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天然の美魔女感・田中美佐子、女優らしからぬ“おっさんスライド”でバラエティでも開花
90年代は人気絶頂、トレンディドラマを彩った女優の一人
当初はエクボの可愛い清楚系のイメージもあり、人気バラエティ番組『ねるとん紅鯨団』(フジテレビ系)の集団お見合い企画では、出演する一般男性の「好きな女性のタイプ」の常連だった。田中の代表作ともいえる『十年愛』で共演したダウンタウン・浜田雅功から、意外と男っぽい“姐さんキャラ”を暴露されると、そのイメージのまま1995年に10歳年下のお笑いコンビ・Take2の深沢邦之と結婚。当時の収入を比較されて“格差婚”とも言われたが、田中は「年齢的にヤバかった。36歳になったら、もう(結婚)できないって気がした」と正直に語り、その気風のよさ・男前っぷりを世に知らしめたのである。
その後、育児に専念するために女優を一時休業。2005年に『ブラザー☆ビート』(TBS系)で肝っ玉母ちゃんを主演して女優復帰し、『14歳の母』(日本テレビ系)で主人公・志田未来の母役を演じるなど母親役が多くなるが、かつてのポジションからは遠ざかった感もあった。
島根出身を武器に“男気溢れる”姿でタレント活動も活性化
また、『櫻井・有吉THE夜会』(TBS系)では、「家族が麺をすする音にストレスを感じる」として、「お椀のそばに顔を近づけ、箸いっぱいに麺をつかみ一気に口の中へ放り込む」という独特の蕎麦の食べ方を披露し、テレビやSNSで賛否両論を呼んだ。この思い切りのある仕草も、女優であれば躊躇してしまうところを、かつてのトレンディドラマで見せた艶っぽさからは想像ができない姿といえる。
一方、『秘密のケンミンSHOW』(日本テレビ系)では、島根県・西ノ町出身ならではの地元のコアな情報を明かし、面白おかしく興味を誘う。その女優らしからぬ体を張った姿に好感の声も多く、ときどき飛び出す下ネタや下品ネタもギリギリの清潔感を保っているので、視聴者からも「こんなかわいい60歳いる?」と許されてしまうのだ。
本業も引っ張りだこ、どこにでもいる“リアルなおばさん”がハマる
また、現在放送中の『きのう何食べた?』(テレビ東京系)でも、西島秀俊演じるシロさんのよき相談相手であり、料理上手なご近所さん・佳代子として登場。「原作よりちょっと美人すぎ?」との意見もあるが、いつもニコニコして他人への気配りも完璧、懐の深い専業主婦象を演じて称賛の声が挙がっている。
いずれにせよ、2作品ともかつてのトレンディ女優の面影はなく、“美人すぎず、おしゃれすぎず、本音で相手と向き合う主婦”という、どこにでもいそうな中年女性を演じながら、実はなかなかいない“普通のおばさん”像をさりげなく確立させているのだ。
バラエティ番組では、「ガハハ」と笑って毒舌を吐いてもどこか清潔感を感じさせる「ちょっと美人な面白いおばさん」をこなし、ドラマでは人を思いやる“深み”のある役を演じながら、常に「人を支える明るい笑顔」を振りまく田中美佐子。バブル期のトレンディ女優、主婦業、女優復帰などさまざまな人生シーンを経ながら、無理に若作りすることもなく60歳目前にして「かわいい」と評される田中美佐子は、平成〜令和を通じてもっとも美しく「おっさんスライド」できた女優なのかもしれない。