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沢尻エリカ 元アイドル役演じ実感「アイドルって精神的にも体力的にも大変なんだなって」

 美女と猫は絵になる――。6年ぶりに映画で主演する沢尻エリカの最新作映画『猫は抱くもの』は、沢尻演じる夢を叶えられなかった元アイドルの沙織とロシアンブルーの良男とのやりとりなど、人と猫の繋がりを通して自分らしく生きるヒントを与えてくれる。これまでにインパクトのある役を演じることが多かった沢尻がなぜ、このタイミングで等身大のアラサーの女性を演じたのか。その理由を尋ねてみると、そこにはやはり彼女らしい理由が潜んでいた。

夢破れた元アイドルのアラサー女子に挑戦 「面白いものができると確信した」

 これまでの沢尻エリカといえば個性的な役柄を全身全霊で取り組み、とことん役にのめり込む“憑依型の女優”というイメージが強かった。そんな沢尻が今回挑戦したのは、田舎の小さなスーパーに勤務する元アイドルという、至って普通の“アラサーの女性”。『ヘルタースケルター』(2012年)のりりこ、『新宿スワン』(2015年)のアゲハ、『不能犯』(2018年)の多田刑事など作品の度に違う顔を見せてくれる沢尻。どのような想いで今作に参加したのだろうか。

「オファーを受けたのは昨年の春頃だったのですが、今回に限っては台本も本当ざっくり読む程度で決めちゃいました。いつもだったら“ここはこうで…いや、でも違う”ってじっくり精査するんですが、今回はそういったことはなく、直感で決めたような感じですね。というのも、“犬童一心監督なら面白いものができる”って確信が自分の中であったんです。しかも、猫も出る話って聞いたから余計に出たくて(笑)」

 沢尻が演じた沙織は妄想好きで誰とも共有できなかった気持ちをロシアンブルーの猫・良男(吉沢亮)のみに話す、いわば“こじらせ女子”。そんな沙織を沢尻はこう分析する。

「自分の殻に閉じこもりがちな女性で、今まで人生でいろいろあって傷ついてきた分、ちょっと偏屈なところもあると思います。私自身と共通点はあまりなかったですが、私もよく妄想をするので、“共感”としては近いものがあると感じました。たとえばこういうインタビューのときに“このインタビュアーさんどういう人なんだろう?”って考えたりとか(笑)。近くにいてあまりよく知らない人のことを妄想します。人間観察みたいな感じですよね」

全身落ち葉まみれになりながら夜の樹海で猫を追いかけました(笑)

 沙織が飼っている良男は自分を人間と思い込みその姿を吉沢亮が演じているほか、劇中には猫のキイロを擬人化したコムアイらも出演。撮影中はそんな人間と猫が入り混じる現場ならではの苦労もあったよう。

「森の中に逃げた良男を追いかけていくシーンがあるんですけど、夜中だし猫だからどこに行くかわからないじゃないですか。しかも場所も樹海で(笑)。だからその周辺を全部ネットでガードしてスタッフさんが猫が逃げないようにしてくれていたんですが、その撮影がすごく大変でした。しかも、ロシアンブルーって足も速いから全然追いつけなくて。“もうダメだ…”って全身落ち葉まみれになりながら何度もトライしていました」

 そして映画で共演したロシアンブルーを沢尻は気に入り、そのまま自宅に引き取ってしまったというエピソードもある。「うちに来て3カ月以上過ぎているのでだいぶ慣れてくれています。もともと犬を飼っていたので最初はどんな感じになるんだろうと思っていたのですが、まぁ大丈夫でした(笑)。猫に限らず動物は大好きなんです」

「昔はいろいろあったけど…今は飾らず “素”でいられている」

 今作は現実の風景で撮影された「実景パート」、古いホールを現実世界に見立てた「舞台パート」、手書き風の「アニメーション・パート」の3つの世界観が組み合わさり、まるで沙織の妄想に引きずり込まれたような感覚に陥る。そんな中で印象に残っているシーンについて尋ねた。

