へと成長するなかで“出会えてよかった”書籍を語ってもらいました。

撮影:高畠翼 取材・文:齊藤美穂子

「本の虫」の母の影響で、定期的に活字を頭に入れたくなる

――千葉さんといえば読書好きなイメージがありますが、どれくらいのペースで本を読んでいるのでしょうか?
千葉雄大昔は読書週間を設けていた時期もありました。だけど、最近はつねに台本という読み物が手元にあるので、本を買っても“積ん読”になってしまうことも多いです。母が本の虫で、僕の家に遊びに来たときは、そのへんに置いてある台本も読んでしまうくらい活字が好きなんですよ。

そんな母の影響もあってか、台本以外の活字を頭に入れたいときも定期的にあります。だけど不器用なので、忙しい日常のなかではなかなか頭に入ってこなかったりもする。だから、今は読書週間を設けるというよりは、旅行とか、何も考えなくていいときに本を持っていくようにしています。

――ブログなど、千葉さん自身がアウトプットする文章も独特で面白く、読書が千葉さんにとって糧になっているのかもしれないと思いました。
千葉雄大ありがとうございます。月並みですが、本は活字しか情報がないぶん、声のトーンや、風景を想像する楽しさはありますよね。原作がある映画を観るのも好きです。「あ、この描写はこんなふうに表現するんだ」と、原作と照らし合わせて観てみたり。表現の仕方を見たり考えたりすることが好きで、ブログもその影響を受けているのかもしれないです。

伝えたいことがあるとき、活字には、まっすぐ伝える良さと、表現をいろいろ咀嚼(そしゃく)して、読み手の受け皿を広げる良さがある。小説もそうですが、エッセイにはとくにそうした表現の自由度があるような気がします。エッセイはより温度が感じられて好きですね。

――ご自身で本屋に行って選んでいるのでしょうか?
千葉雄大最近はネットで買うことも増えましたが、本屋さんに行って選ぶこともあります。電子書籍はコミックしか読まないので、それ以外の本は基本的に紙で読んでいますね。

勉強よりもっと大切なことがあると教えてくれる作品

――これまでに読んだ本の中で、とくに出会えてよかったと感じる本を3作品教えてください。
千葉雄大さかのぼっていくと、まず、小学校高学年のときに読書感想文の課題図書だった、山田詠美さんの『僕は勉強ができない』ですね。何作品か課題図書が並ぶなか、タイトルに惹かれて内容も何も知らずに選んだのですが、当時は読んでもまったく意味がわからなくて(笑)。

高校生になって読み返してみたら、主人公の秀美という男性がめちゃくちゃかっこいいことに気づいたんです。大人の女性との恋愛だったり、生き方だったり。勉強はできないけど、もっと大切なことってあるよね、ということを教えてくれる一冊でした。
  • 山田詠美『ぼくは勉強ができない』新潮社、1996年

『ぼくは勉強ができない』山田詠美
退屈な大人になんてなりたくない。勉強よりも、もっと素敵で大切なことがある。サッカー好きの高校生・秀美は、勉強はできないが女性にはよくもてる。なぜか居心地の悪さを感じる学校や、ショットバーで働く年上女性・桃子との恋愛――。クールでかっこいい秀美の、不器用な高校生活を描いた青春小説。

――山田詠美さんの本って、小学生が読むには大人っぽいというか、ちょっとエッチな描写もあったりすると思うのですが、課題図書になっていたのが不思議な気もします。
千葉雄大そうですね。もちろん大人になってから読んでも楽しめると思うのですが、やっぱり僕は主人公と同じ年の頃に読んでよかったと思います。

秀美に対するリスペクトもあり、多感な時期にはとくに魅力的な作品でした。当時僕は変身願望があって、全然違う人物に自分を投影して読んだりしていたので、そういう方にも響くのかなと思います。

――変身願望とは意外ですね。
千葉雄大そうですか?(笑) 

大好きなバンドの曲にタイトルが登場し、手にとった一冊

――2冊めを教えてください。
千葉雄大『ぼくは勉強ができない』とは違うベクトルで、大槻ケンヂさんの『グミ・チョコレート・パイン』も好きです。僕は銀杏BOYZというバンドが好きで、歌詞にこのタイトルが出てきたことをきっかけに手にとりました。

