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(更新: ORICON NEWS

五輪にみるテレビへの“原点回帰”

 開会前に聞かれた“イマイチ盛り上がりに欠ける”という声はどこへやら、連日に渡るリオ五輪での日本人選手のメダルラッシュに日本列島が盛り上がっている。職場では「つい朝まで見ちゃったよ」という言葉を耳にし、多くの人がテレビに張り付いて選手たちの活躍を見守っているようだ。昨今、ネット発の情報をテレビが後追いしている現状もあり、“テレビの時代は終わった”という意見もあるが、リオ五輪では多くの国民が、まずはテレビの生中継を観て、次にその感動をSNSで分かち合っている。まさにテレビへの“原点回帰”とも言える現象が起こっているのだ。

感動を分かち合う、昭和の時代と変わらない“古き良き”視聴スタイル

  • 福原愛選手 (C)ORICON NewS inc.

    福原愛選手 (C)ORICON NewS inc.

 連日、熱い盛り上がりを見せているリオ五輪。誰もがテレビに張り付いて勝負の行方を見守り、多くの人と共有する――2016年代でありながら、“リアルタイムでテレビを見て、多くの人と感動を分かち合う”姿は、昭和の時代となんら変わりはない。若者を中心にテレビ離れが起きていると言われる中で、改めてテレビが持つ力を考えさせられる、象徴的な大会になっているのだ。ただ、みんながテレビを観ていると言っても、それは五輪という“国際的行事”であり、最強のパワーを持つコンテンツであるからにほかならない。最近ではAbemaTVやニコニコ生放送といったネットTVでスポーツイベントの一部を観ることができ、SNSでも実況生中継をしているが、やはりスポーツの臨場感や選手同士の攻防を楽しむには、テレビの生中継を大画面で観るのが一番なのだろう。

 かつての五輪のテレビ視聴と変わった点があると言えば、やはりデジタルツールが加わったことだろうか。テレビ中継を視聴し、その感動と喜びをSNSなどで分かち合う。そしてネットでの盛り上がりが、再び視聴者をテレビの前に引きつける。テレビとネットの“いい関係”が可視化しているようだ。
「例えば、(福原)愛ちゃんにもらい泣きしちゃった…と誰かに話したくても、現代では、話す相手がいないといった人も多いでしょう。それを補完する形になったのが、SNSなんですね。また、テレビ中継では見られなかった選手の一面がネットで掘り下げられ、新ヒーローが誕生するということもあります。内村航平選手と金メダルを争ったウクライナのベルニャエフ選手や、TOKIOの松岡(昌宏)さんと激似で話題になった体操のニューエン選手のように、ネット主導で種目や選手にスポットが当たることもあります」(エンタメ誌編集者)

4年後の東京五輪に向け“テレビの逆襲”が始まる?

 ライフスタイルの多様化により、テレビ番組はHDに録画して観ることが当たり前になっている現在。ただ、満を持して始まった録画視聴率はあまり話題になっておらず、相変わらずリアルタイム視聴率が重要視されるという状況は変わっていない。各局も、どうやって“リアルタイム”視聴率を獲得していくか試行錯誤を凝らしてはいるものの、ネットのほうがユーザーに情報が届く速度がどうしても早いため、差別化が十分に図れていないのが現状だ。そうした情報のスピードや企画内容においてネットに頼る情報番組なども多い中で、今回のリオ五輪では“テレビ・ファースト”が成り立っている。これは、現場の“生の臨場感”を最も的確に伝えるのは、やはりテレビなんだと改めて再認識した視聴者も多かったはず。

「ネットの最大の魅力はスピーディに発信できることにありますが、テレビのようなスケールの大きい番組を作り上げることはできないので、本来ならば棲み分けができるはずです。その最たる例が、今回の五輪のような大きなイベントを“実況生中継”すること。ドラマやバラエティ番組は、今ではYouTubeなどでオリジナル映像を発信できますが、五輪のような大きな行事では、やはりテレビの力を実感します。視聴者が望むようなコンテンツの力を発揮できさえすれば、まだまだ人々はテレビに夢中になれるということが、今回のリオ五輪で証明されたと言えるのではないでしょうか」(前出・編集者)

 昨今、情報の発信が速報はネット、そのあとにテレビという流れができている中で、今回、スポーツなどの生の臨場感を味わうには、やはりテレビが一番だということが改めて示されたかたちだ。もちろん、五輪という“メガコンテンツ”ならではの特需とも言え、通常のコンテンツでそれに匹敵するようなものを作るのは難しいかもしれないが、少なくとも2020年の東京五輪に向けての布石にはなったはず。莫大な経済効果が期待できる“自国開催”だが、その恩恵を最も受けるのは、もしかしたらテレビ業界なのかもしれない。
リオ五輪を最良のモデルケースに、2020年に向けインフラを整え、東京五輪では“テレビの逆襲”とも言える状況が訪れることを期待したい。

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