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二宮和也、木村拓哉との共演に感慨「平成の大スターを平成のうちに味わっておきたい」

 映画『検察側の罪人』で、若手検事・沖野を演じる二宮和也。沖野の上司・最上は、事務所の先輩でもある木村拓哉が演じている。初共演となった彼らだが、二宮は以前から「共演してみたい」と希望していたという。二宮の演技に対する考え方、そして木村とのエピソードとは?

木村は「厳しいところは他の人より厳しいし、優しいところは他の人より優しく」

――最初から最後まで緊張感にあふれた『検察側の罪人』。現場はいかがでしたか?
二宮和也 引き締めるべきシーンの撮影では緊張感もありましたが、基本的にはワイワイしていたんじゃないかと思います。座長の立ち上げ方も含めて、とてもいい環境でやらせていただきました。

――座長とは、二宮さんが演じる検事・沖野が師と仰ぐ先輩検事・最上役の木村拓哉さん。今回、初共演をした感想は?
二宮和也 環境を整えていただけたので、木村くんは大変だったかもしれないけど、僕は楽しかったです(笑)。木村くんは、役者としても先輩ですが、事務所の先輩でもある。だからこそ、厳しいところは他の人より厳しいし、優しいところは他の人より優しく…という特殊な関係。僕はずっと甘えていたという印象ですね(笑)。

――木村さんが整えてくれた環境とは?
二宮和也 僕のこれまでの出演経験を踏まえていただいた上で、「あなたのやり方があるでしょ」と、尊重してくださる。「あなたのやり方を教えて。すべてに添えるかはわからないけど、出来うる限り整えるから」という感じです。木村くんは、感情が見えにくいんですよ。すぐ寡黙になるし、黙ると怒ったような顔になるから(笑)。でも、実は黙っているときは何かを考えているんです。しかも考えているのは、いま現場で起こっている問題の先。こう解決した後はどう展開しようか、とか…あくまでも僕のイメージなんですけど(笑)。そういう木村くんと一緒にできたことは、僕だけではなく、共演者もスタッフも、とてもやりやすかったんじゃないかと思います。

平成の大スターは「やっぱりSMAPだ、木村拓哉だ」

――二宮さんは木村さんとの共演を望んでいたそうですが、いつ頃から考えていたんでしょう?
二宮和也 リアルに思ったのは2年くらい前、今の天皇陛下が退位されて平成の元号が変わるという報道が出た時からです。平成が終わってしまうと思った時に、「平成の大スターを、平成のうちに味わっておきたい」と思ったんですよ。それで、「平成の大スターって誰だ?」と考えたときに、「やっぱりSMAPだ、木村拓哉だ」と思った。昭和の大スターである石原裕次郎さんのように、平成を最初からトップで走り続けているのは木村くんだと思いました。もちろん、他にも多くのスターがいらっしゃいますが、同じ事務所でいえば、やっぱり木村くんでなんです(笑)。平成元年から30年までトップで走り続けている人と、平成が終わる前に共演してみたい。そんな気持ちを強く持ち続けていたので、今回のお話を聞いた時は本当に嬉しかったです。

――本作は平成最後の夏の公開ですから、ぎりぎりセーフですね。
二宮和也 ラッキーだったと思います。ここを逃したら一生ないかもしれない。その時代のスターと、その時代に共演できた人は、実はそんなにいないんじゃないかと思うんです。かつてのスターの豪快な話を聞いたりすると、伝説感がすごいですよね。僕もいずれ、後輩たちに飲みながら“平成の大スターとの共演話”を自慢してやりたいと思います(笑)。

「僕のことを応援してくれる人たちに、間違った印象を与えたくない」

――木村さんと演技についての相談や話し合いは?
二宮和也 しなかったです。これまでも大人の方々と共演してきたせいか、後輩の立場から「僕はこう思っているけど、先輩は?」と聞くのは、あまり美しくないと個人的に思っていて。木村くんが主演の作品で、僕にも声をかけていただいたわけですから、足を引っ張らないことが大前提。そんな中で、「どうしたらいいんでしょう?」なんて聞いたら、「こいつ大丈夫かな?」と心配をかけてしまうかもしれない(笑)。それは、やっぱり違うと思うんです。

――沖野を演じるときのこだわりは?
二宮和也 そうですね、あまり共感することはなかったです。この役に限らず、僕は自分が演じる役にそこまで共感することはなく、わりと俯瞰的な立ち位置でいることにしています。僕のことを応援してくれる人たちに、間違った印象を与えたくない。だから、自分が演じる、お借りするキャラクターを深堀りすることがないのかもしれない。今回も大事にしていたことは、遅刻しない、風邪をひかないとか、そのくらいですかね(笑)。

――沖野が被疑者・松倉(酒向芳)を追い詰めて自供させるシーンは、緩急の演技が圧巻でした。
二宮和也 あれは大変でした。ずっと怒って、相手を罵倒し続けなくてはいけない。僕自身は、なるべく人と円滑な関係を築いて生きようと思っている人間ですから(笑)、あんなことはやったこともない。撮影が終わったときには、「ああ、良かった」とホッとしました(笑)。

――相当なエネルギーを感じましたが?
二宮和也 本物の検事の先生に、「実際にここまでやっていいんですか?」と伺ったら、「ここまでやったらクビです」と言われました(笑)。「でも、これは作品のスパイスとして必要なシーン。ドキュメンタリーでもないし、あなたが検事のライセンスを持っているわけでもないから、大丈夫ですよ」と言っていただいて。特に難しかったのは、相手が動かないことでした。被疑者は椅子に括り付けられているから、物理的にまったく動けない。自分から動いてけしかけていかないといけないので、そこがいちばん大変でしたね。

――台本では、木村さん演じる最上が尋問を別室で聞いている設定。でも木村さん自身が、「真に迫った自供シーンがあまりにも酷薄だったので、思わず途中で外に出た」と。
二宮和也 後からそれを知りました。あのシーンを撮る前日に、「やりたいように、メチャクチャやっていいよ」というメールをくれて、撮影当日も「楽しみにしているよ」と送ってくれたんです。自分が稼働してない日の撮影スケジュールも把握していて、僕だけでなく、他の役者さんたちにも「お願いします」とメールを送る。本人が現場にいなくても、「ちゃんとやらなきゃ!」と自然に思わせてくれる方です。僕が主役をやった時には、そこまでやれていなかったな(笑)。

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