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阿部寛、“新参者”を支えた仕事論「自分を感動させたい」
僕にとって “挑戦”だった『新参者』が俳優の地盤を作ってくれた
テレビシリーズでは、行列に並んでもいつも目の前で売り切れてしまい、人気のたい焼きが食べられない…など、原作にはない演出が“加賀恭一郎”の人間味を、より深めたと言っていいだろう。しかしながら、画面で見る“加賀恭一郎”は、イコール“阿部寛”と思えるほどの、はまり役だったように思えたが、阿部にとっては難役だったという。
自分自身とかけ離れた役であればあるほど演じやすいという阿部。とはいえ、エキセントリックとはまた違った方向性で、自身とかけ離れた“加賀恭一郎”という役を8年演じたことは、俳優人生の中で、大切な軸となったようだ。
もし続編があったとしても、二つ返事では受けられない
「この『祈りの幕が下りる時』の完結に非常に満足していますので、ただの今までの流れではやりたくない。もうなかなかこれは越えられないと思うし、でも、もし“これを越えられる”と思えればやるかもしれない」
阿部寛の仕事論、人の心を動かすために、まず自分自身を感動させたい
「常にチャレンジしたいと思うし、どんな役でもやりたいと思うのは、その時期の反動かな(笑)。何より、人が喜んでくれるのが、すごく嬉しい。自分が出演した作品を見て、いろいろな幸せを感じてほしいし、いろいろなプラスのことも持ち帰って欲しい。それには、まずは自分が面白いと思わないとダメだと思っています。自分が演じて、それを見て、自分自身が感動できなかったら、人には勧められない。多くの人、何百万人もの人が見るものを、代弁してつくっているのだから、自信を持って見ていただける、喜んでいただけるってものを出していくことに力を注がないと、何のために俳優をやっているんだろう…と思います」
“泣けるミステリー”として人気を博す裏には、自分を感動させたいという俳優魂があった。そんな役への探究心が尽きない阿部が、今後向き合ってみたい役どころのひとつは、時代劇だという。
「時代劇をやるたびに、やっぱりすごい楽しいな、好きだな…って思うんです。時代劇って、日本の伝統的な部分もたくさんあるし、武士道とか“精神性”がある。時代時代によって、日本独特の文化があって、そういうものを後世につなげたいなって思うし、僕も役者という仕事人としてその一端に参加していきたい。最近、若い俳優さんも時代劇をどんどんやってるし、僕も50過ぎたけど、引き続きチャレンジしてみたいところですね」
(写真/RYUGO SAITO 取材・文/綱島深雪)
(ヘアメイク/丸山良 スタイリスト/土屋詩童)
映画『祈りの幕が下りる時』
監督:福澤克雄
出演:阿部寛、松嶋菜々子、溝端淳平、田中麗奈、山崎努 ほか
公式サイト:http://inorinomaku-movie.jp