ORICON NEWS
“北関東芸人”の需要拡大 洗練された“関東芸人”と異なる利点とは?
カミナリは週に16本のメディア出演 “北関東芸人”の高い需要
同じ“北関東芸人”のU字工事は、準レギュラーだった『いきなり!黄金伝説。』(テレビ朝日系)が終了したものの、堅調に露出を続けている。『陸海空 こんな時間に地球征服するなんて』(テレビ朝日系)の出演のほか、『とちぎ発!旅好き!』、『U字工事の産地直送!ふれあいマーケット』(以上、とちぎテレビ)と、特に地元では安定した需要があるようだ。
「関東vs関西」の構図しかなかったお笑いシーン
また、関西の芸人は東京でも大阪弁を貫き通していたものの、基本的に地方出身の芸人は、東京ではあえて“なまり”を封印して標準語で話していた。その潮目が変わったのが、『M‐1グランプリ』(テレビ朝日系)以降のお笑いブームだろう。タカアンドトシ(北海道)、サンドウィッチマン(宮城)、スリムクラブ(沖縄)など、地方の実力派芸人たちが全国から登場。また、吉本興業が全国47都道府県に「住みます芸人」を居住させ、お笑いによる地域活性化を推し進めてきた。それにより、笑いのスタイルも多様化し、方言も“笑いの武器“として受け入れられるようになった。
「方言」を武器にした千鳥のブレイクからも顕著 親しみやすさを与える効果も
カミナリもまた、千鳥と同じような境遇を歩んでいる。以前、自らの漫才スタイルの変遷を語ったインタビューで、当初は標準語でコントをするなど、「自分たちが普段使わない言葉」で舞台に立っていたと明かしている。だがその後、先輩芸人のアドバイスなどもあり「地元の友達を笑わせるような素朴なネタ」を作ることに転換。現在は、茨城弁でトークしつつ、最後にツッコミの石田たくみが、ボケの竹内まなぶの頭を強くひっぱたき、「おめえ、そう言えば○○だな!」とどやす、おなじみのスタイルが確立されている。
関東芸人が使う「標準語」は、ともすれば気取った感じの印象を受けたり、嫌味っぽく聞こえることがある。一方で、北関東芸人たちが使う地元の方言には、視聴者に純朴なイメージを与えるとともに、強烈なツッコミさえも嫌悪させない“中和力”を持っている。もちろん、テレビ露出を増やしていけるのは、方言を笑いに昇華させる彼らの実力が背景にあるからこそだ。今後、北関東芸人のほかに、新たな“地域芸人”が現れ、バラエティを席巻するのを期待して待っていたい。
(文:五目舎)