縮小が止まらないデジカメ市場、事業存続の岐路に立たされる国内最大手メーカーの矜持と戦略
とことんこだわったカメラで写真や映像を残す価値はこの先も消えない
カメラは、日本が世界に誇る光学技術を結集した、誰もが使える製品であり、レンズ越しに収められる、あらゆる瞬間を切り取る芸術は、カメラあってこそ生み出される文化でもある。そこには、多くの人の日常生活に“豊かさ”を与える、社会における存在意義がある。
日本の匠の結晶が詰まったカメラ。そこには、単なる利便性や合理性だけでは計れない、人々の生活に根ざした庶民の文化としての価値と役割がある。カメラ好きな人たちは年配層が多いが、マスではなくても、若い世代にもいろいろな趣味趣向のジャンルにそういう人たちがいることは心強い。一方、「まだまだ若い人へのコンタクトポイントが少ない」と課題を挙げる阿部氏だが、「技術力を駆使したカメラで、若い人に“写真を撮る”ということの豊かさやリテラシーを植え付けていくことが今後は大事になってきます」と前を向く。
(文/磯部正和)