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ORICON NEWS
五輪にみるテレビへの“原点回帰”
感動を分かち合う、昭和の時代と変わらない“古き良き”視聴スタイル
かつての五輪のテレビ視聴と変わった点があると言えば、やはりデジタルツールが加わったことだろうか。テレビ中継を視聴し、その感動と喜びをSNSなどで分かち合う。そしてネットでの盛り上がりが、再び視聴者をテレビの前に引きつける。テレビとネットの“いい関係”が可視化しているようだ。
「例えば、(福原)愛ちゃんにもらい泣きしちゃった…と誰かに話したくても、現代では、話す相手がいないといった人も多いでしょう。それを補完する形になったのが、SNSなんですね。また、テレビ中継では見られなかった選手の一面がネットで掘り下げられ、新ヒーローが誕生するということもあります。内村航平選手と金メダルを争ったウクライナのベルニャエフ選手や、TOKIOの松岡(昌宏)さんと激似で話題になった体操のニューエン選手のように、ネット主導で種目や選手にスポットが当たることもあります」(エンタメ誌編集者)
4年後の東京五輪に向け“テレビの逆襲”が始まる?
「ネットの最大の魅力はスピーディに発信できることにありますが、テレビのようなスケールの大きい番組を作り上げることはできないので、本来ならば棲み分けができるはずです。その最たる例が、今回の五輪のような大きなイベントを“実況生中継”すること。ドラマやバラエティ番組は、今ではYouTubeなどでオリジナル映像を発信できますが、五輪のような大きな行事では、やはりテレビの力を実感します。視聴者が望むようなコンテンツの力を発揮できさえすれば、まだまだ人々はテレビに夢中になれるということが、今回のリオ五輪で証明されたと言えるのではないでしょうか」(前出・編集者)
昨今、情報の発信が速報はネット、そのあとにテレビという流れができている中で、今回、スポーツなどの生の臨場感を味わうには、やはりテレビが一番だということが改めて示されたかたちだ。もちろん、五輪という“メガコンテンツ”ならではの特需とも言え、通常のコンテンツでそれに匹敵するようなものを作るのは難しいかもしれないが、少なくとも2020年の東京五輪に向けての布石にはなったはず。莫大な経済効果が期待できる“自国開催”だが、その恩恵を最も受けるのは、もしかしたらテレビ業界なのかもしれない。
リオ五輪を最良のモデルケースに、2020年に向けインフラを整え、東京五輪では“テレビの逆襲”とも言える状況が訪れることを期待したい。