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4月改編、“打倒日テレ”を掲げる民放各局それぞれの思惑とは?

  • 18年ぶり2期連続プライム帯“無改編”の日テレ、1位の座を守る (C)ORICON NewS inc.

    18年ぶり2期連続プライム帯“無改編”の日テレ、1位の座を守る (C)ORICON NewS inc.

 各局が新しい編成で臨む4月。現在は年間視聴率において日本テレビの一人勝ち状態だが、他局もその状況に手をこまねいている訳ではない。各々に“打倒日テレ”を掲げた新番組や既存番組の強化が見られる。4月の改編を機にテレビ界の勢力図は塗り替えられるのか? 各局の改編状況を分析していこう。

日本テレビ◆2期連続プライム帯ほぼ無改編、絶好調の“日テレ式メソッド”強固に

 年間視聴率で無双状態の日テレ。メディア研究家の衣輪晋一氏は「その強固な体制は“日テレ式メソッド”が機能しているからこそ」と分析する。「日テレは縦横の連携が強く、まず有望な新顔を『行列のできる法律相談所』『今夜くらべてみました』『踊る!さんま御殿!!』などで発掘。それから『ヒルナンデス』『火曜サプライズ』『メレンゲの気持ち』などでの起用や、ドラマ出演で定着。そして、『しゃべくり007』や『おしゃれイズム』、『波乱爆笑』などで特別待遇に。新人発掘から担うので芸能プロダクションとの協力体制も強固。この流れが“日テレ式メソッド”です」(衣輪氏)

 ゴールデン改編率は0.5%で極めて低い数字。編成部長・岡部智洋氏も「ゴールデンタイムの改編なしは極めて異例」と語っており、その言葉からは現状の満足度が見て取れる。「いつでも見られるネット動画時代でリアルタイム視聴が少なくなっている昨今、テレビで最も重要なのは“視聴習慣”。それが根付いているからこそ、変える必要もないのでしょう」(衣輪氏)

TBS◆“ドラマのTBS”が完全に定着! 今最も爆発力を秘め、打倒日テレの最右翼!?

 その背を追うのが、2017年の年間ゴールデン帯視聴率でテレ朝と共に僅差の2位を獲得したTBS。「TBSはとくにドラマが好調。これは“ドラマのTBS”としての矜持だけではなく、どんなに若い社員でもいい企画ならばドラマにする、社内で行われる“企画コンペ”が功を奏したのではないでしょうか。ドラマ『3人のパパ』のように経験の少ない若いプロデューサーの場合はベテランがバックアップ。各現場の士気が向上する相乗効果ともなっており、そんな長期的で挑戦的な姿勢が実を結び始めているのでは」(衣輪氏)

22時台を含む年間プライム帯視聴率は3位。そこで打ち出したのが番組そのものよりも枠の時間の変更で月〜木の22時台を7分拡大。内容の充実が図られている。また日テレ一人勝ちの日曜20時には『坂上&指原のつぶれない店』をぶつけている。編成部・企画統括の石丸彰彦氏は『坂上&指原〜』について「順風満帆ではないがここで一矢報いる番組にしたい」と熱を込めている。

「ここ最近は『マツコの知らない世界』『水曜日のダウンタウン』、また裏に日テレ『ぐるぐるナインティナイン』や『秘密のケンミンSHOW』があるにも関わらず『ニンゲン観察バラエティ モニタリング』などバラエティも定着してきている。今最も爆発力を秘めているのがTBSかもしれません」(衣輪氏)

フジテレビ◆長寿番組終了で「変化」を意識、後番組に既視感も?

