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世界覇者の“サンドアーティスト”語る”砂遊び”の極意「大雨で翌日大破も」

 梅雨が明け、ビーチがにぎわうこれからの時期。子どもたちが砂のお城を作る光景をよく目にするが、その“砂遊び”を極め、世界チャンピオンにまでなった日本人がいる。保坂俊彦さんは20年以上“サンドアーティスト”として活躍しており、世界中の砂浜に見事な砂像を残してきた。砂遊びのプロ、保坂俊彦さんに極意を聞いた。

雨ニモ負ケズ風ニモ負ケズ、天候に左右されながらも1年間屋外展示している砂像も

 早速今年も、東京新聞より依頼を受け、千葉の砂浜に50m×35mの新聞をかたどったサンドアートを作成。フォントまで見事に再現し、巨大新聞アートの記事の内容は海洋プラスチックごみ問題を訴えた。

――前代未聞の巨大新聞アート、制作してみていかがでしたか。
保坂俊彦さん11日間の制作が終わり、巨大な新聞の中を歩きながら全ての文章を読んだ際にとても心に響くものがありました。雨風で擦れたり傷んだ文字は傷ついた海洋生物を連想させ痛みを感じました。文字の力とアートの力を感じたことを覚えています。

――サンドアートの簡単な手順を教えてください。
保坂俊彦さんまず、砂の山を用意します。3mの作品であれば3mの山、5mの作品であれば5mの山といった具合です。水で十分湿らせて押し固めた砂を山の上から順に削っていきます。後から上に登れないので上部を完成させてから下につながるように作業を進めます。

――どのような道具を使われているのでしょうか。
保坂俊彦さんそもそも技術も独学で専用の道具はありませんので、左官コテや油絵用のペインティングナイフ、スプーンや刷毛など使えそうなものを試して使用しています。

――通常、砂浜で制作されるのですか。
保坂俊彦さん砂さえあれば街中でもどこでも制作は可能です。ただ海や砂浜のイメージが強いのか、海の近くで制作する機会が多いです。
――海辺での作業は天候にも左右されそうですね。
保坂俊彦さん屋外での制作なのでほぼ毎回雨の被害には遭っています。最近ですと、梅雨明けが遅かった影響で10日間の制作期間のうち2日しか晴れませんでした。滞在日数が決まっていますので、その時は急遽屋根を設置して頂き対処しました。

――制約の大きいアートですね…。
保坂俊彦さん過去には、作品完成の数時間後に非常に強い雨が一晩中続き、翌朝行ってみたら大破していたことがありました。その時は帰宅を1日だけ延期し、残った砂山の中から全く別の作品を彫り出したことがあります。

――作品完成後、形をキープするためのコツは何かありますでしょうか。
保坂俊彦さん彫刻作業終了後、定着剤を吹き付けて作品を保護します。道路工事などでも使われる飛び砂、粉塵防止剤等を使用しています。表面数mmが固まり、砂の質や天候にもよりますが通常1〜2ヵ月は形を保てます。

――1〜2ヵ月も持つのですね!
保坂俊彦さんしっかりと固まってしまえばかなりの大雨でも耐えることができます。また、定期的に定着剤をかけるなどのメンテナンスを行えば長期の保存も可能です。現在千葉県の館山市では1年間の屋外展示を行っています。

――お気に入りの作品を教えてください。
保坂俊彦さん2017年に台湾の世界大会で優勝した「宮本武蔵」が印象に残っています。8時間×3日間の計24時間で制作する必要があり、武蔵の表情や着物の皺などに気を使いました。日本人は私しかいませんでしたので、日本らしい「静」の雰囲気を出したいと思いながら制作しました。

海が怖かった被災者の心にも届いた、サンドアートの魅力日本でも広めていきたい

――サンドアートを始められたきっかけは何だったのでしょうか。
保坂俊彦さん23年前、東京藝術大学彫刻科の在学中に、秋田県三種町に住む叔父から「今度町で砂のお祭りをする事になったが、誰も彫刻など作れないので手伝いにきてほしい」と言われた事でした。それまでは砂の彫刻の存在も知らず、漠然と砂のお城でも作るのかなという程度の認識でした。

――サンドアートの魅力はどのような所に感じていらっしゃいますでしょうか。
保坂俊彦さん他の彫刻と異なり、自然の中で身近な自然の素材である砂を使用して制作することに違いを感じています。制作はそのままパフォーマンスにもなるので、小さなお子さんにも「普段遊んでいる砂でこんなことが出来るんだ」と喜んでいただけます。また地元の方と協力しながら制作しているので、交流があるのも私にとっては大きな魅力です。

――これまでどういった交流がありましたか。
保坂俊彦さん昨年伺った東松島市では、被災された方から「震災後、海が怖くて行けなかったが、どうしても作品が見たくて向かった。気がついたら砂浜の上を歩いていた。ありがとうございました」という感謝の言葉を頂きました。自分に出来ることはこれしかないという思いで続けてきましたが、少しでもお役に立つことができて、やっていて良かったと感じました。

――今後作りたい作品、目標を教えてください。
保坂俊彦さん日本で砂像の制作が始まったのは40年ほど前と聞いています。しかし未だに大都市で開催されておらず、後から始めた他の国に追い抜かれています。私が海外で出場した、世界中の30人を越す作家が100体近い作品を展示するような大規模なイベントもありません。いずれ日本の大都市でそのようなイベントを開催し、多くの方に実際にご覧になって頂き魅力を伝えたいと思っています。

――サンドアートを通して、どのようなことを伝えていきたいですか。
保坂俊彦さん今年で23年目になりますが、少しずつ認知されてきているように感じます。自分に唯一出来ることと思い続けてきた事が多くの人に繋がり、喜んでもらえることを非常に嬉しく思います。サンドアートを作ることは肉体的にも大変ですし、天候に左右されるなど多くの苦労がありますが、手でものを作る楽しさや出来た時の嬉しさなどを伝えていければと思います。
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