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いよいよ麻雀ブーム到来? 続々と映像化&Mリーグ発足で“健全化”に拍車、一方で功罪も

  • プロ麻雀リーグ「Mリーグ」開会式直前囲み取材にて意気込みを語った萩原聖人 (C)ORICON NewS inc.

    プロ麻雀リーグ「Mリーグ」開会式直前囲み取材にて意気込みを語った萩原聖人 (C)ORICON NewS inc.

 史上最年少棋士・藤井聡太の登場や人気将棋漫画『3月のライオン』の実写映画化など、将棋ブーム真っ盛りの今、ここにきて“麻雀”も盛り上がりを見せている。麻雀を題材にした映画やドラマ作品が多数公開され、今年7月には麻雀のプロリーグ「Mリーグ」が発足した。一般的にはいわゆる「飲む・打つ・買う」の“打つ”=ギャンブル系のイメージが強く、どちらかと言えば不健全さの象徴だった感もある麻雀だが、将棋のように老若男女が楽しめる健全な形でブームの兆しを見せはじめている。

浜辺美波も“麻雀”が題材の作品で主演 メジャー級作品も“麻雀”に注目

 これまで麻雀は、Vシネマなどの作品では題材にされたこともあったが、最近はメジャー級作品でもコンテンツのひとつとして楽しまれるようになった。福本伸行のマンガ作品『アカギ』は本郷奏多主演でドラマ化され、同じく福本作品『天 天和通りの快男児』も岸谷五朗と古川雄輝主演でドラマ化。マンガ『ぎゅわんぶらあ自己中心派』で知られる片山まさゆきの『ノーマーク爆牌党』も、ノンスタイル・石田明と矢本悠馬主演映画として先ごろ公開された。浜辺美波主演映画『咲−Saki−』も麻雀が主題だし、来年には斎藤工主演、白石和彌監督による映画『麻雀放浪記2020』の公開も控えている。

 そして今年7月には、「日本国内における麻雀の競技化、健全化を図り、麻雀自体の社会的地位の向上」を目的とした「Mリーグ」が発足(麻雀好きで知られるサイバーエージェントの藤田晋社長が初代チェアマン)、また、老人ホームなどでは高齢者のボケ防止のために麻雀が楽しまれており、街の雀荘でも「健康麻雀」などの看板を掲げるところが増えてきている。

 また、俳優の萩原聖人を筆頭に麻雀好きを公言している芸能人も多く、かつてフジテレビの深夜に放送されていた『THEわれめDEポン』(現在はフジテレビONEで放映)でも、風間杜夫や坂上忍、秋元康、児嶋一哉(アンジャッシュ)、小沢一敬(スピードワゴン)、加賀まりこ等々、多数の出演者が腕を競い合った。つい先日も元ノンノモデルだった岡田紗佳が麻雀プロになったことをテレビで告白。仕事もすっかり麻雀絡みのもののほうが多くなったのだとか。

 基本的には4人揃わないと出来ない麻雀であるが、今ではネットで手軽に他者と麻雀を楽しむことができるようになった。そのことも、麻雀をメインストリームに押し出す大きな要因になったといえよう。

阿佐田哲也『麻雀放浪記』が昭和40年代の麻雀ブームを牽引

 そんな麻雀だが、そもそもの発祥は中国で、明治末期に日本に伝わったといわれている。日本における麻雀の普及には阿佐田哲也氏が果たした役割が非常に大きい。阿佐田氏は1969年〜1972年に『麻雀放浪記』を発表、昭和40年代の麻雀ブームの火付け役となった。『麻雀放浪記』は戦後復興期を舞台にした麻雀賭博小説だが、当時は絶大な人気を誇り、主人公に憧れたサラリーマンたちが仕事帰りに雀荘で麻雀を打つ、といった風景も日常的だったのである。1970年には雀聖・阿佐田哲也、小島武夫、古川凱章らが麻雀エンターテインメントグループ「麻雀新撰組」を結成し麻雀ブームを牽引、大橋巨泉氏司会の人気深夜番組『11PM』(日本テレビ系)の「麻雀実践教室」にも出演した。

 また、「20年間無敗」との逸話をもつ雀鬼・桜井章一の存在も忘れてはならない。なぜか無敗つながりで格闘家のヒクソン・グレーシーとも交流があるなど、近年の麻雀界においてはもっとも有名な人物と言えるだろう。

賭け将棋で生計を立てる“真剣師”が活躍 将棋が不健全だった時代も

 そして、先述の将棋だが、今でこそクリーンなイメージがあるものの、かつては“不健全”な部分があったのも事実。小池重明や花村元司など、賭け将棋で生計を立てている“真剣師”たちが活躍した時代もあったのである。しかし、時代とともに取締が厳しくなると真剣師はいなくなり、負のイメージが払拭されはじめ、誰でも楽しめるゲームへと健全化されていった。

 一方麻雀は、先の『麻雀放浪記』によって、“賭け麻雀” =ギャンブル・酒・タバコ=不健全といったイメージがついてしまい、いまだ払拭されたとは言い難い。蛭子能収をはじめ著名人が見せしめ的にニュースを賑わすこともあり、どうも麻雀には健全なブームが起きづらい側面もあるようだ。

 また、麻雀には“運”の要素も。将棋では、羽生善治や藤井聡太などが“天才棋士”として一般的にも評価されやすいが、麻雀における強さはなかなか理解や評価がされにくい部分がある。さらに、将棋はプロになるための年齢規定はなく何歳でもプロになれるが、麻雀は18歳以上でないとプロになれなかったり、将棋のプロ団体は「日本将棋連盟」しかないが、麻雀にはプロ団体が多数あり、さまざまな利権が絡み合っているとも言われるなど、どうも“国民的娯楽”になるには“大人の要素”が強すぎるきらいがあるのだ。

賭け麻雀、イカサマ、特殊ルール…、“いかがわしさ”も「麻雀コンテンツ」の魅力

 そんな麻雀も、先述の「Mリーグ」の発足により健全化が期待されるのだが、完全に健全化されると面白くなくなるのも世の中の常。麻雀コンテンツにしても、賭け麻雀、イカサマ、特殊ルールといった“いかがわしさ”が魅力のひとつになっているのも事実なのだ。

 実際、『麻雀放浪記』でも主人公の坊や哲や兄貴分のドサ健など、登場人物たちの“無頼ぶり”がウリだったし、マンガ『アカギ』にしても、「鷲巣麻雀」という裏社会の大物・鷲巣巌が考案した「鷲巣は現金、対戦者は血液を賭ける」などという、とんでもないルールの麻雀があったからこそ、登場人物たちがまさに命がけになり、人生を賭けるところにドラマが生れ、質の高いコンテンツとして楽しめるのである。健全化は、そうしたストーリーの強度を下げ脆弱化させるという“負のスパイラル”を起こす危険性もあるのではないだろうか。

 目が悪くなる、中毒性がある、ゲーム脳になる等々、社会問題化されてきたテレビゲームでさえ、最近では「eスポーツ」として社会的に認知されつつある。麻雀には超えなければならないハードルがまだまだ多くあるようだが、それらを越えた先にこそ、本物の“麻雀ブーム”が待ち構えているのかもしれない。

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