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【連載6】SMAP 5人の役割を考察:中居正広 自分たちのことでタブーは作らない、“自虐”という神センス

チャリティイベント『Marching J』で見せた、完璧なイジりの裏側

 90年代から、彼がMCを担当した番組はほとんどすべて観てきた。そんな中でもとくに、“中居正広は気遣いの人だ”と、“芸人でもないのに人の個性の面白いところを一瞬にして掴んで広げられる人なんだ”と明確に認識したのは、2011年4月に、ジャニーズ事務所が主催したチャリティイベント『Marching J』のときだった。

 3月11日の東日本大震災で様々な催しが自粛モードになったとき、ジャニーズ事務所は4月1日から3日まで、代々木競技場第一体育館の敷地を借り切って、チャリティイベントを開催した。ジャニーズのタレントが集まって、募金を呼びかけるイベントには、3日間で40万人弱の集客があったと記憶している。原則、ジャニーズのタレントは全員参加だというが、3日間のうち、どのグループがいつ来るかまでは発表されていなかった。私は、3日間ほぼフルで、現場の様子を取材していた。1日目の朝から、近藤真彦、TOKIO、嵐といった錚々たる顔ぶれが並んだ。全員私服で募金箱の前に立ったり、壇上から訪れる人に手を振ったり。タレントにマイクは渡されていたものの、1日目は、「◯◯が今到着しました!」という報告があって、メンバーが入れ替わるときに話したり、メンバー同士でわちゃわちゃする場面は多少あったものの、あとは「ありがとうございます!」「東北の復興にご協力お願いします」という呼びかけがほとんど。ただ、関ジャニ∞が、会場の混雑を見かねて「一歩ずつ確実に前進してください」「迷子が多くなっております。お子さんの手はしっかり握り締めてください!」などと大げさに話して笑いを取っていたのは、お祭り集団らしい盛り上げ方だなと思った。

 それ以上に、2日目にSMAPが壇上に立った瞬間、イベントは急に活気づいた。デビュー前のKis-My-Ft2と、A.B.C-ZがSMAPとともにひな壇に並び、中居が、後輩たちをイジり始めたのだ。A.B.C-Zのことは、わざと「なんだっけグループ名? ABCマート?」と何度も呼び間違え、Kis-My-Ft2がデビューが決まっていると聞くと、「なんだよお前ら、先を越されて悔しくないのかよ!」と煽った。面白いことを言わせようと、率先してイジるメンバーのチョイスも的確で、A.B.C-Zには、ピンポイントでNHK-BSで放送中のジャニーズの番組『ザ少年倶楽部』で今現在司会を務めている河合郁人に話を振った。上げたり、落としたり、対立させたり。突然、稲垣吾郎や草なぎ剛に話を振ったり。それはまるでよくできたバラエティ番組を観るようだった。

 このイベントから1ヵ月ほどして、SMAPを取材することになった。そのとき中居に、「『Marching J』のときは、予め後輩グループのことを調べたんですか?」と聞いてみた。中居は、「まさか。全く何も知らなかったですよ」と言っていたけれど、実際には、この二つのグループに関しては事前に資料が手渡されていたという。

中居が盾になり守るもの、別々に活動していてもやっぱりSMAP

 中居正広という人は、影の努力を決して表に出さない。名前を間違えたり、汚い靴に言及したり、等身バランスをイジったり、いろんな角度から対象に光を当て、隠れていたその人の面白い個性を引っ張り出す。その、よく練られたイジり芸は、SMAPのメンバーに対しても遺憾なく発揮され、コンサートのMCや“スマスマ”のトークなどから、メンバーの強烈な個性はどんどん浮き彫りになっていった。周りを輝かすために、自分のダメな部分を先に笑い飛ばすのが、中居流である。それはときに「歌下手」ネタになったり、「人と暮らせない」ネタになったり、「ビンボー」ネタになったりしながら、今は「解散」ネタで、タブーなきアイドルとして、また新たな地平を切り開いている。

 その人を思えばこそ、傷口に触れるようなことはしたくない。でも、中居はいつも「こんなの大した傷じゃねーよ!」と率先して強がってくれる。たぶん、ほかのメンバーを守るために。彼がそうやって自ら盾になって、仲間を守ろうとしているのを見ると、別々に活動していても、やっぱりSMAPはSMAPなのだな、と思える。5人の口から、心からの言葉が聞けなくても、中居が痛みを隠して笑ってくれている限り、SMAPのことが大好きなんだなと、信じられる。
(文/菊地陽子)

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