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自販機「レンタルアンブレラ」SNSの妄想が現実に…返却率7割、利用者の声は?
「雨の日に走っている人を見て…」発案者は大阪市内のドリンクを補充する営業マン
国内飲料事業の売上のうち80%以上を自動販売機であげているダイドードリンコ。“自動販売を大切な店舗”ととらえているからこそ、生まれた発想だろう。
「このような活動は、当社にとっても初の試みだったため、どの自販機に設置すれば、お客様にご活用いただけるのか、どんな傘を準備すればご利用いただきやすいか、そもそも本当に返してもらえるのか、など手探りの状態でした」(多田さん)
活動初年度の設置場所は、大阪市内の様々な場所で試験的に展開された。その結果、繁華街や観光地ではなく、オフィスビル1階などの事業所内、地元の方がよく通る商店街など、繰り返し同じ方が通るところにある自販機で有効活用されるという傾向に従い、翌年以降の活動に活かしているそうだ。
今ではSNSやお客様相談室などへも利用の感想、感謝の声、さらなる普及を熱望する声なども参考にしながら、より的確なサービスの提供を考えているようだ。
レンタルアンブレラを通して、お客さまとの触れ合いの幅が広がった
また、傘のデザインは、老若男女に気軽に利用してもらいたいという思いから、黒を中心としたシンプルなものを再利用し、柄の部分に「DyDo」ロゴのシールを貼っている。傘の部分に大々的にロゴを入れれば、広告効果も望めそうだが、なぜそれを狙わなかったのだろうか。
「実は弊社で準備した傘もあり、それについては、傘部分にもロゴを入れています。でも、広告効果を狙ったものというよりは、“どこで借りた傘かわからなくなってしまわぬように”が目的です。ですから、リサイクルの傘については、もともとのデザインを活かした形で、柄の部分に“DyDo”と入れています。あからさまに広告のような傘では、手に取りにくくないですか?いつも自販機で飲料をご購入いただいているお客さまに、飲料提供とは違った形で恩返ししたいという思いから始めた事業なのに”デザインのせいで使いにくい“と思われたら本末転倒なので」(多田さん)
「設置場所マップをつくったらより多くの人に利用してもらえるし、返却の際にも便利なのでは?」と尋ねると、利用率や返却率を見ながら、設置場所を随時更新しているため、設置場所マップを制作することが難しいようだ。2016年に関西エリアで検証した際の傘の返却率は7割ほど。現在も試行錯誤しながら、より多くの方に利用してもらうための計画を練っている。
「日本ならではなのでしょうか。“来客が忘れていった傘にDyDoのロゴがついているけど、これどうしたらいいですか?”という連絡をいただくこともありました。レンタルアンブレラのことを説明すると“そうなんだ、じゃあ私が自販機に返しておくよ〜!”なんて快いお返事をいただくことも。あとは、“壊しちゃったんだけど、どうしよう”というお問い合わせも過去にはありました。本当に親切な方が多いです。レンタルアンブレラの事業を通じて、お客様との触れ合いも増えた気がしています」(多田さん)
レンタルアンブレラは、2016年には関西エリア、2017年には関東エリア・愛知県・北海道へと広がりを見せ、2018年には新たに福岡県、山梨県、長野県、新潟県を加えた16都道府県の約500台の自動販売機に設置されている。
突然の雨の日は、自動販売機を探してみては?