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【連載9】SMAP 5人の役割を考察:草なぎ剛 無垢で天才、嘘のない“5番目の男”がSMAPを予測不可能な未来へ

取材の裏側でも無垢で無邪気、草なぎの言動には嘘が一切ない

 とにかく、草なぎの普段の言動には嘘がない。思い出すのは、2012年の『FNS 27時間テレビ』(フジテレビ系)のこと。草なぎの100キロマラソンのゴールの瞬間に立ち会うために、私は取材に出かけていた。フジテレビのスタジオには、『笑っていいとも!』のレギュラーメンバーがズラリ並んで待っていた。そのゴールの感動的な瞬間は無事カメラに収められ、後日、草なぎの取材のときに、ゴールの瞬間の写真が掲載されている雑誌を手渡すと、「これ、いい写真だね! 焼いて(プリントして)ほしい! 絶対ほしい!」と、タモリが草なぎに駆け寄っている写真を見て、興奮して叫んだ。子供みたいだった。

 後日、また草なぎに会う機会があった。彼は、当時の担当編集を見つけると、「あ、写真もらった! ありがとう! 嬉しい! タモリさんと僕が一緒に写ってて、どっちもよく写ってて、すごくいい記念になった。ちゃんと自分の部屋の一番目立つところに飾るからね! 本当にいい写真だよね! ありがとう!」と何度も、何度も繰り返した。「そんなに喜ばなくても」と思うくらい、こちらが恐縮するぐらいの感謝のエネルギーがぶつかってきた。本当に、無垢で、無邪気な人なのだと思った。

SMAPという群れを離れた孤独な戦い、そして『嘘の戦争』へ

 人とコミュニケーションを取るときは陽性の彼だが、実は19年前、私は彼が果てしない孤独の中にいる瞬間を、目撃したことがある。『いいひと。』がクランクインしたばかりのとき、現場での取材に立ち会ったのだ。早朝の六本木。初めての主演のプレッシャーからか、草なぎは、とても無口で、真面目で。待ち時間があると、スタッフの群れから離れ、一人でポツンと椅子に座って、次に呼ばれるのを待っていた。緊張した面持ちだった。広い荒野に取り残された子供みたいに所在無さげで、儚げだった。グループという群れを離れ、たった一人で戦っている。もちろんスタッフは敵ではないけれど、何かものすごい重圧の中で、もがいている感じは伝わってきた。

 結果的に、『いいひと。』は草なぎの出世作となり、フジテレビ系火曜10時の枠で、草なぎは様々な新境地を開拓してきた。そして2017年1月、火曜10時が9時へと枠を移し、草なぎ主演で『嘘の戦争』というドラマが始まる。

“原野”にたち帰れる男 純粋さを武器にSMAPを予測不可能な未来へ

 草なぎ剛という人は、常に荒野に立っているのかもしれない。初めての主演ドラマが決まったとき。つかこうへいさんの舞台に出演したとき。ハングルを習得すると決めたとき。故・高倉健さんと共演したとき。タップを練習したとき。ピアノを練習したとき。ギターをマスターしようと決めたとき。いつも、彼は原野にいて、黙々と、コツコツと、地面を耕し、種を蒔いて、水をやり、花を咲かせ、実を結ばせる。2016年4月に出版されたエッセイ集『Okiraku 2』には、“いっぱい失敗して恥をかく”という言葉が綴られているけれど、40歳を過ぎてまだ、失敗する自分、恥をかく自分を許容しようとしているのは、彼の無垢さのなせる技だろう。どんなに積み上げたものも一瞬で捨て去って、原点に、原野に帰ることができる。それが、草なぎ剛の純粋さであり、最大の武器だ。

 “5番目の男”から、日本の俳優界になくてはならない存在になった彼は、従来のアイドルの常識を大きく覆した。今、SMAPの前には25年前には想像もつかなかった未来が立ちはだかっているけれど、草なぎの存在が、25年前と同じようにSMAPの未来をいい意味で予測不可能にしてくれそうな、そんな気がしてならない。

 真実はどこにある? そう問いかけても、答えはまだわからない。でも、草なぎ剛の生きる道に嘘はないことだけはわかる。今までも、これからも。
(文/菊地陽子)
【連載10】に続く

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