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くっきー、ロバート秋山…急増する「芸能人個展」の背景に“楽しさ”の拡散
ここ数年、芸能人の個展が目立ってきており、思いつくだけでも、嵐・大野智、渡辺直美、ロバート秋山と枚挙にいとまがない。これまで世界的に有名なアーティストと組むのが主だった個展だが、異業種ともいえる芸能人を選ぶことに、企業はどのようなメリットを感じているのだろうか?
ここ数年で“芸能人個展”が急増。担当者が語るヒットの理由
なかでも昨年4月、東京・パルコミュージアムで行われたロバート秋山の『東京クリエイターズ・ファイル祭 池袋クリエイティブ大作戦』は、同会場担当者・株式会社パルコ都心型店舗グループ本部マーケティング担当・狩野佑介さんによると、「約4.5万人が来場した」とのことだ。これは、過去24年間、パルコで開催した有料型展覧会の入場者数としては最も高く、当時は入場まで最大4時間待ちという日もあった。
続けて狩野さんは「2017年4月の東京・池袋開催から1年をかけて全国へ巡回し、2018年3月に開催したロバート秋山さんの『東京クリエイターズ・ファイル祭 完全版』も25万人動員という驚異的な結果となりました」と話し、そのヒットの理由については、「ゴールデンウィークということもあり、TVメディアで大きく取り上げて頂けたこと、またご本人が会期中7回もご来場されニュース性が高かったことはもちろん、イベントも展示内容も『全て撮影可能』なのも大きかったと思います。ご来場者の皆様がSNSで常に発信をしてくれることによって、話題が話題を呼び、一大ムーブメントとなったのでは」と考察してくれた。
“芸能人個展”は開催側、お客側ともにwin-win?
これについて、メディア研究家の衣輪晋一氏は「芸能人の個展増加は現代ならではの現象」と話す。そもそも芸能人はこの場合“ブランド”であり、彼らが作った作品は意味合いとしては「芸能人のサイン」と同じような存在といえる。また話題性があるゆえにテレビで取り上げられる宣伝効果もあるが、これに“インターネット社会”が付け加わった状態だというのだ。
「狩野さんのおっしゃる通り、SNSや動画サイトの普及により、“芸能人の本業以外の活動が知れ渡るようになった”ことがまず一つ。次に、“宣伝の変化“です。過去は新聞雑誌、TVの宣伝広告や口コミなどに頼らざるを得なかったのですが、現代ではその芸能人のファンらが開催情報をリツイート、さらに“インスタ映え”の流行で、行ったということを証明するためにSNSに写真をアップ。そこには観た感想も書かれています。アップした人がインフルエンサーでなくとも、その書き込んだ内容が面白そうだとなれば、すぐにネットで拡散、反響を楽しむことができます。芸能人の個展は開催側、お客側ともにwin-winなのです」(衣輪氏)
つまり話題のタネ的な“雪だるま”を置いておけば、あとは興味を持った人々が勝手に転がし、大きくしてくれるのが現代の特徴。最近はドラマの制作発表などでも観客を呼び込んでいるのを多く目にするが、これも明らかにSNSでの拡散を目標としたものだ。
「芸人」の勢い強し?拡散しやすい作品が多く展示
野性爆弾・くっきーの『超くっきーランドneoneo』はすでに、広島、名古屋と3年での開催が決定している。担当者も「唯一無二」と称したその才能。あなたのSNSをさらに華やかせるため、足を運んでみてはいかがだろう?
(文/中野ナガ)