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文化を確立、平成のエンタメ界を席巻した“沖縄ブランド”

  • 「沖縄アクターズスクール」出身のDA PUMP・ISSA、「U.S.A.」でブレイク(写真:Tsubasa Tsutsui)(C)oricon ME inc.

    「沖縄アクターズスクール」出身のDA PUMP・ISSA、「U.S.A.」でブレイク(写真:Tsubasa Tsutsui)(C)oricon ME inc.

 5月1日からいよいよ平成に代わる元号「令和」がスタートする。4月1日にその旨が発表されたが、2月には今上天皇の在位30年記念式典もあり、少しずつ実感がわいてきた頃ではなかったろうか。その式典では歌手の三浦大知が「歌声の響」を披露。皇太子時代に沖縄を初めて訪ねられた天皇陛下がお詠みになった御歌に皇后陛下が曲を添えられたもので、これを沖縄出身の歌手が歌ったことは、平成を象徴する式典という意味でも非常に印象的な出来事だった。これはやはり、沖縄の歴史的背景が大きいからではあるが、振り返ればエンタメの分野でも平成の世で、沖縄は多くのブームを作ってきた。沖縄で育くまれた特殊なエンタメ文化とは?

激動の昭和から平成へ その歴史が刻んだ名クリエイターたちが文化的土壌を形成

 過去には琉球王国として独自の文化も育まれており、その楽園を思わせる風景も魅力だが、沖縄の近現代の歴史と言えば、何より第二次世界大戦を機に起こった悲劇の数々だろう。民間人をも巻き込んだ沖縄戦、さらに終戦後はアメリカ合衆国による27年間の統治。1972年の本土復帰まで、或いは基地問題が巻き起こる現在までも、この歴史や現実をじくじたる想いで見る人も多いはずだ。そんな沖縄のどこか「日本だけど日本じゃない」雰囲気とアイデンティティを投影するクリエイターがいた。『ウルトラマン』(1966年)の生みの親で脚本家の故・金城哲夫さんだ。

 「金城さんの故郷・沖縄へのこだわりの原点は太平洋戦争末期の沖縄戦だったと聞きます」と話すのはメディア研究家の衣輪晋一氏。「登場する星人には『チブル』『ザンパ』などの名がありますが、これはそれぞれ『頭』『残波』を意味する沖縄の方言です。また『ウルトラセブン』第42話『ノンマルトの使者』で、人類の地上支配で海底に追いやられた知的生命体・ノンマルトが、人類が海底開発をも推し進め始めたことで決起。人類を攻撃しますが、結局セブンに阻止されてしまいます。さらにはウルトラ警備隊の手によってノンマルトの海底都市も全滅。本当にノンマルトが地球の先住民だったのか、セブンやウルトラ警備隊が本当に正義と言えたのか、多くが謎のまま後味悪く終わるのですが、金城さんの平和への想いが最もこめられた神回として、ファンの間で今も深く愛されています」(同氏)

 また金城さんの同志であり同郷、そして『帰ってきたウルトラマン』(1971年)を手がけた上原正三氏も同様だ。上原氏も戦争を体験、「誰かが沖縄を伝えなければ」と考える人物で、ふたりとも沖縄戦、そして基地があることで戦争に加担せざるをえない沖縄の葛藤や平和への願いをシナリオに込めている。そうしてマイノリティーであった沖縄をエンタテインメントを通して発信し続けていった。

沖縄ならではの土壌が育んだスターが多数輩出 平成エンタメ界に“沖縄ブーム”到来

 複雑な歴史の一方では、アメリカ統治や基地に由来する文化と沖縄ならではの文化が融合。独自の文化が育まれてきたのもまた事実だ。本来の陽気で明るい県民性、ハッキリした顔立ち、音楽などの伝統芸能文化が根付く風土、そしてアメリカ統治時代に育まれたファッショナブルな感覚など、スターを輩出する地盤が出来上がっていたとも考えられており、アムラーなどの社会現象も起こした安室奈美恵さんを発端とする「沖縄アクターズスクール」出身のSPEEDなど、歌って踊るアーティストが平成初期の90年代後半から00年代前半にヒット。当時世間は“沖縄ブーム”の様相を呈していた。

 「沖縄アクターズスクール」出身アーティストで例を挙げると、安室奈美恵さんはヒット作を次々と連発。まさに昨年9月の引退まで平成を駆け抜けたアーティストだろう。また1996年のデビュー当時に小中学生だったSPEEDは、2000年の解散までシングル11枚、アルバム6枚の計17枚をリリース。一躍“時の少女”となった。また最近でも、ISSA擁するDA PUMP「U.S.A.」の一世風靡は誰もが知るところ。現在も30枚目のシングル「桜」がヒットしており、「桜」と韻を踏む語としての「ファビュラス」がTwitterでトレンド入りするなど話題に。

 このほかの音楽でも、BEGIN、HY、MONGOL800、ORANGE RANGE、Cocco、Kiroro、GACKTらが。役者では具志堅ティナや仲間由紀恵、国仲涼子、満島ひかり、比嘉愛未、黒木メイサ、新垣結衣、二階堂ふみらが。お笑い芸人ではガレッジセールやスリムクラブ、ダチョウ倶楽部の肥後克広、小島よしおら。モデルでは岸本セシルや玉城ティナ、ティアラ、りゅうちぇるらが。また国仲涼子主演のNHK連続テレビ小説『ちゅらさん』(2001年)では、作中のキャラクターグッズ・ゴーヤマンが実際に販売されて売切れ続出。Kiroroが歌う主題歌「Best Friend」も世代を問わず親しまれるヒット曲となった。このように平成は“沖縄発”“沖縄出身”の話題やタレントを続々と輩出している。

“沖縄発”“沖縄出身”がマジックワードに 地名を使ったキャッチコピーの元祖

 先述した90年代後半から00年代前半の沖縄出身のアーティストの躍進を機に、“沖縄ブランド”は世間に浸透。現在は、人気タレントが「沖縄出身」と言うと「ああ、なるほどね」と納得感さえ与えるようになった。

 「ここ数年は“○○が生んだ奇跡”“○○イチの美女”など、地名を使ったキャッチコピーでタレントを売り出す事務所が多いですが、“沖縄発”“沖縄出身”はそういったものの元祖的存在。かつ単に出生地を言っているだけなのでシンプルであり、逆を言えば、沖縄でなければ、出身地の県を語っても『ふ〜ん』で終わらせられることが多い。これは先述したような近現代の歴史を持つ沖縄だからこそが持ち得た特殊なアイデンティティであり、“沖縄発”“沖縄出身”は、今の芸能界ではほぼ“マジックワード”と言っても、現象としては言い過ぎではないでしょう」(同氏)

 具志堅用高に代表される、あっけらかんとした県民イメージもまたそうだ。沖縄の方言「なんくるないさ〜」も全国に浸透しており、「規制、規制でやや行き過ぎた感のある現代に癒やしを与えてくれる」と衣輪氏。このGWに癒しを求めて沖縄旅行をする人もきっと多いだろう。

 激動の昭和を経て、エンタメ界を盛り上げてきた平成の沖縄。新元号「令和」の時代にも新たなスターやブームを生み出してくれるのか、はたまた他のブランド都道府県が生まれるのか。「令和」時代におけるエンタメシーンの動向にも注目したい。

(文/中野ナガ)

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