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天然の美魔女感・田中美佐子、女優らしからぬ“おっさんスライド”でバラエティでも開花

  • 可憐な雰囲気からは想像ができない“おっさん”具合も視聴者からは好印象の田中美佐子 (C)ORICON NewS inc.

    バラエティで見せる“おっさん”具合も視聴者からは好印象の田中美佐子 (C)ORICON NewS inc.

 1990年代は『十年愛』、『セカンド・チャンス』(ともにTBS系)、『Age35,恋しくて』(フジテレビ系)など錚々たるトレンディドラマに出演し、一躍人気女優となった田中美佐子が、バラエティ番組などで再ブレイク中だ。時には釣り好き、時には島根県出身代表として、下ネタも辞さない“ぶっちゃけキャラ”で好評を博している。一方で、深夜ドラマ『きのう何食べた?』(テレビ東京系)でも、原作の人気キャラ・佳代子さんを演じ、本業でも活躍。今年60歳を迎える“アラ環”女優・田中美佐子が、トレンディ女優時代からは想像し得なかった立ち位置で“おっさんスライド”したワケとは?

90年代は人気絶頂、トレンディドラマを彩った女優の一人

 田中美佐子がかつてトレンディ女優だったことは、今の40代以下の人はあまり知らないかもしれない。『予備校ブギ』(TBS系)では気の強い美人カリスマ講師役、『眠れない夜を数えて』(同)ではキャリア警察官、先の『セカンド・チャンス』ではシングルマザー、『Age35,恋しくて』では不倫に溺れる人妻役など、ブレイクが30歳を超えていたこともあり(デビューは1981年)、「“自分”を持っている30代の女」役が多かった。

 当初はエクボの可愛い清楚系のイメージもあり、人気バラエティ番組『ねるとん紅鯨団』(フジテレビ系)の集団お見合い企画では、出演する一般男性の「好きな女性のタイプ」の常連だった。田中の代表作ともいえる『十年愛』で共演したダウンタウン・浜田雅功から、意外と男っぽい“姐さんキャラ”を暴露されると、そのイメージのまま1995年に10歳年下のお笑いコンビ・Take2の深沢邦之と結婚。当時の収入を比較されて“格差婚”とも言われたが、田中は「年齢的にヤバかった。36歳になったら、もう(結婚)できないって気がした」と正直に語り、その気風のよさ・男前っぷりを世に知らしめたのである。

 その後、育児に専念するために女優を一時休業。2005年に『ブラザー☆ビート』(TBS系)で肝っ玉母ちゃんを主演して女優復帰し、『14歳の母』(日本テレビ系)で主人公・志田未来の母役を演じるなど母親役が多くなるが、かつてのポジションからは遠ざかった感もあった。

島根出身を武器に“男気溢れる”姿でタレント活動も活性化

 そんな田中美佐子が再び“主役”に返り咲いたのが、まさかのバラエティ番組だ。海釣りを趣味とする田中は、『有吉ゼミ』(日本テレビ系)内の企画「そうだ、漁師になろう」では、あばれる君を従えて謎の古代魚を釣り上げたり、高級魚のベビアコウやメバチマグロなど釣りの腕前を披露。海を目の前にすると女優モードから一変、男気溢れる雄たけびを上げるのだ。釣った魚を手際よくさばいていく姿もかっこいい。この企画をきっかけに、ついには『釣りびと万歳』(NHK総合)のナレーターまで務め、趣味をしっかり仕事に結び付けている。

 また、『櫻井・有吉THE夜会』(TBS系)では、「家族が麺をすする音にストレスを感じる」として、「お椀のそばに顔を近づけ、箸いっぱいに麺をつかみ一気に口の中へ放り込む」という独特の蕎麦の食べ方を披露し、テレビやSNSで賛否両論を呼んだ。この思い切りのある仕草も、女優であれば躊躇してしまうところを、かつてのトレンディドラマで見せた艶っぽさからは想像ができない姿といえる。

 一方、『秘密のケンミンSHOW』(日本テレビ系)では、島根県・西ノ町出身ならではの地元のコアな情報を明かし、面白おかしく興味を誘う。その女優らしからぬ体を張った姿に好感の声も多く、ときどき飛び出す下ネタや下品ネタもギリギリの清潔感を保っているので、視聴者からも「こんなかわいい60歳いる?」と許されてしまうのだ。

本業も引っ張りだこ、どこにでもいる“リアルなおばさん”がハマる

 しかし、こうしたトレンディ女優時代と真逆のように見える姿は本業でもちゃんと活きている。『獣になれない私たち』(日本テレビ系)では、主人公・昌(新垣結衣)の彼氏・京谷(田中圭)の母親で、寝たきりの夫を自宅で介護する千春役。自分を隠し誰にも愚痴を言えない昌に頼られてるうちに、昌との間に“血のつながらない母娘”の形が見えてくるという難しい役を演じた。しかし、そうした関係がわざとらしくもなく、ごく自然な“いい感じ”になるのも、田中が持ち合わせている空気感や、(台本にはなさそうな)さりげないながらも実力派の演技力のなせる“効果”ではないだろうか。

 また、現在放送中の『きのう何食べた?』(テレビ東京系)でも、西島秀俊演じるシロさんのよき相談相手であり、料理上手なご近所さん・佳代子として登場。「原作よりちょっと美人すぎ?」との意見もあるが、いつもニコニコして他人への気配りも完璧、懐の深い専業主婦象を演じて称賛の声が挙がっている。

 いずれにせよ、2作品ともかつてのトレンディ女優の面影はなく、“美人すぎず、おしゃれすぎず、本音で相手と向き合う主婦”という、どこにでもいそうな中年女性を演じながら、実はなかなかいない“普通のおばさん”像をさりげなく確立させているのだ。

 バラエティ番組では、「ガハハ」と笑って毒舌を吐いてもどこか清潔感を感じさせる「ちょっと美人な面白いおばさん」をこなし、ドラマでは人を思いやる“深み”のある役を演じながら、常に「人を支える明るい笑顔」を振りまく田中美佐子。バブル期のトレンディ女優、主婦業、女優復帰などさまざまな人生シーンを経ながら、無理に若作りすることもなく60歳目前にして「かわいい」と評される田中美佐子は、平成〜令和を通じてもっとも美しく「おっさんスライド」できた女優なのかもしれない。

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