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神木隆之介インタビュー『一歩引いて、支えて、歩いていけるか?』

人は、彼を“天才”と呼ぶ。大場つぐみ×小畑健の原作マンガの言葉を借りるなら、王道も、邪道も、変幻自在に、嬉々として演じる俳優の神木隆之介。かねてより出演を熱望していた、主演映画『バクマン。』について、愛情たっぷりに語ってくれた。

かなり自分と近かったので素でいきました

――ずいぶん前から「『バクマン。』を実写で撮るなら、絶対出たい!」と発言されていましたね。実現されるとは、すごいことです!
神木でも、もし『バクマン。』が実写化して、配役がもらえるならサイコー(真城最高)だろうなって思っていたんです。なので、今回のお話をいただいたときには“えっ、逆じゃないの?”って思いました。「僕がメガネの方? 僕が高木(秋人)?」って、マネージャーに何回も聞き返しました。大根(仁)監督にお会いしたときにも「逆だと思いませんでした?」って聞いたら「いや、この通り。秋人は神木、最高は佐藤が当然だと思っていたから、逆の発想なんてなかった」とおっしゃっていて。ずいぶん見方が違うんだ! って(笑)。
――神木さんご自身も、サイコー役のイメージだったのですね? 一転、シュージン役というのは、原作ファンとはいえ、役作りが大変だったのでは?
神木実はですね、台本を読んでみたところ、僕と同じだったんです(笑)。「僕のことを書いているんじゃないか!」ってくらい、発言や行動、性格が(普段の僕と)全く変わらないんです。性格で選んだって監督がおっしゃっていたんですけど“たしかに合ってるな。シュージンが僕だな”って思いながら台本を読ませていただきました。なので今回、大きな役作りというのはとくにしなかったです。ただ、自分と似ているからこそ、自分がブレないようにしなきゃとは思っていました。

――どんな役もナチュラルに演じきってしまう神木さんですが、ご本人にとっては珍しく“素”に近い役だったんですね! とくに似ていると感じたところは?
神木初めて作業場に行ったときの反応だったりとか。「うおおおおー、すげー!」って声に出して「これも、これも、持ってるっ!!」「わっ、こんなのもあるんだ!?」って、好きなものに対しての知識がばーっとあふれ出す感じだったり。ハイテンションでサイコーにぶつかっていくところだったりとか、そういう動きは、かなり自分と近かったので、素でいきました。演じているときはすごく楽しかったです。僕自身もマンガが大好きなので!

赤ジャージを着こなせるかが勝負(笑)

――大根監督をはじめ、マンガ好きなスタッフ、キャストが集まった撮影現場で、原作ファンならではのグルーヴは感じましたか?
神木そうですね。とくに美術がすごかったです。(美術監督は)都築雄二さんっていう、こだわり抜かれた方で。ジャンプ編集部内の書類袋が積み重なっている部分の、角度や位置がイメージと違うと「2時間ください!」って。数ミリ単位で、全ての配置を動かしていくんです。シーン全体の色のバランスも見てくださって。(登場人物のイメージカラーが)シュージンが赤、サイコーが青で、(新妻)エイジが黄色だったんですけど、僕らが立ち位置に入ったときに、黄色がどういうふうに見えるのかとか、作業場のマンガの背表紙の配色バランスを調整したりとか(笑)。美術、照明、衣裳、メイク……スタッフ全員が作品を愛して、考えてくださっているんだなって感じましたし、すごく助けられました。細かいところまでこだわり抜いた現場だったからこそ、完成した作品だなって思います。
――役によっては、色をイメージして演じられることもあるそうですが、赤色からインスピレーションを受けた部分はありましたか?
神木僕自身、赤ってあまり着たことのない色だったので、まずは衣裳のジャージを着こなせるかどうかが、僕の勝負でもありました(笑)。ビジュアル面では、メガネを特注で作っていただいたり。A・Tってちゃんとイニシャルが刻印されているんです! 白のヘッドホンを持ってきてくれたり、違和感のない赤を目指して、ジャージも選んでくださったんですけど。……そうですね、今回は色でイメージはしなかったですね。

 どちらかというと、直感的なイメージじゃなくて、いかに(サイコー役の)佐藤健という人と、役を通して、サイコーという人間を一歩引いて、支えて、一緒に歩いていけるか? という意識を常に持っていました。(漫画家を始める)きっかけはシュージンでしたけど、どれだけ引っ張っていけて、なおかつサポートできるのか? という意識がありましたね。シュージンは原作だけど、マンガを描いてくれているのは、サイコーだからって。

――そういう思いを背負っていたからこそ、過労で倒れたサイコーの病室を出た後のシュージンは、サイコー以上に憔悴していたのですね。
神木やろうぜ! って、ふたりでマンガを始めてから、コケそうになったら支えて、引っ張りあげて、というのを繰り返しているうちに、いつの間にかサイコーに引っ張ってもらっていたんです。引っ張る人がコケてしまって、じゃあ僕はどこへ行けばいいんだ? って。それは自分が前へ進めなくなったというよりは、(サイコーと)一緒に続けられなくなった悲しさなのかなって思いました。シュージンの心が折れる瞬間だと思いました。

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