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現役女子高生“世界的ミスコン日本代表”への重圧を明かす「ネガティブな意見も原動力に」
若さを武器にも言い訳にもしたくない。何かをやり遂げるのに年齢は関係ない
そんな世界各国の注目が集まる大会だけに、今回の世良さんの日本大会グランプリ受賞には「16歳に日本代表を任せて大丈夫なのか?」といった声が一部からあがった。
「そういった声に対するプレッシャーがないといったら嘘になります。だけど、プレッシャーがあるからこそ、よりやる気が出るというか。日本代表に選んでいただいた以上、歴代の先輩を超えるつもりで活動して結果を出したい。そうすれば、不安に思っていた人にも認めてもらえるんじゃないかなって、前向きに考えているんです」
大会後にあがったネガティブな意見について訊ねると、それすらも自身の原動力にしたいと話す世良さん。その姿は16歳とは思えないほど大人びている。“現役女子高生”という強力な肩書も、武器ではないと話す。
「大会最年少、女子高生と言われることにとくに抵抗はないんですが“女子高生=ブランド”とは思っていません。何かをやり遂げるのに、年齢はあまり関係ないかな、と思っているんです。女子高生だから、若いから、と甘えてしまう部分がないようにしたいと思っています」
日本大会では、美しさだけでなく、品格・知性・タレント性などを競う審査会を経て、社会人・大学生を中心とする30名のファイナリストが選出されたが、唯一の高校生ファイナリストながら、グランプリを手にした世良さんは、「若さを武器にも言い訳にもしたくない」という。
そんな世良さんが「ミス・ワールド」に応募したのは「高校生になってから関心を持つようになった世界の問題を、もっとたくさんの人に知ってもらいたい」という強い思いからだ。
世界で活躍する同世代の姿は、なにより大きな刺激になる
環境問題を入口に、貧困や教育といった問題にも興味を持つようになった世良さんは「そうした世界の問題を、同世代の人を始め、多くの人に自分ごととして考えてもらうにはどうしたらいいんだろう」と考えるようになったという。
「そんなとき『mysta(マイスタ)』というアプリを通じて『ミス・ワールド』の存在を知り、応募させていただいたんです。同年代の子からの影響ってすごく大きいと思うので、女子高生の私が『ミス・ワールド』として活動すれば、世界の問題に興味や関心がなかった人達、とくに同世代に向けて発信力を持った存在になれるんじゃないかなと思ったんです」
世良さん自身、国連の温暖化対策サミットで早急な温暖化対策を涙ながらに訴えたスウェーデンの環境活動家、16歳のグレタ・トゥーンベリさんや、反政府勢力の脅威にさらされながらも女子教育の権利を訴え続け、史上最年少の17歳でノーベル平和賞を受賞したパキスタン出身の人権運動家、マララ・ユスフザイさんの活躍には、大きな刺激を受けたそうだ。
「国連でのグレタさんのスピーチには本当に感動しました。同じ16歳でこんなにがんばっている人がいるんだと思うと、私ももっとがんばろうっていう気持ちになりましたね」
幼少期をコンゴで過ごし、中学時代には生徒会役員としてボランティア活動も
「カナダ人っぽいのは見た目だけ(笑)。生まれも育ちも日本なんですが、(英語が)しゃべれそうな顔に見えるのかな? 外国の方に道を聞かれたりとかすることは、たまにありますけど」
中学時代は部活のバレーボールと勉強に力を入れつつ、生徒会の役員として、地域の清掃や英語大会の手伝いなどのボランティア活動をしていたこともあるそうだ。
「生後3ヵ月から1歳頃まで、父がユニセフの仕事をしていた関係で、アフリカのコンゴ(共和国)に住んでいたんです。当時の記憶はありませんが、そんな経験がこれまでの自分の活動や世界の問題への興味につながっているのかな…と思ったりもします」
環境問題に関心を持つようになってからは「レジ袋やコンビニのスプーンなどをもらわないよう気をつけるようになった」という世良さん。最近は、お菓子の入っていたプラスチックのパッケージをリメイクして、自分なりにプラスチックゴミを出さない工夫をしているという。
「お菓子のパッケージってデザイン性があって可愛いので、チャックをつけてリップケースとして使ったり、広げたパッケージをパッチワークのようにつなぎ合わせてレジャーシートを作ったり。それを自分のSNSで発信することで、見てくれた人が自分にできることを考えてくれたら嬉しいなと思いますね」
いつか世界中の多くの人に影響を与えられる人になりたい
「将来は“発信”することを仕事にしたいと思っているので、高校卒業後は大学に進学して、誰かに何かを伝えるために必要なコミュニケーションの方法や、言葉の力について学びたい」と語る世良さん。
11月20日から12月14日にかけて、イギリス・ロンドンで開催されるミス・ワールドの世界大会「ミス・ワールド2019グランドファイナル」で、ベストを尽くすための準備も万全だ。
「私もグレタさんやマララさんのように、グローバルに活動して、日本だけでなく、世界中の多くの人に影響を与えられる人、彼女がこう言ったから自分も動きたいと思ってもらえるような人になりたい。『ミス・ワールド』はそのための大きな足がかりになると信じています」
(インタビュー・文/今井洋子 撮影/臼田洋一郎)