「ゴッホ(峯田和伸)とスナックで言い合いをするシーンですね。ここは舞台パートで難しい部分はあったんですが、感情を爆発させる場面ならではの手応えも感じましたし、やっぱりこういうお芝居って楽しいなって」

 以前のORICON NEWSのインタビューで「人間であれば失敗だってするし、うまく生きられなくて当たり前」と語っていた沢尻。奇しくも今回沢尻が演じた沙織も自分が描いた通りの人生を謳歌できず、結果自分を好きになれないでいる。まるで沙織に向けた言葉のようだ。

「悩みっていうのは男女問わず誰にでもあるものだと思うので、沙織が感じていたつらさも理解できます。私も昔はいろいろあって、こうして女優をやらせてもらっていますが、ここにくるまでに心境の変化みたいなのもありました。今は本当に常に飾らず“素”の自分でいられています。どんなときでも笑顔を振りまきながら、歌って踊らなきゃいけない。アイドルって見た目は華やかだけど、精神的にも体力的にもいろいろ大変なんだなって実感しました。私自身がいつも自由でいるタイプなので余計に、ですよね(笑)」

「得意なものなんてない」沢尻エリカ流の自分らしい生き方は“当たって砕けろ”精神

 仕事の展望について話題が及ぶと顔がパッと華やぐ。未経験のことに足を踏み入れる際に不安や迷いは生じないという。自分らしく前に進むために、沢尻エリカはどう考えているのだろうか。女優としての強みをどう分析しているのか聞いてみた。

「むしろ強みも得意なものないですよ! 自分がやりたいと思ったら全然いけちゃうタイプ。たぶん考えすぎちゃうとできないのかなって思うんです。私はむしろ“飛び込んじゃえば何とかなる!”みたいな考え方(笑)。“当たって砕けろ”精神に通じる部分もあると思います。自分はお芝居が好きで女優をやっているので、何か1つ挙げるとしたらそういうことかな」

これからの女優業への想い「次はコメディをやりたい!」

 特に今年は本作も含め4本の映画に出演。女優の仕事に精力的に打ち込んでいる。常に自分らしく、自由でありたいと明かす沢尻。大人の美しさを携えた30代、次に興味を持つものを聞いてみると意外な答えが返ってきた。

「前から撮っていた作品を今年上映するっていう流れが続いて、今年はたまたま映画の公開が重なっただけです(笑)。私自身は映画とかドラマとかジャンルにそこまでこだわっているわけじゃなくて。むしろ自分が“これだ!”って思った役があれば、いろいろ挑戦していきたいってスタンス。それこそ今まで挑戦してこなかった舞台とかも、もし機会があればやってみたいです。実はコメディを観るのも大好きなんです。今までちゃんとコメディ作品で演じたことがないので、やってみたいですね!」

(文/kanako kondo 写真/近藤誠司)

映画『猫は抱くもの』

6月23日(土)公開

なりたい自分になれていない、こじらせ女子・沙織(沢尻エリカ)は、売れないアイドルグループ『サニーズ』のメンバーだったアラサー女性。彼女が唯一心を開くのはロシアンブルーの猫・良男(吉沢亮)。そして自分を人間だと思い込む良男は、沙織に恋をする。そんな1人と1匹が、ゴッホと呼ばれる売れない画家(峯田和伸)や迷い猫のキイロ(コムアイ)と出逢って、変わってゆく―。

監督:犬童一心
原作:大山淳子「猫は抱くもの」(キノブックス刊)
脚本:高田亮
音楽:水曜日のカンパネラ
出演:沢尻エリカ、吉沢亮、峯田和伸、コムアイ(水曜日のカンパネラ)/岩松了
オフィシャルサイト:http://nekodaku.jp/
(C)2018「猫は抱くもの」製作委員会

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