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【SMAP連載22】逆境が生んだベスト盤、“SMAPとは何か?”の答えがここに
直木賞作家の「SMAPはインフラ」発言、ベストはそれを裏付ける
50曲を通しで聴いてみると、人気曲を集めたベストアルバムというより、まるで“SMAPとは何か”を饒舌に伝える、一つのコンセプトアルバムのような気さえしてくる。直木賞作家の朝井リョウはかつて、『ゴロウ・デラックス』(TBS系)に出演する際、番組ディレクターからSMAPの印象を聞かれ、「SMAPはインフラだ」と語ったという。“インフラ”(※インフラストラクチャーの略)とは、要約すれば“国民生活を向上させるための公共施設”という意味だから、確かにいい得て妙である。『SMAP 25 YEARS』には、今を生き抜くためのガイドラインのような言葉と、気持ちを高揚させたり落ち着かせたりするリズムとメロディ、そして何よりも歌い手の“心”と、彼らの“成長の記録”とが詰まっていて、日常生活で自然とエネルギーをチャージしてくれるような格好のツールになっているのだ。
懐の深さを感じさせる特別な曲「BEST FRIEND」
彼らにとって特別な「BEST FRIEND」は、ファンにとってもやっぱり特別。でも、たとえこの曲を初めて聴いた人でも、本来なら恋人に贈るような誠実で切実な言葉を、敢えて友達に向けて歌っていることがSMAPの懐の深さであることに気付かされるのではないだろうか。若い女の子から黄色い声援を浴びることがアイドルグループの宿命であったはずの90年代初頭に、シングルのカップリングとはいえ、友情をテーマにした曲を歌っていた。当時は、本人たちの戦略ではなかったにせよ、曲の中の言葉は彼らの中に刻まれたのだろう。いつしかその友情は彼らの物語の中で体現され、グループが次のステージへ向かう“ここぞ”という時に、『SMAP×SMAP』やライブで披露されてきた。映像はないけれど、このベストアルバムこそ彼らのドキュメンタリーであり、“届ける”“続ける”“前に進む”“笑う”“弾ける”“挑戦する”“誰かを想う”“愛する”“平和を祈る”など、当たり前のようでいてつい忘れがちな人としての“気持ちの持ち方”に、聴くだけで気づかせてくれる。