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ORICON NEWS
10年目にして“本命不在”のAKB総選挙、今年だからこその見どころは?
最大の見どころは順位ではない? 「選抜総選挙を誰が盛り上げるのか」
「誰が1位になっても初の女王」という状況で、いまいち盛り上がりに欠けるという声も囁かれている。事実、7位以下の票数はほとんど僅差が続く団子状態。誰が抜きんでてもおかしくない状況ではある。
08年結成のSKE48は10周年イヤーであり、地元のナゴヤドーム開催だけに松井珠理奈は前回の3位からの“天下取り”を宣言。また、前回4位のHKT48の宮脇咲良は「博多で獲った旗は博多が引き継ぐ」と3連覇した指原に続き、首位戴冠を標榜。また、51枚目シングル「ジャーバージャ」でセンターを飾った前回9位でAKB48/STU48の岡田奈々は「総選挙でもセンターを獲りたい!」と熱意を燃やす。昨年速報1位、最終結果5位の“シンデレラガール”NGT48の荻野由佳は今年も速報1位を記録。NMB48の白間美瑠も「てっぺん取ったんで!」と頂点を目指し、各グループの看板を担うメンバーが首位奪取をロックオンしている。
しかし、“本命不在”の今年だからこそ、選挙順位に映らないインパクトに期待したい。誰が選抜総選挙の盛り上げをけん引するのか? という点こそが今年の総選挙の見どころではないだろうか。
“結婚宣言”で大バッシングを受けた須藤凜々花、だが結果としては一人勝ちに
「私、須藤凜々花は…結婚します! 迷惑だとわかっているんですけど、自分にも皆さんにもウソをつきたくないと思っています」と恋愛禁止の48グループの制約を飛び越えての結婚宣言。前代未聞の行動により、総選挙会場のアイドル達は叫び、怒り、悲しみといったメンバーの様子もテレビに映し出された。世間の反応は、「支えてきたファンへの裏切りだ」「恋愛禁止だけれど、確かに結婚禁止とはうたっていないはず」「この度胸はすごい」といったさまざまな意見が噴出したのである。
メディアの報道も須藤一色となり、昨年の総選挙の結果は指原の史上初の3連覇という偉業を成し遂げつつも、世間のイメージは「須藤が世に出た回」といってもいい結果となった。しかしながら、見方を変えると、須藤はある種の閉塞感のあった総選挙に、スタンドプレーで風穴を開けたともいえるだろう。このハプニングにより、アイドルファンでない層にも総選挙の話題が広がり、昨年のAKB総選挙を引っ張ったのは間違いなく須藤だったのだ。
生放送ならではのハプニング…アイドルたちの“生々しさ”こそが魅力
過去の名シーンもまさに“仲間なのに戦わなければならない”選抜総選挙への必死の覚悟を物語る生々しい喜怒哀楽がドラマティックに表現されてきた。第2回で大島優子に1位を譲り、第3回で再び1位に返り咲いた前田敦子が泣き叫ぶように訴えた「私のことは嫌いでも、AKBは嫌いにならないでください!」は、アイドル史に残る名言として知られている。また、同年は現AKB48の総監督・横山由依が圏外から19位にランクイン(同回までは21位までが選抜)。よろけるような足取りでステージへ上がり、“過呼吸寸前”とも言える状態でマイク前でも震えながら涙した姿は、視聴者から“放送事故”とも評されたが、「命をかけていることが伝わった」という意見も。そのほかにも、篠田麻里子が壇上から「潰すつもりで来てください」と後輩に激を飛ばしたり、大島優子は指原に初連覇を阻止され、「こんなおなか抱えて笑ってしまう総選挙は初めてです」と失笑するという世代交代の瞬間もあった。
また、近年は上位メンバーが卒業を発表することも続き、まさに選抜総選挙は“人生の分岐点”としての側面もあった。そうした過去の名シーンは、生中継だからこそのハプニング的要素で盛り上がり、第5回の瞬間最高視聴率は32.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録するなど、世間の耳目をさらってきたのだ。
横並び状態だからこそ、“真の女王”の出現に期待
誰が1位に輝くのか、誰が選抜メンバーになるのかは、AKBファンにとっては大いなる関心ごとではある。しかし、アイドルファンだけでなく、世間が注目してきたのは、メンバーたちが“仲間なのに戦う”矛盾の中で序列を公開される葛藤を、泣き叫びながら言葉にするスピーチや予想しえない“ハプニング”であった。
そんな、何が起こるかわからない運命の交差点で、“ドラマ”を演出するメンバーこそが世間の注目を集めるのではないだろうか。誰がハプニングを起こすのか、どんな名シーンが生まれるのか、そして10年目のAKB総選挙という大舞台をけん引するのは誰なのか。「誰が1位になっても初の女王」という状況だからこそ、そうした順位には映らない“真の女王”が現れることに期待したい。