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KAT-TUNは「最終形態」へ 充電前ライブで見せたもの

 人気グループKAT-TUNが5月1日に行った東京ドームライブのファイナル公演をレポート。この公演をもって充電期間に入るという彼ら。亀梨和也上田竜也中丸雄一の3人となったKAT-TUNが見せてくれたステージは、感謝と涙、そして笑顔と決意に満ちた、熱いものだった。
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6人でも5人でも4人でも3人でも…エネルギーに満ちたライブ

 「オレたちの船に乗る準備はできてるか? 最後の出航だ!!」
ライヴの冒頭、上田竜也はそう言って会場を煽った。2004年の『海賊帆』、2008年の『QUEEN OF PIRATES』など、KAT-TUNのライブのテーマは、しばしば“船”になぞらえる。ライブが始まれば、メンバーもファンも運命共同体。一緒に歌って汗をかいて、一緒に笑って、一緒に花も嵐もナミダもナゲキも乗り越えてゆく……。そんな一体感を共有できるのがKAT-TUNライブの一貫した個性である。
 この10年間、6人のライブも、5人のライブも、4人のライブも観てきて感じたのは、メンバーが脱退した直後のライブでも、脱退メンバーの“不在”を補ってあまりあるエネルギーを、残されたメンバーが発揮していたことだ。
 とはいえ、5月1日のライブほど、KAT-TUNという壮大な宇宙船が、前人未到の岸辺にたどり着いたことを実感したことはない。“心を一つにして”なんて表現を軽々しく使うことがためらわれるほど、ステージ上で、彼らの心は純粋に、楽曲への愛、ファンへの愛、KAT-TUNへの愛に向けられていた。
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出会いに感謝 3人は抱き合って階段をのぼっていく

 “感謝”と“愛”の感情は、よく似ている。それは、どちらも惜しみなく与えるものであるからだ。脱けていった3人にも“感謝”を――。最後の挨拶で、亀梨和也が、「“K”亀梨和也、“A”赤西 仁、“T”田口淳之介、“T”田中 聖、“U”上田竜也、“N”中丸雄一」と、グループ名の由来となるメンバーの名前を呼んだ。バラバラな個性を持った6人が集まったことによって生まれたグループ。その出会いがなければ、今はなかったかもしれない。だからその歩みに感謝すると、亀梨は5万5000人の前で語った。亀梨は、最後声を詰まらせていた。号泣した中丸は上田の元に歩み寄り、2人は力強く抱き合った。涙をこらえるように天を仰ぐ上田。そこに亀梨が加わり、3人は、抱き合ったり、腕を引っ張ったりしながら、ステージ上の階段をのぼっていった。ネクストステージへと向かう階段を。それは、3人のKAT-TUNへの愛がどうしようもないくらいに溢れた、美しい光景だった。
→3人の充電前の最後のあいさつ全文

「未知なる領域」を進むグループ “ユメ”はいつも同じ

 “ライブ”とは生ものである。その日の体調、精神状態、天候、観客のエネルギー……、様々なものに影響され、一回性のドラマは生まれる。東京ドームといえば、これまでも様々なアニバーサリーを彩ってきた、(野球はもちろん)音楽に関わる人たちにとっても“聖地”のような場所である。2006年3月、デビュー前のグループが東京ドームで単独コンサートを開催したのも初なら、2009年に8日間連続公演を敢行し、成功させたのも彼らが初めてである。充電期間のことを、「未知の領域」と亀梨は語っていたけれど、KAT-TUNというグループは、常に“未知なる領域”を進んできたグループだったのではないだろうか。もちろん、この場所に3人が戻ってこられるかどうか、現時点ではわからない。再会を誓いはしても、確約はできない。でも、そんな不安もすべてひっくるめて、涙も汗も葛藤も曝け出してぶつかり合う彼らは、強くて、逞しくて、何よりカッコ良かった。3人が3人ともスーパースターであり、ヒーローであり、それ以上に“KAT-TUN”だった。“ハイフン”と呼ばれるファンたちもまた凄まじい熱気で、彼らから注がれる愛を全身で受け止めていた。だからこそ、そこにいる誰もが確信できたのだ。KAT-TUNとハイフンの“ユメ”が同じであることを。

 アンコールで会場を去る前、上田は、「お前らとKAT-TUNが大好きだーっ!!!」と叫び、中丸と亀梨が、同じ台詞を繰り返した。この日、彼らが発した言葉ひとつひとつが、すべて真実だった。まやかしや?やハッタリが蔓延する世の中で、この日この場所には、一片の?も偽りもなかった。そのことが、「ナミダ・ナゲキ→未来へのステップ」と歌う歌詞もすべて、彼らの心の声だった。トリプルアンコールで、「Peacefuldays」を歌ったあと中丸が、「今日のこと、一生忘れない!」と言ったその言葉も。
 公演後、メンバーが「これがKAT-TUNの“最終形態”だと思うようになった」と語った。“メンバー半減”“3人きりのライブツアー”という試練を乗り越え、手に入れたリアル。永遠ではないときを一瞬もムダにしない彼らがこの日見せてくれた景色を、5万5000人の観客もまた、心に刻み付けたことだろう。
→充電前ラストライブ、3人が見せた男気とは?
(文/菊地陽子)

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