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熱くなるだけ野暮? 炎上しないコメンテーター、おぎやはぎの特異性
見ている方がヒヤヒヤ!? 温和な佇まいとは裏腹に“毒”を噴射するおぎやはぎ
そしておぎやはぎだが、そもそも“おぎやはぎの問題発言”は今に始まったことではなく、攻めた発言ができるコメンテーターということも周知の事実。前述の『バイキング』をはじめ、『JUNKおぎやはぎのメガネびいき』(TBSラジオ)やタイトルからして問題ありの『ブスTV』(Abema TV)での発言、またはかつての『クイズ☆タレント名鑑』や『クイズ☆スター名鑑』(TBS系)など、見ているほうが冷や汗をかくような問題発言を繰り返しており、ネットニュースでも取り上げられることが多いのである。
しかし、とぼけた雰囲気のあるキャラのせいか、言いにくいことも巧みに笑いに包んで発言してくれる“市井のリアル過ぎる本音”のような扱いもされ、なぜか批判にさらされるところまではいかず、「それでこそおぎやはぎだ」とばかりに何となく聴者にも認められてきた感がある。
ラジオが彼らの戦場 ファンとの交流にSNSを使わないタレント術
とは言え、ラジオでプロのお笑い芸人として熱く何かを語るということはなく、むしろ正反対の脱力ぶりでどこか冷めたところがあり、人を食った感じもある。そのノリにリスナーもつい引き込まれ、彼らの暴論(といっても、内容は過激だが荒々しくない)に対しても、本気で反論するのは野暮と思わせてしまう雰囲気を持っているのだ。
高田純次のような適当さ 出来上がった“熱くなるだけ野暮”という世界観
毎日のようにあちらこちらで炎上し、火消しに走っているつもりが逆にガソリンを投下するかのごとく延焼させることもある日本の芸能界。先のおぎやはぎの「ホームレスアップグレード発言」でも批判コメントはけっこうあったが、「ちょっとさすがの小木さんもこれは…」といったコメントに見られるように、小木「さん」とさん付けのコメントが大量にあるあたりに、おぎやはぎが世間からもキャラとして認知されていることがうかがえるのだ。また、暴言を吐く一方で『ゴッドタン』(テレビ東京系)などの深夜番組では、小木が美女にメロメロになるエロ男キャラだったり、実は矢作のほうが「このブスが!」と平気で言い放つ過激キャラだったりするなど、愛すべき“意外性”もある。
メガネをかけ、おとなしそうにも見えてプロっぽさ感ゼロなのに、過激発言も多く、またそれが許される。ラジオを通したリスナーとの地続き感や、いい意味で熱量のこもらないおぎやはぎの不思議なスタンスは、圧力だらけの世の中では視聴者にとって心地のいい温度加減なのかもしれない。そして、そんなユルいスタイルこそが炎上を自然鎮火させているのだろうし、それこそが“真のプロ”といえるのかもしれない。