さえない毎日を送っている高校生の主人公が、仲間と3人でとバンドを結成する話なんですが、その関係性がすごく良くて、自分を重ねて読んでいました。「自分を重ねる」といっても、さっきの秀美とは別のベクトルですけどね。僕は男子校出身なので、今で言う“リア充”に耐性がなかったんですよ。
  • 大槻ケンヂ『グミ・チョコレート・パイン グミ編』角川書店、1999年

『グミ・チョコレート・パイン グミ編』大槻ケンヂ
高校2年生の大槻賢三は、学校にも家庭にも打ち解けられず、猛烈な自慰行為とマニアックな映画やロックの世界にひたる、さえない毎日を送っている。周囲のものたちを見返すため、ある日賢三は、親友たちとロックバンドの結成を決意。大槻ケンヂの自伝的大河小説である本作は、グミ編、チョコレート編、パイン編の全3部作。

――いわゆる「リア充爆発しろ」でした?
千葉雄大そうかもしれません(笑)。今でも読み返して思うのが、人との接し方とか、その時期にできた軸は大人になった今も残っているんですよね。なので、大人になって、ある程度距離をとって読むと、懐かしみを持って楽しめたりするんです。

――青春が戻ってくる感じですね。
千葉雄大「そんなときもあったな」って。でも大人になってからでも青春は取り戻せると思うので、『グミ・チョコレート・パイン』はその活力にもなったらいいなと思います。

本もネタも好き。共演時、ミーハー心を隠して臨んだ著者

――もう1冊はどんな作品ですか?
千葉雄大オードリーの若林正恭さんのエッセイ『ナナメの夕暮れ』です。僕は小説だけではなく、エッセイも好きでよく読むのですが、エッセイって、大人になってからの物事や人への向き合い方をより考えさせられるからかもしれません。とくにこのエッセイは、共感するというより、どこか救われるような感じがするんですよね。
  • 若林正恭『ナナメの夕暮れ』文藝春秋、2018年

『ナナメの夕暮れ』若林正恭
雑誌『ダ・ヴィンチ』での連載に書き下ろしエッセイを加えた、お笑いコンビ・オードリー若林正恭の「自分探し」完結編。自意識に振り回されて「生きてて全然楽しめない地獄」にいた若林が、おじさんになることで、自分と、社会と向き合ってたどり着いた先のことをつづった本作は、「生きづらい」と感じている人は必見の一作。

――印象的なエピソードはありましたか?
千葉雄大たとえば、なにか間違いを犯してニュースに登場する人や、街ですれ違うちょっと危なさそうな人って、みんな「なんでそうなっちゃったんだ!?」と糾弾しがちじゃないですか。でも若林さんはそうじゃない。“あのフードをかぶってた人に(自分自身が)なり得たかもしれない”って。

その文章を読んだときに、“表裏一体” という若林さんのモノの見方がすくい上げられる感じがしました。若林さんは、ただたんに“サブカル”とか“リア充”に対しての“斜め”ではなく、生きていく上でのちょっとした摩擦みたいなものに対する表現が素敵だと思います。

テレビに出ている芸人さんとして、「こんなスレスレなことを書いても大丈夫なのか?」と思うこともあるんですが、オードリーさんのラジオを聴いてると、「あ、全然平気だこの人たち」という感じもして、好きですね(笑)。

若林さんは本だけでなくネタも好きだし、ラジオも聴いているので、バラエティでご一緒する機会があったときは、いかに若林さんへのミーハー心を隠して番組に臨むかという作業に勤しんでいたのはいい思い出です(笑)。

受け取め方は人それぞれ。縛られるのはもったいない

――最後に、千葉さんにとって本や物語とはどのような存在ですか?
千葉雄大本だけでなく、映画もそうですが、考え方を豊かにしてくれる存在であったらいいなと思います。

作品を読んだり観たときの感想って、みなさんそれぞれ違うところがあるはず。だから、「みんながこう思っているんだからこう思わないと」という固定観念に縛られてしまうともったいないですよね。

