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縮小が止まらないデジカメ市場、事業存続の岐路に立たされる国内最大手メーカーの矜持と戦略

とことんこだわったカメラで写真や映像を残す価値はこの先も消えない

 スマホのカメラ機能の向上、デジカメを使わないSNS世代の増加といった要因が止まらない市場縮小の背景にあり、世の中的には、近い将来、デジカメがスマホに取って代わられるのでは、との見方も出てきている。それに対して、「ダウントレンドであることは、携わる人間は誰もが自覚しています。デジカメがこの先、すぐになくなることはありませんが、30年後はわからない。そのために10年、20年後を見据えています」と語る阿部氏だが、危機感を持ちながらも、悲壮感はない。

 カメラは、日本が世界に誇る光学技術を結集した、誰もが使える製品であり、レンズ越しに収められる、あらゆる瞬間を切り取る芸術は、カメラあってこそ生み出される文化でもある。そこには、多くの人の日常生活に“豊かさ”を与える、社会における存在意義がある。
 そういった自負や誇りをにじませる阿部氏は、「写真や映像として残す価値は、この先もずっと消えないと思っています。我々の目標は、プロダクトやサービスを含めて、写真の価値をいろいろな方に理解していただいて、その楽しみを世の中に提供し続けること。そのなかで『スマホでいい』と思われない最適なハードやサービスを提供していきたい。嗜好品に近い部分はあるので、こだわるところはとことんこだわって作っています。作り手の思いを含めてしっかり届けていきたいと思っています」。未来へ想いを馳せながら、カメラメーカーとしての矜持を語ってくれた。

 日本の匠の結晶が詰まったカメラ。そこには、単なる利便性や合理性だけでは計れない、人々の生活に根ざした庶民の文化としての価値と役割がある。カメラ好きな人たちは年配層が多いが、マスではなくても、若い世代にもいろいろな趣味趣向のジャンルにそういう人たちがいることは心強い。一方、「まだまだ若い人へのコンタクトポイントが少ない」と課題を挙げる阿部氏だが、「技術力を駆使したカメラで、若い人に“写真を撮る”ということの豊かさやリテラシーを植え付けていくことが今後は大事になってきます」と前を向く。
(文/磯部正和)

提供元: コンフィデンス

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