 人気、視聴率ともに危機感をつのらせるのがフジテレビだ。決意表明となった「変わる、フジ。変える、テレビ」というキャッチコピーのもと長寿番組の終了で改編率約30%の大改革を見せた。

 「新番組は、林修さん、梅沢富美男さん、坂上忍さん、東野幸治さん、石橋貴明さんなど手堅いMC陣ながら“どこかで見たことのある企画と番組名”でフレッシュ感が薄い。初動よりも内容で勝負して人気が出るのを待つ覚悟が必要かもしれません。しかしながら『とんねるずのみなさんのおかげでした』後番組の『直撃!シンソウ坂上』の裏番組には、日テレのバラエティ視聴率週間TOP10常連『秘密のケンミンSHOW』が。坂上さんが“ポストみのもんた”と囁かれていることもあって、ここはかなりの挑戦枠と言えるでしょう。また、早朝4時の『クイズ!脳ベルSHOW』や、深夜帯では関西テレビ『おかべろ』のレギュラー化など、プライム帯以外から挑戦的な姿勢は感じられます」(同氏)

 また、土曜日の午前中はHey! Say! JUMP→関ジャニ∞→KinKi Kidsと3番組が続きジャニーズ枠に。ファン以外にはどう映るかも注目したい。

テレビ朝日◆“中高年”ターゲット? 刑事ドラマ・旅・報道を3大看板に

 日テレに次いで年間視聴率2位のプライム帯はターゲットを“中高年”に絞ったようにも見える“安定のテレ朝”。西新総合編成部長は「定型に陥ることなく、報道・スポーツ・ドラマ・バラエティ、すべてのジャンルで、さまざまな企画に挑戦する」と話しているが、大きな改編は無く得意分野の刑事ドラマ、旅番組、報道を強化する姿勢は継続的。日テレのやや手薄な分野を突いているように見える。

 「ドラマ枠では『特捜9』(『警視庁捜査一課9係』の9係メンバーが再結集)、『警視庁・捜査一課長』のシーズン3、『未解決の女〜警視庁文書捜査官〜』と得意の“刑事ドラマ”が揃い踏み。テレ朝視聴層の視聴習慣にも合っており、かなり手堅い。深夜ドラマも『家政夫のミタゾノ』の続編、単発ドラマ『おっさんずラブ』のレギュラー化で保守的。旅番組も新番組『旅サンデー』がスタートし、報道は1周年を迎える『サタデーステーション』の放送枠を16分拡大して、より強固なものにしようとする気概が感じられます」(衣輪氏)

 深夜の『『ぷっ』すま』終了で新しくスタートするのはもはや局の顔となりつつある破天荒ディレクター“ナスD”担当の『東京らふストーリー』。テレ朝は2000年代より深夜バラエティに大変な力を注いできた。視聴層の若返りは変わらず深夜帯で図るのだろう。

テレビ東京◆低予算で健闘する“ストーリー性”と“池”で更なるファン獲得へ

あえて低予算感とオープンな社風を売りに、涙ぐましい(!?)アイディアを打ち出してファンを獲得しているテレ東。改編説明会でも編成局編成部長・縄谷太郎氏が「日曜よるのゴールデンタイムは、日本テレビのバラエティ番組やNHKの大河ドラマなどの視聴習慣が強い」と他局の好調な状況を踏まえつつ、“テレビ東京のカラー”で勝負すると宣言した。

「斬新な選挙番組を打ち出した池上彰さんによる冠レギュラー番組『日曜ゴールデンの池上ワールド 池上彰の現代史を歩く』が新設されるほか、話題の『池の水ぜんぶ抜く』を月1のレギュラー化。すでにSNSなどで“池”の2番組は好意を持って受け止められているようです」(衣輪氏)。

人気番組『TVチャンピオン』の復活も発表され、これらテレ東らしさが新たなファンを獲得できるかに注目したい。

“日テレ無双”、他局の強化・挑戦で勢力図が変わるか

 若者向け番組が視聴率に直結しないとされる状況で、自信、様子見、強化、挑戦などが垣間見られる民放各局の4月改編。一方で、報道、朝ドラ・大河ドラマなど安定した視聴率と視聴層を持つNHKも、総合プライム帯は若者向けを意識した印象が見られる。岡村隆史、有田哲平など人気芸人の起用、ネットで話題になった番組を再放送する『NET BUZZ』のスタートなどの動きは斬新。そして何より話題になった『あさイチ』のMC陣の総入れ替えも控えている。果たして、“日テレ無双”の勢力図が変わるほどの結果が出るのか見守りたい。

(文/中野ナガ)

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