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ORICON NEWS
頑張る人がフェアに報われる社会を作りたい、SHOWROOM代表・前田裕二氏
2018年11月掲載記事の再掲載
変革期を迎えているエンターテインメント業界。テレビ最盛期やミリオンヒットが続出した時代に青春を過ごした30代は今まさに、その最前線で活躍している。彼らは今何を考えているのか、どう時代の変化に立ち向かっているのか。リレー形式でインタビューする本企画は、エンタメ業界で働く大手事務所マネージャーが同世代で活躍するキーマンに話を聞き、それぞれの背景や想いに迫っている。今回は、ライブ配信プラットフォーム「SHOWROOM」を手掛ける前田裕二社長。誰でも参加でき、誰でもチャンスが得られる同サービスは彼の実体験が反映されている。それはどういうものなのか。前田氏の内面、過去、そして今後の展望に迫った。
【企画・取材・文=山本圭介(SunMusic)/撮影=木村陽仁(MusicVoice)】】
「運命に負けない」
同社が展開するサービス「SHOWROOM」は、仮想ライブ空間のなかで、無料で誰でもライブ配信と視聴ができるライブ配信プラットフォームで、現在の会員登録者数は約170万人。プロ・アマ問わず様々なジャンルの「演者」と呼ばれる配信者が、仮想の部屋を設けてパフォーマンスする。それを一般の視聴者に観てもらい、双方向のコミュニケーションをおこなう上で、視聴者から受け取る「ギフト」でマネタイズするという仕組みだ。それは、路上ライブや路上パフォーマンスをするような感覚にも似ていて、それをインターネットという無限の空間で実現したカタチだ。
「SHOWROOM」は前田社長の実体験が反映されている。小学2年生の夏に母親を亡くし、その後は10歳離れた兄との二人暮らしで、生き抜いてきた。小学6年生の頃には「自分で稼ぎたい」という理由で、ギターの弾き語りという路上ライブで生計を立てようとする。通行人に立ち止まって聴いてもらい、そしてギターケースにコインを入れてもらう。どうやったら立ち止まって聴いてくれるのか、小学生ながら様々な研究を重ねた。「PLAN、DO、CHECK、ACT」。ビジネスマーケティングで使われる手法の一つだが、この時すでに実体験していた。そしてこの時の経験がその後の運命を変え、「SHOWROOM」へと繋がっていく。
「先天的なギャップなんて、後天的な努力でいかようにも乗り越えられるんだということを証明したかった」
母との死別、兄との貧しい二人暮らし…。しかし、前田氏は前に進むことを選んだ。そして、ビジネスを円滑に回すためには人が大事であることを学んだ。前田氏はこうも語っている。「人が大事。好かれることよりも相手を好きになることが大事だと思っています」。失った分だけの愛情をもらった。そして、彼が自身の歩みを重ねるように立ち上げたのが「SHOWROOM」だ。誰でも参加できて、努力がフェアに報われる仕組み。しがらみもなにもない。人への想い、努力が全てだ。
様々な経験をした前田氏だからこそ生まれた『SHOWROOM』。前田氏のエンタメとの関わり、証券会社時代やSHOWROOMへの想い、これからのエンタメ界について語ってもらった。