もちろん、自分が感じたことって、自分のなかでだけ大切に持っておければ平和で幸せだと思います。だけど、『荒ぶる季節の乙女たちよ。』(※)のように、ときには議論したり、みんなで意見を述べあうのも大切ですよね。

物議も醸したり、 足りないものを埋めてくれたり。本や物語は、“嗜好品”としては本当に平和だし、豊かなものだと思います。
  • 岡田麿里(原作)、絵本奈央(マンガ)『荒ぶる季節の乙女たちよ。』1巻、講談社、2017年

『荒ぶる季節の乙女たちよ。』岡田麿里(原作)、絵本奈央(マンガ)
(※)岡田麿里氏の原作・原案による漫画、アニメ作品。高校の文芸部に所属する女子生徒5人が題材図書の性的描写をきっかけに議論し、性に振り回され悩む群像劇。

30代は新境地へ「失敗してもいいからチャレンジ」

――2月21日には主演映画『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』も公開されました。前作での怪演が話題を呼んだ連続殺人鬼・浦野役の成田凌さんと対峙する刑事・加賀谷として、緊迫感あふれる役どころを演じきりました。
今回、千葉さんが演じる加賀谷と、成田さんが演じる浦野は、まるで合わせ鏡のようなキャラクターでしたが、どのように演じましたか?
千葉雄大加賀谷は自分の気持ちや、「ああしたい、こうしたい」を前面に出す人物ではなく、秘めるタイプの人間だと思います。そこには過去の経験が関係していますが、それでも人と関わっていくなかで、自分がどうしたらいいかわからないときに、(浦野と違って)ちゃんと人の助けを得られるんです。人との関わりに救われてきた人物なんじゃないかなと思って演じました。

――成田さんと共演して感じたことは?
千葉雄大成田くんの存在に救われた局面もありました。僕とは違う部分がすごくたくさんあるから全部が刺激になるし、見てて飽きない人ではあるし、あとは……かわいいですよね(笑)。人の懐に入るのがすごく上手で、ずるいなって思います。

僕は役柄に集中しすぎて、入り込んでしまうときがあるんです。でもそうなると、狭い視野でしか物事を見られなくなることもある。そんなとき成田くんが(心を)こじ開けて接してくれると、「もういいや」って良い方向に吹っ切れて。そのうえで演技に臨むと、楽にできたりするんです。そういう意味で、彼にすごく助けられました。

――なるほど。昨年30歳という節目を迎えられましたが、30代の活動をどう展望されていますか?
千葉雄大今、どちらかというと映像の仕事が多いのですが、ジャンルの垣根はどんどんなくしていきたいです。声優やナレーションの仕事も好きだし、ラジオもやってみたいですね。“役者だから”ということにこだわらず、自分の興味のあることや初めてのことは、失敗してもいいからどんどんチャレンジしていきたいと思います。
映画情報
『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』(公開中)
https://sumaho-otoshita.jp/
北川景子主演、田中圭らが出演した『スマホを落としただけなのに』(2018年11月公開)の続編。前作で“過去にトラウマを持つ”刑事・加賀谷を演じた千葉雄大が主演、獄中の“連続殺人鬼”浦野の怪演が話題を集めた成田凌が続投し、加賀谷の恋人・美乃里を白石麻衣が演じる。犯人を捕まえたにもかかわらず、同じ殺人現場から次々と発見される若い女性の遺体。捜査が混迷を極める中、加賀谷は最後の手段として、囚われの殺人鬼・浦野への面会を申し込む。

(C)2020映画「スマホを落としただけなのに2」製作委員会

(C)2020映画「スマホを落としただけなのに2」製作委員会

プロフィール
千葉雄大(ちば・ゆうだい)
1989年3月9日生まれ、宮城県出身。O型。2010年、テレビ朝日系特撮『天装戦隊ゴセイジャー』の主役・アラタ/ゴセイレッド役でデビュー。以降、TBS系ドラマ『桜蘭高校ホスト部』、日本テレビ系ドラマ『家売るオンナ』、NHK連続テレビ小説『わろてんか』、映画『黒崎くんの言いなりになんてならない』、『帝一の國』、『兄に愛されすぎて困ってます』などに出演。
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この記事について
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