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「家庭での性教育が子どもを救う」元看護師の女性が“とにかく明るい性教育”続けるワケ
「助けたいから、知らない人でもついていくかも」子どもの言葉に衝撃を受けた
――お子さんたちとはどんな話をしたんですか?
のじまさん自宅から歩いて数分ぐらいのところで、中学生の女の子が2年間大学生の男の人に誘拐されるという事件があったんです。こんなに人通りが多く、田舎町でもない住宅街で、中学生の女の子が事件に巻き込まれることがあるんだと強く衝撃を受けて。娘たちに「もし知らない男の人やかっこいいお兄さんに、『助けてください』とお名前を呼ばれて、声をかけられたら、あなただったらどうする?」と聞いてみたんです。そしたら「助けたいかもしれないから、ついていく」と答えたんですね。もし道を教えてっていわれたら、教えにいっちゃうかもと言われたときに、本当にドキッとして。子どもはついていった先にどんな未来が待ち受けているか、想像できていないんだと思い知らされました。
――イメージできていれば、知らない人についていくのを防げる?
のじまさんそうです。例えば交通事故だって、結局痛い思いをするってことがわかれば、赤信号は渡らないでおこうということがわかる。親は子どもに交通ルールを教えることができます。でも、交通事故と同じくらい人生を左右する“性の話”って、どの親もできない。だったらそこを話せるような活動を私がしていこうと。私が娘たちにしてきた話をほかの親御さんにもお話させていただいて、今は協会を立ち上げるまでになりました。
――協会の名前には「とにかく明るい性教育」「パンツの教室」と、大人たちも思わず目を引くような言葉を使われていますね。
のじまさん性教育ってタブー視されがちで、基本的には誰からも教わってきていないので、皆さん何よりも苦手意識が高いものだと思うんです。でも性教育はネガティブなことではないとアピールしたくて、“とにかく明るい性教育”としました。あとは親御さんから性教育ってどこから始めればいいんですか?という質問を多くいただくので、私はまず「パンツを洗わせることからスタートしてください」と言っているんです。子どもが自分で毎日パンツを洗うことが、教育のきっかけになりますよと。だから“パンツの教室”としています。「性産業?」「パンツを作る教室なの?」などと言われますけど、まずは注目してもらうことが大事だと思っています。
“性”は親世代が声に出せないナンバー1の悩み「3歳から性教育を始めてほしい」
のじまさん2つあって、一つはエッチな動画を見ていたんだけど、どうしたらいい?という悩みです。いまはスマホやタブレットで何でも調べられちゃいますよね。きちんと全部の単語を入力できなくても、「せっく…」「おっぱ…」と短い単語でたどり着きます。もうひとつは自慰の問題ですね。我が子が自慰をするのですが、どうしたらいいですか?と。それがツートップです。
――そんな場面に遭遇したら、正直受け止めきれないかもしれません。
のじまさんそうですよね。でも、ピンチはチャンスなので。親がドキっとしたときが、性教育のチャンスなんです。親がどう対応すべきかも含めて、今回『お母さん!学校では防犯もSEXも否認も教えてくれませんよ!』(辰巳出版)という本を書かせていただきました。運転免許を持っていない人が高速を運転できないように、性教育も習っていないと正解が分かりません。漢字が書けない、かけっこが遅い、泳げない…そんな悩みよりも、実は親世代が声に出せないナンバー1の悩みって“性”についてのことだったりするんですよね。
――性教育は何歳ごろから始められるんですか?
のじまさん『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』という全世界で性教育の指針としている手引書によると、スタートは5歳からとあります。しかし、私はそれでは遅いと思うんです。歩けるお子さんだったら、何歳でも性犯罪にあう可能性があります。当協会では3歳からはじめてほしいと皆さんに伝えています。