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ORICON NEWS
【連載6】SMAP 5人の役割を考察:中居正広 自分たちのことでタブーは作らない、“自虐”という神センス
タブーを果敢に切り崩しにかかる、“いつものリーダー”中居正広
SMAPの解散が正式に発表されて以来、ことあるごとに解散をネタにして笑いを誘うような発言を連発している。たとえば、リオ五輪柔道金メダリストのベイカー茉秋がゲストの“ビストロSMAP”(『SMAP×SMAP』内・フジテレビ系)は、解散発表後初の5人揃っての収録とされていたが、「悪いね〜、こんなバタバタした時期に(呼んで)。申し訳ないね」と、ベイカーが席に着くやいなや軽いノリで謝罪。スポーツ紙や週刊誌、ネットニュースなどの「“スマスマ”収録現場はいつもピリピリ」報道を一蹴した。9月になってからは、『中居正広のミになる図書館』(テレビ朝日系)で、「この時期に俺がこんだけしゃべってると、“あいつスゲー能天気だ”と思われる」と発言したり、『ザ!世界仰天ニュース』(日本テレビ系)では、一緒にMCを務める笑福亭鶴瓶に「タイムリーな時期にこの番組はキツい。他の番組の共演者はみんなあったかいけど、あなたが一番キツい!」とツッコんだり。新聞に掲載されたメンバーのコメントや、ラジオでの発言以外、メンバー本人からの“心からの言葉”が聞けないまま、解散が決まったSMAPだからこそ、本人の前でSMAP解散ネタに触れるのはタブーなのかと思いきや、バラエティでの中居は、世の中の自主規制やタブーを果敢に切り崩しにかかる。
いいことも悪いことも一緒に乗り越えてきたファンは、それでもまだ素直に年内解散の事実を受け入れられないのが正直なところだ。でも、バラエティで中居があのおどけたような笑顔で、「俺のことは、どんどんイジってくれていいんだぜ! カモン!」とでも言うように、その場の緊張を緩める空気感を醸し出していることは、“いつものリーダー”だな、と実感できてほっとする。SMAPのファンは知っている。25年前から、いや、そのもっとずっと前から、誰よりもいっぱい傷ついて、いっぱい苦しんで、いっぱい悩んで、いっぱい努力して、いっぱい無理をして。でも、テレビに出るときは、絶対に笑顔だったことを。
“本当の優しさ”を自虐ネタで包み隠し、ピエロを演じようとする
2015年、中居の周囲では、本当にいろんなことがあった。喉の手術をしたときは、最少のスタッフにだけ病状を伝え、ギリギリまで仕事をし、メンバーや共演者には一切心配も迷惑もかけないようにした。病床の父親の面倒を甲斐甲斐しく看て、できる限りの親孝行をしていたことも、父親が亡くなってしばらくしてから、ラジオでポツポツと語るようになった。親孝行自慢でもなく、同情を買おうとするのでもなく、ただ事実として、父親と心を通わせた時間を懐かしんでいた。それを聞きながら、この人は本当に心が綺麗なんだなと思った。
インタビューでも、誰かの悪口を言ったり、他と自分たちを比べたりすることは一切なく、むしろ、「アルバムの中で好きな曲」を聞いたりすると、顔を曇らせた。中居語録としてよく覚えているのが、「好きなものは作らない。好きなものを作るってことは、苦手なものも作ることになるから」というもの。司会をする上で、誰かをえこひいきしたりしないために彼が編み出した、スーパーフラット精神。正直、インタビューでそれを言われてしまうと……と困ることもあったが、「自分ではなく、5人全員がカッコイイから」といった理由をつけて、無理やり曲を選んでくれたこともあった。とても短いインタビューのこともあれば、思いがけず長く話しを聞けたこともあった。でも、いつも去り際には、「大丈夫ですか?」と確認してくれた。